
『世界金融危機』(金子勝 アンドリュー・デウィット著 岩波ブックレットNO.740 2008年刊)
世界同時株安、株価の暴落が止まらない。この国の株価もバブル経済崩壊後の底値に近づいた。基軸通貨ドルの暴落も止まらない。1ドル=90円も目前。
今、私たちの眼前で起きている事象の本質はどこにあるのか。1929年の世界恐慌の再来なのか。米国版バブル経済崩壊なのか。信用収縮はどこまでいくのか。この国の経済はこれからどうなるのか。私たちの生活にどのような影響が生じるのか・・・
今日、あるところで経筒なるものを見てきた。この国では、平安時代に末法思想が流行したという。本来の意味では、末法とは仏教の終わりのことであってこの世の終わりという意味ではないが、当時は、治安が乱れ、政治が腐敗し、民衆の不安が増大し、終末論が流行したという。人々は、お経を筒などに入れ寺の境内に埋め安寧を祈ったと言う。
『世界金融危機』が売れている。70ページの薄いブックレットだが、書店で平積み台にうず高く積まれていた。著者の金子勝氏は、ここ何年もずっと深刻な顔をして危機を売っている。しかし、いわゆる反体制的な危ない人ではない。その証拠に、マスコミの寵児である。
彼は、マルキストでも、ケインジアンでもない。彼の言葉では、「制度」を研究しているという。制度の矛盾を突き、改革をする。体制の矛盾を突き、革命を展望する人ではないのである。
しかし、ソ連崩壊後、マルクス経済学者のほとんどが実質的な転向、沈黙、逃亡、細部の研究への逃げ込みをし、情況への発言をしなくなった後は、彼程度でも現状批判に聞こえてくる。
このような、先入観を持ちながら、「世界金融危機」を読むこととする。