こんにちは。

管理栄養士のふみです。

 

皆さんは、読んだ本の中で

印象に残っている一節はありますか?


今回は私が読んだ本で心に響いた一節

その⑤

をご紹介したいと思います。



それは西加奈子さんの

「くもをさがす

です。






 

この本は

タイトルからは予想だにしなかった

乳がんを宣告された作者の

ノンフィクション作品でした。


そこには闘病中に織りなす

家族や友人

担当医師や看護師との

人間模様が描かれていました。


恐怖や絶望の渦中

関わる人たちの愛に幸せを感じたり

今まで抱かなかった感謝の念が現れたり


人間はどこまでも強く

また

どのような状況になっても

希望を失わずに前を向いて歩いていける

生き物であることを

作者が証明してくれているような

作品でした。

 


その中でも

特に私の心に残った一節は


一節と表現するには長く

しかし

その一字一句をも割愛するには

「もったいない」

という思いがあり

共有したい文章をそのままに

抜粋させていただきたいと思います。

(抜粋した文章は『』にて表記)



体験したことのない者に

いくらその様子を聞いたところで

実のその苦しみや悲しみ

不安や恐怖を計り知る事はできません。


しかし


『夜、ベッドに横になると

体が沈む感覚があった。

ずうん、と、重かった。

始まった、と思った。

怖かった…』

 




の一節には

抗がん剤治療の始まりに

作者自身もまだ知り得ない

これから始まるであろう

体調の変化に覚悟を決めた描写で

自分に置き換えて

想像してみる事はできました。



闘病の中盤以降は

もう自分に置き換えてみる想像には

限界があり


ただ

ただ

「大変だったろうなぁ」

「自分だったらそんなに強くいられたかなぁ」

と言う

傍観者に身を転じた自分を

嘲笑う私がいつの間にか

そこにいました。






 

『治療で辛い時、

辛いのは自分の心だ、と思った。

治療で頑張っている時、

頑張っているのは自分の体だ、と思った。

私は自分の心を労り、

自分の体に感謝した。

そして、

そうやっている私は、

ではどこにいるのだろう、

とふと思うのだった。

少なくとも、

私の心そのものが私ではなく、

私の体とは別のところに私がいた。

何かが「自分」に起こっている時、

その出来事と私には、

いつもどこかに一定の距離間があった。 

辛くて泣いている時や、

もう許してください、

そう何かを乞うている時ですら、

私は自分のことを離れた場所で

「かわいそうだ」

と思っていた。

私は、いつも「ニシカナコ」

を見つめている何かとしてそこにいた。』







ここには

心と体の分離を感じました。


作者は元々そのように

傍観できる人だったのか

そのように

分けて考えた方が楽だったのか


または


自然とそのような境地に至ったのか


これまた

当事者でない者には

想像の世界であり

読者ごとの解釈も自由であろうと思いました。


 

『私はなくした胸に対して、

言いようのない愛情を感じた。

「どう見えるか」なんて関係なかった。

大きさなんて、

形なんて、

乳首の色なんて、

関係なかった。

私の胸は、本当に、本当に素敵だった。

医療廃棄物として処理されるであろう

私の胸と乳首に、心から謝罪したい、

そして、感謝したい。』



さっきまで私の身体についていた乳房。


「私のおっぱい」


それがほんの数時間後には

産業廃棄物として処理される



なんとせつないことでしょう。


「私のおっぱい」

私の身体から切り離された瞬間から

私の物ではなくなってしまう。

長年たしかにココに在ったのに…


女性のシンボルのおっぱいなのに…


産業廃棄物って…


泣けてきましたえーん



しかし

そんな一読者の想いをよそに

作者はあくまでも冷静に

常に自身と対峙していました。

 






カナダと言う異国の地で

しかもコロナ禍で帰国もできない中

英語もままならない状況で

幼子を抱えながら


さらに

コロナにも罹患しながらの闘病生活は

どれほど不安だったことでしょうぐすん



しかし

こちらの本は


不安を希望に変える

作者の洞察力とマジックが

同じ状況になった人々へのエールとして

まるで事前に計画されていたかのように

やわらかく

時に面白く描写されていて

カナダ人の翻訳は

全て関西弁という斬新さゲラゲラ


和みの会話も多数綴られていて

随所に

闘病記とは思えない癒しを

与えてもらえる手記でしたクローバー







間もなく章が終わろうとするあたりで

作者はこう綴っていました。


『乳がんを告げた私に、

義母がかけてくれた最初の言葉は

「大丈夫よ!」だった。

それは、がんになりたての私が、

一番欲しい言葉だった。

…』



2人に1人ががんになる現代。

決して人ごとではありません。


みなさんは

もしも

大切な人がそのような病になったなら

最初にどんな声をかけてあげますか?




愛する人から「がんだった」

と聞いた時

私は不覚にも涙を流してしまいました。


今となっては

遠い昔の

これは私の想い出話です🫧🕊️🫧



 

本日の投稿は以上となります。

今日も最後までお付き合いいただき、

ありがとうございましたニコニコ

 

 

 

未来手帳シェア会 参加者募集中!

ありがとうございます。

お陰様で満席となりました。

 

 

 

 

 

食生活を整えたい方募集中!↓