青春暗黒ミステリーの代表作といえば、この作品、と言えるほどその奇妙なタイトルで衝撃のインパクトを残す、名作。桜庭一樹の、「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」



あらすじ

田舎町に暮らす中学生・山田なぎさが、どこか危うい転校生の海野藻屑と出会うところから始まる。
藻屑は「自分は人魚だ」と語り、奇妙で虚飾めいた言動を繰り返す。
現実的で貧しい生活を送るなぎさは、藻屑に苛立ちながらも強く惹かれていく。
しかし藻屑の家庭には深刻な暴力と孤独が隠されており、物語は徐々に破滅へ向かう。
「本物の弾丸」と「砂糖菓子の弾丸」という比喩を通して、少女たちの救われなさと残酷な現実を描いた青春小説。





初めて読んだ種類の小説で、大人になりきれない少女を丁寧に描いています。一部読んでいて古い表現というか違和感が少しありましたが、そこは著者の筆力によりカバー。ジュブナイル的ミステリ的純文学的少女文学みたいな感じです。


桜庭一樹の作品はこれが初めてですが、かなり印象に残りました。

特に藻屑みたいな人と、私も過去関わったことがあります。なので、より私の中で深く刺さったところ、リアル感が伝わってきました。

ミステリとしては展開自体が単純で技巧で驚かす作品ではないですが、まだ未成熟な中学生女子のなぎさが、明確に暴力を認識してしまったという過程にこの作品の核があるのではないか、と思います。

さらに重要なのは、藻屑は記号的な被害者ではなく、自分に暴力を揮った父を恐れ、同時に慕っています。そこはかなり生々しいと感じます。

意地悪であるのは、なぎさと藻屑と関係が百合的消費されやすい構図であるのにも関わらず、容赦なくそれを破壊していくということ。しかし内面は、かなり色濃いモラトリアムの終焉。

大人側になりたくない藻屑と、

大人にならなければならないなぎさと。

この対比を巧妙に使いながら暴力と孤独を漂わせている本作の核は、魔法少女まどかマギカにも通じるところがあるのではないでしょうか。