劇団「ブス会*」を主宰する溝口真希子の演劇を、溝口自身がペヤンヌマキ名義で監督した作品だ。

CSのホームドラマチャンネル開局25周年の作品として作られている。

 

弥生(江口のりこ)、愛美(内田滋)、清美(古川琴音)の3姉妹は、母の誕生日に母を連れ、佐賀の温泉宿に来ていた。

弥生は優等生でしっかり者だが口うるさく、愛美は容姿端麗で歌も上手いが生活はややだらしがない、三女の清美は真面目で今も実家で両親と暮らしているが、自分の主張をすることが苦手だった。

そして三人に共通するのは、何かと言うとネガティブ発言を繰り返す母親のようにはなりたくない、であった。

 

温泉宿に到着する道すがら、迎えの車が道から脱輪するというトラブルに見舞われる。

母と姉妹は宿に到着するが、その段階から弥生が愛美の仕切りにケチをつけ始める。

宿を予約したのは愛美だが、母親は露天風呂が狭いと文句を言っている、もう少しいい宿はなかったのか、とか、母親にサプライズをする食事の場所を確認していないのか、などである。

元々仲がいい二人ではなかったが、早速険悪になりつつある姉二人を清美はなんとかなだめようとする。

そしてその清美は、この旅行で報告しようとしていることがあった。

それは、近所の酒屋の息子のタカヒロとの結婚であった。

 

母の誕生日プレゼントと言うシチュエーションを舞台にしたコメディである。

ほとんどが旅館の一室で撮影されており、いかにも演劇を映画化したという感じである。

演技力のある役者を使っており、脚本も悪くないのでそこそこ面白い。

ただ、途中でちょっとダレてしまう。

原因はタカヒロを演じている、ネルソンズの青山フォール勝ちの演技力かもしれない。

姉妹3人の会話だけでは間延びするため、この清美の婚約者であるタカヒロがここそこで天然ぶりを発揮するシーンが織り込まれているのだが、演技力がイマイチなためかなりスベリ気味で、逆に間延びを助長している。

これであれば、温泉宿の従業員にもっと突っ込みを入れさせた方が、アクセントになったのではないかと思う。

 

ただ、青山フォール勝ちだけの責任とは言い難く、演劇と異なり映画は臨場感とテンポが異なるので、その差が大きく出てしまったようにも思う。

 

女優3人が実力者揃いなので期待して観に行ったが、もう少し映画としての作りこみがほしかったかな、という印象になってしまった。

 

 

96.お母さんが一緒



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