監督が主演の奈緒のインティマシー・コーディネーターを断った事で、話題になっている作品だ。

さらに、オフィシャルサイトのキャッチコピーから「快楽に溺れ」と言う一文が削除されたことも、ニュースになった。

だが内容的には、そこまで大騒ぎをするレベルではないのではないか、と思った。

 

教師の原美鈴(奈緒)は親友の美奈子(三吉彩花)に呼び出され、付き合っている早藤(風間俊介)と結婚すると告げられる。

学生時代から二人と付き合いのあった美鈴だが、実は早藤にレイプをされ、その後も早藤に呼び出されて肉体関係を続けていた。

そんな状況で自分を押し殺す事を覚えた美鈴は、世の中とは不平等なもので、特に女性である事が一番の不公平だと考えていた。

 

美奈子と早藤が婚約した事で、美鈴は早藤との関係を終わらせようとする。

しかし早藤は美奈子の局部の写メを撮り、それをバラ撒くと脅して関係を続けようとした。

 

そんな時、美鈴が担任をしている新妻祐希(猪狩蒼弥)と言う生徒が、人妻とホテルから出てきたところを目撃されてしまう。

学校でも噂になってしまい、美鈴は祐希に事実関係を確認するが、祐希はあっさり事実だと認めてしまった。

祐希が事実ではないと発言するだけで学校は不問にする事ができると、美鈴は祐希を説得するが、祐希は事実だと言い続ける。

そして、自分は女性の局部が怖くて、それを克服するためにバイト先の人妻と関係を持とうとしたが、ホテルに入ってからやはり怖くなったので帰ろうとした、しかし無理やりレイプされたと言う。

だが女性は性に対して不平等だと感じていて美鈴は、自分がレイプされたと言う祐希を涙を流しながら論破してしまう。

 

関係を終わらせることができない早藤と、美鈴を慕う祐希、この二人と美鈴の関係がストーリーの軸である。

しかし、早藤との関係がかなりエゲつなく描かれているのに対し、一方で祐希はピュアに描かれているため、世界観が噛み合っていない。

別の映画を観ているようにも感じてしまった。

美鈴自身が、祐希によって早藤との関係から救われたい、と考えているのであれば、なんとなく純愛ストーリーとしてまとまったようにも思う。

しかし、美鈴は祐希に対してもある種の嫌悪感を抱いているため、美鈴が何を望んでいるのかが見えてこない。

この展開であれば、ハッキリ言って祐希のエピソードは不要だったかな、とも思ってしまう。

そもそも美鈴は早藤に対して怒っているのか、それとも早藤との関係を断ち切れない自分に怒っているのかもはっきりしない。

主人公の美鈴の立ち位置がハッキリしないので、観ていて違和感を感じた。

 

原作は全8巻との事なので、映画はかなり端折られた部分が多いのかもしれない。

脚本が安達奈緒子なのでもう少しまとまった作品を期待をしたのだが、ハッキリ言ってエロ部分だけがクローズアップされてしまった感じである。

 

 

92.先生の白い嘘



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