人づきあいが苦手な作家と多感期な女子高生と言う、なかなか面白そうな設定だが、やや詰めの甘さが目立つ作品だった。
高代槙生(こうだいまきお/新垣結衣)はライトノベルの人気作家だ。
ある日姉夫婦が事故で亡くなり、残された姪の朝(早瀬憩)を引き取ることになる。
槙生は姉と仲が悪く、大人になってからはほとんど連絡を取っていなかったため、朝ともほぼ初対面である。
しかも槙生は、人づきあいが苦手だった。
朝は多感期で、事故の直後に中学の卒業式があったが、学校には両親が亡くなったことを知らせていなかった。
クラスメートに変に同情されたくなかったので、誰にも告げずに卒業式に参加するつもりだった。
しかし唯一事故の事を知らせた親友のえみりが母親に話してしまい、そこから学校に伝わってしまう。
登校してその事を知った朝は、ショックを受け卒業式に出ず学校を飛び出してしまう。
帰宅後に槙生から説得され、えみりとは仲直りをした。
その後朝は高校に入学し、槙生とも少しずつ分かり合えるようになるが、朝は槙生が母を毛嫌いしていることが気になった。
朝は母が大好きだったので、槙生にも母を好きになってもらいたいのだが、槙生はこの件に関しては頑固として拒否を続けた。
槙生と朝の距離感を描いた作品だが、この距離感が絶妙に表現されている。
槙生の不器用な生き方と朝の高校生っぷりが、観ていて心地いい。
ただ、ここそこで説明が不足している部分が多い。
朝がなぜ、両親が事故死したことを中学に知らせなかったのかが、最初はわからない。
槙生の母、朝の祖母もいるのだから、普通なら祖母が学校に連絡しそうなもので、それをしていないのは朝の意思によるものだと思われる。
しかしその理由は描かれていない。
後から、おそらく多感な時期だからだろうと、なんとなくわかるが、理由としてはやや弱く、映画がスタートした直後でキャラがよくわからなかったこともあり、観ていてモヤモヤした。
その他にも、朝が同級生から「大人だね」と言われた後、朝が一人だけになり「あれ?」と言う。
朝が無理して大人ぶる事に違和感を感じたシーンで、いいシーンだと思うのだが、その後を受けるエピソードがなかった。
また、後見人の弁護士として染谷将太も出演しているが、作品全体にはあまり必要性を感じなかった。
おそらく原作では、もっと重要なキャラだったのではないかと思う。
朝役の早瀬憩の演技は、正直まだ子役の域を抜け出ていない。
ただ、なんとも言えないオーラを感じた。
おそらく、周りの役者も彼女の演技に引っ張られた部分があったのではないかと思う。
この作品を境に大きく飛躍しそうな感じがする。
いい作品だとは思うが、あと少し作りこむだけでもっと評価の高い作品になったのではないかと思った。
78.違国日記
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