コメディ映画かと思って観に行ったが、実在のレスラーが書いた自伝が原作の作品だった。
山口県に住む岩谷マユは、高校1年の時にレイプされそうになる。
しかし傷だらけで帰宅したマユを見て、母親はマユが何かをしでかしたのではないかと決めつけた。
その事がショックで、マユは引きこもりになってしまう。
引きこもっている間、マユは妄想の世界マユランドで暮していた。
やがて2年が過ぎるころ、マユは兄に誘われてプロレスを観に行くのだが、初めて生観戦したプロレスに完全に心を奪われてしまう。
そして、女子プロ団体旗揚げのために新人を募集している団体をガラケーで見つけ、マユは勢いで応募をする。
母からも大切にされていないと感じたマユは、そのまま家出をして団体に入ってしまった。
マユはまったくスポーツの経験がなく、同期の中でも群を抜いてレベルが低かった。
何度も心がくじけそうになるが、それでもマユはプロレスを続ける。
すると、逆に弱い事が観客にウケ、人気者になってしまう。
その事が原因で同期の巨瀬川(こせがわ)と険悪な関係になってしまい、マユの親友の東子と巨瀬川が対戦した時、本気の殴り合いになり巨瀬川はケガをしてしまう。
後で取り下げたものの、巨瀬川は当初被害届を出してしまったため、東子も団体に戻れなくなってしまった。
マユもケガでリングに上がれなくなり、団体は窮地に陥る。
原作を読んでいないのでよくわからないが、事実にかなり忠実に作られているようである。
ただそれゆえか、あまりドラマティックな展開にはなっておらず、よくあるスポコン系のストーリーになってしまっている。
主人公の岩谷マユ選手のファン、あるいは女子プロレスファンなら楽しめるのかもしれないが、個人的には女子プロレスにもほぼ興味はないので、ストーリーに共感することはほとんどなかった。
それに加えて、実際のレスラーを起用しているためか、女子プロレスラー役の演技全体がかなりダメダメであった。
そこそこ見られる演技だったのは主人公のマユ役の平井杏奈と東子役のゆきぽよ、そして現役レスラーの朱里と言う人だけで、それ以外はハッキリ言って学芸会レベルだ。
脇役で竹中直人と石野真子も出演しているが、この二人以外のお笑い系の出演者も、軒並み大根演技で会った。
こうなると役者の演技力と言うよりは、監督の演出力に問題があるのではないかと考えてしまう。
ただプロレスについては、なかなか迫力のある演技だった。
現役レスラーも出演しているとは言え、レスラーではない女優についても、プロレスシーンは「ガチ感」た伝わってきた。
個人的にはかなり期待外れだったが、プロレスファンには堪えられない作品なのかもしれない。
71.家出レスラー
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