夢枕獏の「陰陽師」が原案だが、本作品は夢枕獏の小説ではなく、夢枕獏から依頼された佐藤嗣麻子がオリジナルで脚本を書きおろしている。

予告編を観た段階では微妙な印象だったが、その印象通りの作品だった。

 

平安時代中期、朝廷と貴族が政治を司る中、事象を占う陰陽師も正式な官職に就いていた。

陰陽師にも他の官職同様階級があり、一番下の陰陽師は学生(がくしょう)と呼ばれ、陰陽寮で博士の教えを受け修行をしている。

安倍晴明(山﨑賢人)も陰陽寮で学ぶ学生だったが、師であり育ての親でもある陰陽博士の賀茂忠行(國村隼)にその実力を認められ、周囲からも一目置かれていた。

しかし晴明自身は占いそのものには興味がなく、陰陽の本質は催眠や暗示と考えていた。

実際、貴族たちの前でカエルを破裂させたが、それは幻覚作用のある香で貴族たちを暗示にかけただけだった。

その事を知った醍醐天皇の孫である源博雅(染谷将太)は、晴明に興味を抱く。

そして、自分の従兄弟である徽子女王(奈緒)が、琴の弦が切れ金の龍が見えたという話を清明にする。

すると晴明は、その場で金の龍を瓶に閉じ込めてしまう。

その話を伝え聞いた帝(板垣李光人)も、晴明に興味を持った。

 

そんな時、学生の一つ上の階級であった得業生の橘泰家(村上虹郎)が謎の死を遂げる。

博士の中でも最上位に位置する陰陽頭の藤原義輔(小林薫)は、橘泰家は呪術で殺されたと考え、学生たちにその犯人を捜すように命じる。

そして犯人を探し当てた者は、橘泰家の代わりに得業生にするとも告げた。

すると、45歳と高齢で学生のままであった平郡貞文(安藤政信)が功を焦り、晴明を呪術の犯人と決めつけて捕らえてしまう。

 

全体のストーリーは、はっきり言って今一つである。

夢枕獏原作の「陰陽師」は読んだこともなく、野村萬斎が演じた実写映画も観ていないが、時の権力者による争いがテーマだと聞いていた。

しかし今回は、学生に毛の生えた得業生殺人がテーマである。

ネタバレになるので詳しくは書けないが、実際にはもう少し深堀したテーマではあるものの、そうであってもかなりスケールが小さい事は間違いない。

 

佐藤嗣麻子は作品によって出来不出来の差が激しく、「アンフェア」シリーズと「K-20 怪人二十面相・伝」は素晴らしかったが、今回は良くない方の作品になってしまっていた。

 

 

68.陰陽師0



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