アメリカ大統領選挙の公約にも大きな影響を持っている人工中絶がテーマの作品だ。

人工中絶が合法になるまでのアツき戦いが描かれているのかと思ったが、ちょっと想像していた内容とは異なっていた。

 

1960年代、ジョイはティーンの娘と弁護士の夫ウィルと3人で暮していた。

ある日ジョイは自宅で倒れて搬送されるが、原因は妊娠であると告げられる。

ジョイは心臓の疾患があり、医師からも出産は生命の危険が伴うと忠告される。

そこでジョイとウィルは妊娠中絶の申請をするが、病院から却下されてしまう。

途方に暮れるジョイとウィル。

隣家にはジョイと親しくしているラナが住んでいたが、彼女は最近夫を心臓疾患で急死して、まだ完全には立ち直れないでいた。

そんな状態だが、ウィルはその後何もしてくれない。

ジョイは仕方なく闇医者を訪れるが、待合室で怖くなって逃げ出してしまった。

そしてバス停までたどり着くと、「妊娠?助けが必要?ジェーンに電話を」と言う張り紙を見つける。

恐る恐る電話をすると、後日指定された場所で待つように言われた。

待ち合わせ場所には黒人が車を運転して現れ、ジョイは目隠しをされてとある一室に案内される。

そこで中絶手術の処置を受けた。

 

ジョイは部屋でジェーンに挨拶をしようとすると、リーダーのバージニアからジェーンは人名ではなくコード名だと言う。

バージニアたちは不慮の妊娠に悩む女性たちを助ける活動をしていた。

ジョイは帰宅して、ウィルと娘には出血して流産してしまったと説明をする。

その後、ジェーンから体調を気遣う連絡があり、それがきっかけでジョイもジェーンを手伝う事になる。

 

実話を元にした作品らしいが、ストーリが巧く整理できていない。

妊娠中絶が認められない、まだ人種差別も横行している、などの社会状況がこの作品の重要な要素になっている。

ただそれが、登場人物のセリフだけで処理されている。

ジェーンは600ドルを支払える人だけを対象にしていたが、ジョイの提案で支払い能力がない人も対象にする。

その優先順位をどうするかの話し合いだけで、人種差別が語られてしまう。

ウィルのモラハラぶりは描かれているものの、ジョイにとってかなり重要人物である娘のシャーロットの考え方も、セリフだけなので説得力がない。

脚本が悪いのか翻訳が悪いのかは判断ができないが、盛り上がりがなく淡々とストーリーが流れていく。

演出として盛り上がる部分もない。

 

本来なら感動的なストーリーになる作品ではないかと思うが、残念ながら観終わった後に感動は感じなかった。

 

 

57.コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話-



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