この作品も、NHKの「あさイチ」で紹介された時に面白そうだと思って観に行った。

見終わった後の感想は、期待を遥かに上回る作品で、ただただ感動の一言だった。

 

アン・ミソ(キム・ダミ)は美術館から呼び出されていた。

彼女がモデルとなった絵画がコンテストで入賞し、美術館は作者に連絡を取ろうとしたがメールの返信もなく、仕方なくモデルとなったミソを捜して連絡してきたのだ。

絵を見たミソは古い友人だが今は連絡を取っていない、と答えるが、美術館員は作者のブログにあなたの事が書かれていると話した。

ミソは、プリントアウトされたブログを持ち帰って読む。

ブログのタイトルは「夏の銀河」、ミソが初めて出会った夏にハウン(河銀)の名前を「銀河」と言ったことに由来している。

 

ミソは小学生の夏に、母と済州島に引っ越してきた。

母が彼を代えるたびに引っ越すため、ミソは学校に馴染もうとしない。

そんな中、同じクラスにいたハウンとは意気投合し、一緒に子ネコを拾った事で親友となる。

ミソはハウンの両親にも可愛がられ、母が他の街に行くときも済州島に残ってハウンの家にやっかいになった。

 

やがて二人は高校生となる。

ミソはハウン(チョン・ソニ)の家を出て、ゲストハウスで住む込みで働きながら美術を学ぶ学校に通っていた。

だがミソの絵は印象派のように個性的で、先生からもデッサンを無視するなと怒られる。

逆にハウンは卓越したデッサン力で美術の道に進めそうでもあったが、普通の進学校に通っていた。

思春期の二人は毎日のように放課後顔を合わせ、ミソはハウンの誕生日の前にピアスを開ける事を提案した。

しかしピアスの店でひと悶着あり、ハウンは片方の耳にしか穴を開けられなかった。

そこでミソがプレゼントしたピアスを、二人は一つずつ付ける事にした。

 

その後、ハウンは同じ学校のジヌを好きになる。

二人は付き合い始め、ミソはジヌにハウンを大切にして欲しいと言うが、ハウンのいないところでジヌはミソにキスをしてしまう。

ミソは、ハウンとジヌから距離を取るようになり、直後に付き合った彼と一緒に済州島を出てソウルで彼が通う美術学校に自分も通うと言いだした。

ハウンがミソを見送った時、二人は微妙な空気になっていた。

 

ミソがソウルについてすぐに、彼が浮気をしたことが発覚し、彼と別れる。

ミソは一人で住む部屋を借りて絵を描き始めたが、アルバイトを掛け持ちして疲弊する毎日だった。

だがハウンに送った手紙には、自分は絵を描きながらシベリア鉄道に乗って旅をして、モロッコを目指していると書いた。

それは二人が小学生の頃に話した夢だった。

 

しばらくして、ミソはハウンの家に遊びに行く。

ハウンは地元の大学を出て教師になっていた。

ハウンの両親もミソを歓迎し、二人は泊りがけで釜山に遊びに行くことにした。

だが宿泊する時、ミソが安いモーテルに泊まろうとすると、ハウンはせっかくだからもっとちゃんとしたホテルに泊まろう、宿泊代は私が出すから、と言った。

ミソはハウンの提案を受け入れ、それならば夕食代は自分が出すという。

しかし久しぶりの再会を喜んだハウンは、レストランで高いステーキを選択した。

メニューを見て困ったミソは、同じレストランでパーティを開いていたグループに掛け合ってワインを調達する。

だがハウンは、そんなミソを苦々しく思い苦言を呈してしまった。

二人はケンカ別れをしてしまう。

 

数年後、ミソはソウルでたくましく生きていた。

ハウンはジヌと婚約したが、ジヌは医師の勉強をするためにソウルに来ていた。

そしてジヌは、二人を仲直りさせようとミソと合うのだが、事業に失敗したミソの彼が自殺してしまい、ミソは自暴自棄でボロボロになる。

そんなミソを見捨てる事ができなかったジヌは、一時的に自分の部屋にミソを住まわせるのだが、ちょうどハウンがソウルに来てその場面を目撃してしまう。

 

大の親友だった二人が、思春期の恋愛から少しずつ歯車がかみ合わなくなり、やがて完全に決裂してしまう。

だが表面上とは異なり、二人は常にお互いの事を一番に考えていた。

知り合った時からお互いが、自分が持っていない相手のいいところに憧れつつ、同時に自分が持っていないことに劣等感も感じてしまう。

特にミソは自分の境遇と、ハウンが両親と仲がいい事の差を実感しているが、大好きなハウンと両親に気を使わせたくないので、常に気丈に振舞う。

そんなミソの気持ちをハウンも気付いており、気を使わない家族と同じように接したいと考えていた。

この微妙な感情のズレが、成長とともにどんどん大きくなっていく。

二人の心情変化の描き方が本当に見事で、ストーリーにどんどん引き込まれてしまった。

 

二人の卓越した演技力、特にミソ役のキム・ダミの演技は素晴らしい。

それに加えてネコを使って時間経過を表現するなど、ディティールの演出もきめ細かく、非常に完成度の高い作品と言っていいだろう。

韓国映画の実力を見せつけられたようでもある。

誰にでもおススメできるが、特に女性に見てもらいたい映画だ。

 

元々は中国映画のリメイク作品らしいので、機会があればオリジナル作品も観てみたい。

また、キム・ダミは「梨泰院クラス」で、天才少女のチョ・イソ役だったらしい。

リメイク版ドラマの「六本木クラス」は見ているが、キム・ダミが天才少女を演じていると言うのであれば、オリジナルの「梨泰院クラス」も見てみたいと思った。

 

 

40.ソウルメイト



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