2011年に加賀温泉郷をプロモーションするために誕生したユニット「レディー・カガ」。

おそらく、2024年3月の加賀温泉駅開業プロモーションの一環として、このレディー・カガをテーマにして作られたと思われる作品だ。

地元から協賛金が出ていると思われ、ロケ地を含めストーリーにいろいろと制約が入ったためか、主要キャストはそこそこのメンバーであるにもかかわらず、かなりお粗末な作品になっていた。

 

樋口由香(小芝風花)は東京でタップダンサーを目指していたが、なかなか芽が出ないでいた。

そんな時、加賀温泉郷の実家の温泉宿から母が倒れたと連絡が入る。

由香は慌てて帰省するが、タップダンスで成功できていなかった事もあり、新幹線の中で知り合った男から進められるがままに酒を飲み泥酔してしまった。

気が付くと実家の自分の部屋に横たわっており、母の春美(檀れい)が元気そうにしていた。

母からなぜ戻ってきたのかと聞かれ、そろそろ私も女将になろうかなと思って、と答えるが、あなたには女将になるための一番大切な物が不足している、とたしなめられる。

その後、高校時代の親友で実家の温泉宿を手伝っているあゆみ(松田るか)と会い、以前の仲間と集まることになったが、その席で見かけた女将ゼミナールのポスターを見て、あゆみと一緒に通ってみる事にする。

しかし、女将ゼミナールの講師の白石(佐藤藍子)の指導は厳しく、由香はくじけそうになってしまう。

 

それと並行して、由香が新幹線で出会った男が、加賀温泉郷のプロモーションを考えていた。

男は花澤譲治(森崎ウィン)と言う有名な観光プロデューサーだが、お調子者で自分のことをジョーと呼べなどと言う。

しかも言動も突飛で、市の観光課職員は振り回されてしまっていた。

ある日、地元のイベントでよさこい踊りが披露されているのを見て、落ち込んでいた由香はダンスの楽しさを思い出す。

そしてジョーの発案で、次のイベントでレディー・カガチームのタップダンスを披露することになった。

だが、集まったのは由香以外は素人ばかり。

しかもイベントまでの日数は2週間しかなかった。

 

まず、素人集団がタップダンス習得のために努力する、というよくあるストーリー構成だ。

それに加えて、母の春美が実ややっぱり病気だったり、あゆみが家の事情でタップの練習を離れたりと、平成も終わって令和も5年目のこの時代に、思いっきり「昭和」のエピソードが次々差し込まれてくる。

プロットの設定もかなり粗っぽい。

タップダンス披露のイベントまで2週間しかないのに、その間にトラブルが続出する。

にもかかわらず、素人がそこそこタップを踏めるようになってしまう。

タップのインストラクターも、「SNSで北陸中に呼びかけよう」と言っているのに、次のシーンで由香のタップのインストラクターがもう東京から加賀に来ていたりする。

極めつけはタップのイベントで、「2部と3部の間が5分しかないから早着替えだ」と言っているのに、1部と2部が昼間なのに、3部が始まるのはとっぷり日が暮れた夜である。

どう考えても、2部と3部の間はたっぷり1時間以上はあると思われる。

イマドキ、高校生が学園祭用に作る映画でもこんないい加減な設定はないだろう、とあきれるレベルだ

メインキャスト以外の演技もかなりひどく、メインキャストとの演技力の差に違和感を感じた。

 

ただストーリーは別として、加賀温泉郷の魅力を伝えるという意味では、まずます効果があるのではないかと思える。

震災の影響で客足が伸びていないというニュースも伝え聞いているので、新幹線開業後に機会があったら訪れてみたいと思った。

 

 

24.レディ加賀



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