昨年末に放送され録画しておいた「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」を見る。

正直それほど期待していなかったのだが、NPBエンタープライズが制作したオフィシャルムービーで、ベンチ裏まで詳細に記録されたドキュメンタリーで、なかなか見ごたえがあった。

 

スタートは2022年夏、栗山監督がスタッフを招集して会議をするところから始まる。

主な議題はメジャー選手の招集についてだ。

この段階で栗山監督はヌートバーをリストアップしており、大谷翔平とダルビッシュにも交渉を行うと発言していた。

その後、12月に吉田正尚がポスティングを申請、栗山監督はメジャー挑戦1年目は対応するだけでかなり厳しい状態である事がわかっていたため、吉田に無理をしなくてもいいと言ったそうだが、吉田が自ら栗山監督になんとか代表合流に間に合わせると伝えたらしい。

 

そして年明けに代表が発表され、2月にキャンプインした。

この時、栗山監督自らダルビッシュに選手の面倒を見て欲しいと伝え、ダルビッシュも了承していた。

キャンプ中、佐々木朗希は変化球の投げ方をダルビッシュに学んでいた。

それから大谷、ヌートバーが合流、しかし鈴木誠也はケガのため代表を離脱する。

3月に入り強化試合が実施されるが、その時点で決勝戦までの投手ローテーションが逆算され、ピッチャーの登板順が決まる。

 

前半は栗山監督を中心にスタッフ会議での選手の招集、そして集合した選手たちの調整過程が描かれ、後半は大谷を中心とした実際の試合中の選手の表情が描かれている。

第一戦の中国戦は大谷が先発して順調にスタートするが、第二戦ではダルビッシュが本調子ではなく先制され、かつ試合途中で源田が右手小指を骨折する

試合は中盤で逆転して結果は圧勝だったが、ショートのバックアップが中野一人だけだったため、ベンチ裏は緊迫感が漂っていた。

 

渡米後の準決勝メキシコ戦も、先発した佐々木朗希が先制され4回途中でKO。

ベンチ裏に戻った佐々木はグラブを叩きつけ、さらに奥に入って涙をぬぐっていた。

岡本のホームラン性のあたりも、メキシコのレフトがフェンスを超えたボールをつかみ取ってアウトにしており、ベンチはかなり重苦しい雰囲気になっていた。

そんな中でチームを鼓舞したのは大谷だった。

ゲームの結果はわかっているのだが、吉田の3ラン、そして村上のサヨナラ安打が出た時は、リアルタイムで試合を見ていた時同様に興奮してしまった。

 

後半はほぼ大谷が主役と言っていいだろう。

ただ、元々それを狙って撮影されたわけではなく、試合結果を元に編集すると結果的にそういう事になってしまった、と言う感じである。

大谷以外も吉田やヌートバーなど、大会を通して活躍した選手はそこそこクローズアップされ、苦しんだ村上やケガをした源田、離脱した栗林などもクローズアップされている。

しかしダルビッシュでさえ大会に入ってからはあまり登場せず、松井、大城にいたっては試合中のユニフォーム姿は映るものの、発言が取り上げられることもなく、名前が字幕になることもなかった。

 

東京オリンピックの時には、NHKが日本代表の選出から金メダルをまでをドキュメンタリー番組にしており、そちらもかなり面白かった。

だがこの作品は、あらかじめ映画化が前提になっていた事もあり、かつ劇的な試合も多かったため、東京オリンピックのドキュメンタリー番組よりも濃密な作品になっていた。

野球ファンであれば一度は見ておくべき作品である。

ラストシーンで大谷が「グラブは?」と言うシーンは、日本の野球史に残る名シーンである。

 

 

21.憧れを超えた侍たち 世界一への記録



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