女性に目がなく、「最愛王」と呼ばれたルイ15世の最後の愛人デュ・バリー夫人の生涯を描いた作品だ。

フランス革命前後の作品はカテゴリーを問わず日本でも数多く公開されているが、この作品はその前日譚に近いストーリーで、まったく知らなかった逸話も含まれており興味深く観た。

 

ジャンヌは母が仕えた家の主人からかわいがられ、その才能も評価されていた。

そしてその家の主人は、当時のフランスの貧しい家庭の娘が将来たどるような道に進まないように、ジャンヌを修道院に入れる。

修道院はジャンヌにとって退屈な場所だったが、彼女は読書で自分の心を和ませていた。

しかしその書物にキリスト教にそぐわない物があったため、ジャンヌは修道院を追放されてしまう。

元の家に戻って母と再会をしたジャンヌだが、主人の妻が、やがてジャンヌが夫の愛人となることを恐れて母ともども家を追われてしまう。

 

その後母とパリに移り住んだジャンヌは、娼婦として働いているところをデュ・バリー子爵に見初められる。

バリー子爵は才能があるジャンヌを、自分の愛人としてではなくルイ15世の愛人にしようと目論んでいた。

社交界で通用する知識とマナーを学ばせ、自分の息子の家庭教師もさせていた。

やがてジャンヌは、ルイ15世と謁見する機会を得る。

ポンパドール夫人を亡くしたばかりのルイ15世はジャンヌに一目ぼれし、彼女はすぐにヴェルサイユに呼ばれることになる。

 

ルイ15世は亡くなった王妃との間に多数の子供がいたが、生存する男子はいなかった。

王位継承権を持つ皇太子は、後のルイ16世となる孫だけである。

ただ、どこにも嫁いでない娘が4人いた。

この娘4人は当然だが平民、しかも娼婦だったジャンヌの存在を忌み嫌った。

末娘のルイーズは、これまでの父の奔放な生活に愛想をつかして修道院に入ってしまうほどだった。

ルイ15世は愛する末娘が修道院に入ったことに激しく心を痛めるが、それでもジャンヌへの寵愛は続く。

ポンパドール夫人が作った「鹿の園」もまだ存続して、時折他の女性を寝室に入れることもあったが、ルイ15世の愛情はジャンヌにのみ注がれた。

そこに皇太子妃として、オーストリア・ハプスブルグ家からマリー・アントワネットがやってくる。

奔放にふるまうルイ15世とジャンヌに嫌悪感を抱いていた、ルイ15世の娘3人と祖の取り巻きたちは、高貴な出自のアントワネットこそヴェルサイユの王妃としてふさわしいと持ち上げ、ジャンヌを徹底的に無視するように仕向ける。

 

冒頭にも書いたが、日本ではあまり語られていないルイ15世時代が舞台の作品である。

女性にだらしのないルイ15世を、久しぶりにスクリーンで顔を見るジョニー・デップがいい感じで演じていた。

マリー・アントワネットは家柄の格式から、ルイ15世と同等かそれ以上に扱われているなど、フランス革命に通じる歴史を知ることができた。

また、当時は王の愛人と言えども家柄重要で、貴族の夫人がなるという部分にはちょっと驚かされた。

「ベルサイユのばら」でルイ16世は性的不能者的な描き方がされていたためずっとその通りだと思ったが、実際にはそうではないという事もわかった。

歴史的な知識を得るという部分でも、なかなか興味深い作品であった。

 

 

18.ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人



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