先日、第47回日本アカデミー賞の各部門の優秀賞が発表された。
ここから最優秀賞が選ばれるのだが、優秀賞の顔ぶれをみてビックリした。
2023年はかなりの良作が公開されたのだが、それらがほとんど優秀賞に選ばれていないのだ。
かつて、2019年も優秀賞の顔ぶれが酷かったので予想をしなかったのだが、今年も予想をするかどうかかなり迷った。
でも見ている作品が多いので、一応予想することにした。
まず作品賞。
怪物
◎ゴジラ-1.0
こんにちは、母さん
福田村事件
PERFECT DAYS
「こんにちは、母さん」以外はすべて観ているが、この5本なら「ゴジラ-1.0」の一点予想だ。
カンヌで「怪物」が脚本賞、「PERFECT DAYS」が主演男優賞を受賞しているが、どちらも期待していたよりも内容が浅かった。
「福田村事件」は面白いテーマであったが、内容がやや重く最優秀は難しいだろう。
ちなみに、2023年の実写の邦画興行収入ランキングで、ベスト10に入っているのは「ゴジラ-1.0」のみ。
その他の4本は興行的には成功したとはとても言い難い。
それなのに優秀賞を受賞しているのは、アカデミー賞の会員のほとんどが、大手の映画製作・配給会社の社員だからだ。
「怪物」と「ゴジラ-1.0」が東宝で「こんにちは、母さん」が松竹、その他の2本は独立系である。
東映の作品が入っていないのが気になるが、独立系のどちらかに投票したのかもしれない。
なお、もし私が選ぶとしたら以下の5作品だ。
◎キリエのうた
〇ゴジラ -1.0
ミステリと言う勿れ
映画「月」
花腐し
この5作品のうちどれを最優秀にするかは判断が分かれると思うが、本当の映画好きなら誰でも「なるほど」と言う5本である。
続いて監督賞。
ビム・ベンダース(PERFECT DAYS)
是枝裕和(怪物)
成田洋一(あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。)
森達也(福田村事件)
◎山崎貴(ゴジラ-1.0)
「あの花が~」以外はすべて観ているが、この部門だけはまあまあ納得できる顔並びになっている。
だが、やはり「ゴジラ-1.0」の山崎貴の一点予想だ。
本来は、ここにも松竹票で「こんにちは、母さん」の山田洋次が名を連ねていてもおかしくない。
しかし松竹の社員は「あの花が~」に投票したようだ。
観ていないのでなんとも言えないが、12月公開で1カ月強ながら、興行収入はすでに30億円を超えている。
なので、名作の可能性もゼロではない。
しかし人気の要因はストーリーのようなので、ここでも受賞はないだろう。
それよりも、岩井俊二の名前がないのが納得が行かない。
少なくとも「PERFECT DAYS」のビム・ベンダースよりは、「キリエのうた」の岩井俊二の方がふさわしいと思う。
次に脚本賞。
佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦(福田村事件)
ツバキミチオ(シャイロックの子供たち)
山浦雅大、成田洋一(あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。)
◎山崎貴(ゴジラ-1.0)
山田洋次、朝原雄三(こんにちは、母さん)
この部門は、観ているのが「福田村事件」と「ゴジラ-1.0」の2作品だけだ。
しかしそれでも、「ゴジラ-1.0」の山崎貴の一点予想だ。
観ていない作品はなんとも言えないが、「シャイロックの子供たち」と「あの花が~」は原作の完成度、「こんにちは、母さん」は山田洋次の名前で優秀賞を受賞したのではないかと思う。
そしてここにも岩井俊二の名前がないことは、かなり大きな疑問だ。
加えて「月」の石井裕也の名前がない事も解せない。
次に主演男優賞。
阿部サダヲ(シャイロックの子供たち)
◎神木隆之介(ゴジラ-1.0)
鈴木亮平(エゴイスト)
水上恒司(あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。)
役所広司(PERFECT DAYS)
ここも観ているのは「ゴジラ-1.0」と「PERFECT DAYS」の2作品だけだが、「ゴジラ-1.0」の神木隆之介の一点予想だ。
ただ、この顔並びなら「PERFECT DAYS」の役所広司の可能性も十分ある。
作品は淡々としたストーリーでまったく抑揚がなかったが、その中でも存在感のある演技を見せており、さすが役所広司とうならされる演技だった。
次に主演女優賞
綾瀬はるか(リボルバー・リリー)
安藤サクラ(怪物)
◎杉咲花(市子)
〇浜辺美波(ゴジラ-1.0)
吉永小百合(こんにちは、母さん)
予想の意味があるのは、今年はこの部門だけかもしれない。
「こんにちは、母さん」以外はすべて観ているが、綾瀬はるかはないだろう。
安藤サクラも主演と言う感じではなかった。
そうなると杉咲花か浜辺美波だが、杉咲花の存在感が素晴らしかったので本命に推す。
朝ドラで主役も張っており実力は誰もが認めるところで、ここで最優秀を受賞しても不思議ではない。
ただ、本来であれば「月」の宮沢りえだったと思う。
次は助演男優賞
◎磯村勇斗(月)
伊藤健太郎(あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。)
大泉洋(こんにちは、母さん)
加瀬亮(首)
〇菅田将暉(銀河鉄道の父)
「あの花が~」と「こんにちは、母さん」は観ていないが、おそらく「月」の磯村勇斗だろう。
あの狂気に満ちた演技は、評価されて然るべきだ。
菅田将暉の宮沢賢治も頑固なキャラで上手かったが、真っ直ぐ過ぎて宮沢賢治の「屈託」の部分が足りなかったように思う。
次は助演女優賞
安藤サクラ(ゴジラ-1.0)
上戸彩(シャイロックの子供たち)
永野芽郁(こんにちは、母さん)
◎浜辺美波(シン・仮面ライダー)
松坂慶子(あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。)
観ているのは「ゴジラ-1.0」と「シン・仮面ライダー」の2作品だが、浜辺美波の1点予想だ。
安藤サクラは、「ゴジラ-1.0」の中ではそれほど目立つ役どころではなかった。
ただ、本来であれば「キリエのうた」の広瀬すずだったと思う。
次はアニメーション作品賞
鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
◎君たちはどう生きるか
映画 窓ぎわのトットちゃん
名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)
BLUE GIANT
観ているのは「鬼太郎誕生~」と「君たちはどう生きるか」だが、普通に考えて「君たちはどう生きるか」だろう。
ただ、見逃してしまったが「BLUE GIANT」も相当評価が高く、昨年は興行収入1位だった「ONE PIECE」ではなく「THE FIRST SLAM DUNK」が最優秀だった事を考えると、「まさか」の「BLUE GIANT」の受賞もあるかもしれない。
最後は外国作品賞
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
バービー
パリタクシー
◎ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE
TAR ター
「パリタクシー」以外はすべて観ているが、外国作品賞は単純に興行収入の成績が良かった作品が選ばれることが多いので、おそらく「ミッション:インポッシブル~」だと思う。
なお、最優秀がない新人賞は以下の通り。
アイナ・ジ・エンド(キリエのうた)
桜田ひより(交換ウソ日記)
原菜乃華(ミステリと言う勿れ)
福原遥(あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。)
市川染五郎(レジェンド&バタフライ)
黒川想矢(怪物)
高橋文哉(交換ウソ日記)
柊木陽太(怪物)
個人的にはアイナ・ジ・エンドが受賞していることは、順当ではあるが素直に嬉しい。
それと原菜乃華が受賞しているのも順当と言えるだろう。
毎年思う事だが、すでに実績を重ねているのに新人賞を授与するケースが多い。
桜田ひよりは4年も前に「男はつらいよ」にも出演していたし、その前の「祈りの幕が下りる時」でも印象的な演技をしていた。
それに加えて、映画は初めてとは言え2歳の頃から歌舞伎の舞台を踏んでいる市川染五郎に、今更新人賞を授与するのもどうかと思う。
福原遥もまいんちゃんだけではなく、子役の頃からテレビや映画でいい演技をしていた。
今回は、9部門のうち7部門が一点予想になってしまった。
しかも他に選ぶ作品がないと言う消極的な理由である。
そう考えると、やっぱり予想をしなくても良かったようにも思える。
オールカマーの投票にすると、旧ジャニーズファンの組織票が入る可能性があるが、組織票にならないようにしながら一般の映画ファンにも投票ができるようなシステムに、自分が生きているうちにしてもらいたい。
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