原作は東野圭吾で、タイトルからもストレートなミステリー作品かと思ったが、どちらかと言えば青春群像劇の要素が強い作品であった。

 

人気劇団「水許」の同期の看板役者6人が、海辺の別荘に集められていた。

次回作の最終オーディションが行われるためである。

そこには、「水許」のメンバーではない久我(重岡大毅)も参加していた。

 

久我以外のメンバーは以下の通りだ。

 

・温子(堀田真由):前回の公演で突然主役に抜擢されるが、それは主宰の東郷と体の関係があったためと噂されている

・貴子(中条あやみ):前回の公演で、直前に笠原に主役を奪われる

・由梨江(西野七瀬):社長令嬢で、父親が劇団のスポンサーになっている

・雨宮(戸塚純貴):同期メンバーの中でもリーダー格

・田所(岡山天音):由梨江に想いを寄せており、劇団員ではない久我を下に見ている

・本多(間宮祥太朗):温厚な性格で、久我にも好意的に接する

 

7人が別荘に入ると、スピーカーから主宰の声で設定が告げられた

雪に閉ざされた山荘と言う設定で外部に連絡を取ることはできない、全員スマホなどの端末は預けて触れず外部に連絡を取る事もできない、オーディションは4日目の朝10時まで行われ、そこでオーディションの合格者が発表される。

初日の夜は、久我が夕食を作って水滸のメンバーに質問をしたり、されたりをした。

その際、久我が雅美(森川葵)について質問をする。

直前のオーディションでは誰もが認めるほどの演技力を発揮したのに、最終オーディションに残らなかった。

久我は他意なくなぜ雅美が参加していないのかを聞くが、次回作の役柄にハマらなかったんだろうとだけ言われた。

 

その後、温子が東郷の崇拝者だと貴子が発言すると、温子は「体で役を獲ったって思ってるんでしょ」と貴子に突っかかってきた。

貴子はそんな噂がある事すら知らなかったが、二人は気まずい状態となった。

そしてその夜、ピアノを弾いている温子の背後に、何者かが近づく。

 

翌朝、温子の姿が消えていた。

スピーカーから東郷の声で、ピアノを弾いている時に背後から絞殺された、と言う声が流れる。

6人がピアノの部屋を見に行くが、そこには温子はいない。

これはオーディションのための芝居なのか、それとも本当に殺人事件が起きているのか。

6人は議論をするのだが、その夜、今度は由梨江が姿を消す。

翌朝、由梨江の部屋の壁には赤い付着物が着いていたが、それは芝居で使う血糊だった。

しかしダイニングには花瓶が置かれており、そこには人間の血液が付着していた。

そしてスピーカーから東郷の声が、由梨江は撲殺されと告げる。

 

今目の前で起こっていることが芝居なのか、あるいは本当の殺人事件なのか、クライマックスまで観ている者にわからない設定になっている。

文字ベースの小説とは異なり、映像ではその隠し方はかなりハードルが高くなると思うが、きちんとわからないように演出されていた。

そのあたりは素直に評価ができる。

 

また、役者陣も若手の実力者を揃えており、特に雅美に森川葵を配した部分は見事だと思う。

少々ネタバレにはなってしまうが、森川葵の演技がこの作品中でもかなり機能していた。

主役の重岡大毅も決して下手な役者だとは思わないが、この中に入ってしまうとやや見劣りがしてしまう。

同じ旧ジャニーズで言えば、戸塚純貴もいい演技だったと思う。

直近のTVドラマ「だが、情熱はある」でオードリーの春日俊彰を好演していたため、一時期は春日にしか見えなかったが、この作品ではきちんと雨宮のキャラクターになっていた。

 

原作がどのようになっているかわからないが、ともすればかなり重くなってしまいそうなラストも、光が見えるいいラストになっていたと思う。

これも少々ネタバレになるが、ラストは「何者」あるいは「劇場」にちょっと似ているかなと思った。

 

 

11.ある閉ざされた雪の山荘で



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