ジェニファー・ローレンスを一気にスターダムに押し上げた「ハンガー・ゲーム」シリーズの、前日譚となる作品だ。

「ハンガー・ゲーム」で大統領だったスノーの、若き日の物語である。

 

コリオレーナス・スノー少年は従妹のタイガレスと一緒に、戦争で荒廃した街を歩いていた。

二人が帰宅をすると祖母が、スノーの父であるスノー将軍が戦争で死んだ、スノー家の行く末はあなたに掛かっていると、スノー初年に告げた。

 

13年後、アカデミーに通うスノーは、その年の学業優秀者に贈られるプリンツ賞を狙っていた。

名門のスノー家も現在は貧困に窮しており、プリンツ賞の賞金で大学に進学しようと考えていたためだ。

プリンツ賞は、億万長者のプリンツ氏が協賛する賞だ。

プリンツ氏は元々第2地区の住民だったが、カネの力でキャピタルに住むようになっていた。

プリンツ氏の息子セジャナスもアカデミーに通っていたが、キャピタル生まれの学生はプリンツ氏とセジャナスを蔑んでいた。

しかしスノーだけは、セジャナスと友人としての付き合いをしていた。

そのセジャナスからスノーは、今年はプリンツ賞の発表はないと聞かされる。

10年目を迎えたハンガー・ゲームの注目度が下がったため、アカデミーの優秀な生徒がゲームの参加者のメンターとなるシステムを導入するためだ。

そしてスノー、セジャナスたちもそれぞれゲーム参加者のメンターに指名される。

 

スノーが担当する参加者は、第12地区出身のルーシーだった。

ルーシーは第12地区の歌姫だったが、地区長の娘と彼を取り合った結果、地区長からハンガー・ゲームの参加者に指名されていた。

指名の中継を見ていたスノーは、自分が担当に決まると、キャピタル到着を待ってすぐにルーシーに接触する。

スノーはルーシーと分かり合う事で、ゲームを勝ち抜こうと考える。

そしてゲーム参加者の闘技場下見にも付き合うのだが、そのタイミングで反乱軍が競技場を襲撃した。

スノーも巻き込まれ、崩れ落ちるがれきに腕を挟まれてしまうのだが、ルーシーはスノーを見捨てずに助け出そうとした。

その時から二人は、メンターと参加者以上の関係になっていく。

 

各地区からの子ども参加者が殺し合いを行う、と言うゲームの根本は一緒だが、その後のシリーズ1作目で実施されるハンガー・ゲームの基本ルールがこの第10回大会から始まった、と言う設定になっている。

しかもそのうちのいくつかはスノーが考案している。

シリーズ1作目は広大なフィールドがゲームエリアだったが、この頃はまだ観戦スタンドがあるコロシアム型の闘技場だ。

このあたりの設定が、いかにもシリーズの「0」作品らしくて面白い。

元々ハンガー・ゲームを考えたのが学部長のハイボトムで、一緒に考えたのが親友で若き日のスノーの父だったり、物語の中に「カットニス」と言う単語が出てくる、マネシカケスがストーリーのカギとなっている、などの設定も、非常に巧い設定だ。

 

唯一の欠点は、ちょっと上映時間が長い事か。

後半の第12地区のエピソード、特に森の湖のシーンは、ちょっと冗長のように感じた。

 

ただ全体は、想像していたよりもはるかに完成度が高かった。

「ストリートファイターZERO」シリーズのように、「ハンガーゲーム0」のリブートシリーズを作っても面白いと思う。

 

 

139.ハンガー・ゲーム0



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