映画館に行ったら、ちょうど時間が合ったので観ることにした。
そのため、事前の情報はまったくない状態で観たのだが、なかなか丁寧に作られた映画であった。
鷹介(平松賢人)はかつてシェアハウスで暮らしていて、その時に知り合った水帆(高田夏帆)と結婚していた。
二人の間に子供はおらず、鷹介はサラリーマン、水帆はアロマの仕事をしていた。
ある晩、鷹介はシェアハウス時代の夢を見る。
みんなで海に遊びに行くが、運転していた親友の修二は車を右の駐車場に止める。
現実では修二は車を左の駐車場に止めていたが、ちょうど同じ駐車場に水帆たちのグループが車を止めていた事がきっかけで、鷹介と水帆は出会って付き合う事になる。
しかし夢の中では異なる駐車場に車を止めたたため、二人は出会うことはなかった。
リアルな夢に、鷹介は不思議な感覚を覚える。
すると、ちょうど久しぶりに修二から連絡があり、二人は飲むこととなった。
鷹介と修二はシェアハウス時代にバンドを組んでいたが、残りの二人のメンバーもそれぞれ異なる道を歩んでいた。
シェアハウスのマドンナだった水帆を射止めたことで、修二からはうらやましがられるが、子供がいないためにやや倦怠期でもあった。
そして鷹介は、再び水帆と出会う前の、海に遊びに行った時の夢を見る。
修二は今回も右の駐車場に車を止めたため、水帆と出会う事はなかった。
次に鷹介が目覚めると、水帆と出会っていないシェアハウス時代の自分に戻っていた。
鷹介は戸惑い、水帆の事が気になりながらも無理に距離を縮めるようなことはしなかった。
すると修二が水帆の事を好きになり、積極的にアプローチを始める。
目が覚めると過去に戻っていた、という部分では、少し前に観た「スイッチ 人生最高の贈り物」に似ている。
しかし「スイッチ」が立場が完全に変わっていたのに対し、この映画ではまったく同じ過去の自分に戻り、右か左かの選択肢で人生が大きく変わる、というストーリーだ。
ハッキリ言って設定だけを考えれば、目新しいものは何もない。
しかし、人生が大きく変わる選択肢が非常にシンプルな「駐車場が右か左か」、という部分が面白い。
また、過去に戻ったときに鷹介の戸惑い方、そして知らない人に馴れ馴れしくされる水帆の戸惑い方が、教科書的でありがちではあるが、無理のないリアリティな演技で好感が持てた。
予算の関係だとは思うが、冒頭の修二と水帆が暮らす部屋があまりにも生活感がなくモデルルームを使った感がモロに出ていたり、遊びに行った海に修二と水帆のグループしかいないなど、ここそこに「素人臭さ」を感じた。
その後のシーンのほとんどは実際のシェアハウスで撮影されているが、ここでも学芸会的な見せ方が多かった。
ただ繰り返すが、鷹介、水帆のセリフと演技が丁寧で、この素人感をかなり打ち消していた。
正直、学園祭で映像研究会が上映する映画と大差ない、という見方もできる。
しかし予算がない中でも制作陣が丁寧に作りこんだ、熱意を感じる作品だった。
136.右へいってしまった人
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