話題作「なぜ君は総理大臣になれないのか」や「香川1区」をプロデュースした前田亜紀の監督作品だ。
大小の区別なく選挙の取材を25年間続けたフリーライター畠山理仁に密着した、ドキュメンタリーである。
畠山は選挙を取材する時、候補者全員に取材することをモットーとしている。
全員に取材できなかった時には記事にしない。
この作品では2022年7月に行われた、参院選の東京選挙区で立候補した34人に取材をしている。
おそらく25年間の取材経験で、どの選挙区を取材すれば面白いのかも畠山にはだいたいわかっているのだろう。
この選挙で立候補した34人は、なかなかの人材が揃っていた。
一番すごかったのは、「超能力があるから」と言う理由で立候補した候補者だ。
彼は、自分が考えていることに多くの人々が同調し、行動を起こすと言う超能力を持っているらしい。
それに気づいたのはベルリンの壁が崩壊した時だそうだ。
彼が「自由になりたい」と考えたため、東ドイツの国民が彼の考えに同調してベルリンの壁を壊したと言っていた。
正直、かなり堅めのドキュメンタリーかと思って観に行き、実際硬派な部分も多いのだが、ところどころで想像していなかった振り切り方を見せており、そのメリハリのバランスがちょうど良く、肩の力を抜いて楽に観る事ができた。
立憲民主党の蓮舫議員を取材するために、片道2時間半を掛けて長野の山奥まで駆け付ける。
取材できるのは、応援演説が終わったわずか数分だけ。
しかし25年のキャリアはさすがで、蓮舫議員は畠山の事をちゃんと覚えており「お久しぶり」と挨拶していた。
元々は、2023年5月にフジテレビ系「NONFIX」(毎週日曜放送の「ノンフィクション」ではない)で放送された内容を、劇場版に再編集した作品らしい。
取材すればするほど経済的には苦しくなり、畠山本人が「もう辞めたい」と言っているのに、なぜ彼が25年間選挙の取材を続け、今なお辞める事ができないのか、その理由がよくわかる。
畠山の家族も、選挙の取材を続けることこそが畠山のアイデンティティだと考えていた。
かなり長くカメラを回し、そこからドキュメンタリーとして面白い部分を凝縮して編集している、監督のセンスを感じる作品だった。
121.NO 選挙,NO LIFE
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