小説75:今のところ唯一好きな人だな | 城人のブログ

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司馬遼太郎『最後の将軍』
(『司馬遼太郎全集第二十巻』所収)

作品名通り徳川慶喜が主人公。

二十巻には、幕末・明治維新に関する
8作品が収められていて
当作品は、6本目。

極論を言えば、前5作品の主人公は、
作者が主人公をバカにしていた節がある。

ところが最後の将軍では、
どうも文章の雰囲気がこれまでと違っている。

きっと作者は慶喜が好きなのだ!

将軍職を朝廷に返上し、幕府を閉じたり
官軍(薩長軍)との決戦を避けて
大坂から江戸に逃げ帰ったり、
いいところが1つもない人物に見えるのだが、
作者はそれを常人にはできない。
頭が良くて先が見えたために、
抵抗することの無駄を知って
さっさと撤退したのだ!
と評価しているようだ。

そういう見方ももちろんできる。
いや、正しいのかもしれない。

だけど武家の棟梁なら、
やはり乾坤一擲!とやってほしかったな、
と思うんだよなぁ・・・。

あと、穿った見方すぎるだろうか?
そんな天才慶喜を、
当時の人も、現代人も、誰も
理解できなかった。

それを私は見つけたのです!
と言われている気がして(苦笑)

とはいえ面白い!とかあのトリックが
凄かった!とか、そのような感想に
止まらない。

様々なことを考えさせてくれる
司馬作品はやはり凄い。

賛否両論。アンチがいることも含めて
それは超一流の証ではないか!とも思う。

だって、まずこんな面白い文章書けないし、
書けたとして、一生懸命書いた物を
批判されたら耐えられません!

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