連載小説「アメブロ検索」第２話

《前回までの話》
アメーバブログをやっているという小学校時代の友人のブログを読むために、
アメーバ無料ブログサービスという名の超高級マンションを訪ねた僕は、
全身、緑色のアメーバのマークのデザインの服を着た管理人のおばさんにCOOLにあしらわれながらも
どうにか友人のブログが入居しているらしい地下階にある大部屋まで案内されて、
ようやくその友人と再会した。

人ごみをかき分けながら、やっと僕は小学校時代の友人アキラに再会した。
彼に再会する前の僕のイメージでは、一般人のブログとは言えど、個人個人に一つの部屋が割り当てられていて、
誰でもブログを開設すれば「一国一城の主」というイメージだったのだが、
実際にはそうではなくて、
一般人のブロガーは、そのだだっ広い地下の大部屋で胸に半角英数の名前が書かれたネームプレートを付けて識別されていた。

アキラは再会した僕の手を握ると嬉しそうに言った。
「やあ、本当に来てくれたんだね。ありがとう！」
「うん…ねぇ、アキラ、その胸に付けているネームプレートは何？」
「ああ、これかい。ＩＤだよ。ここのマンションの住所の最後の部分に、この個人のＩＤが書き加えられて、それが自分の居場所って事になるんだ」
「そうか。でも実際には、全員同じ部屋にいるんだね…」僕は、とんでもなく広いその大部屋を見渡しながら言った。
こんなに広いのに壁際ではまだ部屋の拡張工事が行われていた。

大部屋にひしめく人々それは、
ごく普通の若い男女、おしゃれ系、オタク系、おじさん、おばさん、おねえ系、ガテン系、社長、熟女、メンヘル、ロッカー、地下アイドル、緩きゃら、鬱…
外見から見てもそれとわかる色々な人達がそこにいた。

だが、その中で、どうにもよくわからない存在の者がいた。
首から上が折り紙の鶴の形をしているが、それが紙ではなくて、なんだか超合金のような素材で出来ている…そんな人が数多くみられ、
グルグルと色々な人の間を飛び回りながら、同じような定例文の声掛けをして回っている。
その声色も電子音に近く、人間のものじゃない。
「おい、アキラ、あの鶴の首をした人達は一体、何者なんだ？！」
「ああ、あれはスパマーさ。ツールを使って自動的にコメントや読者登録をして回っているんだよ」
「ツールを使って…なるほど、それで首が鶴の形をしているのか。なんとも不気味な奴らだな」
その者達は行く先々で親し気に、相手の手を握って「自分のブログへも…」と電子音で話しかけて誘っていたが、
おおかたの人にはその手を振り払われていた。
しかし、よく観察していると、中には、自分のブログに対するお世辞めいたスパマーの言葉にポッと頬を赤らめながら、
そのままスパマーに手を引かれて、スパマーのブログを見に行っている人もいた。
「純粋な人だな…」と僕は思わず呟いた。

「アメブロ検索」第３話へ続く。

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