オレンヂスタ第8回公演「ドミノノノノノノノハラノ」感想(2018/10/14投稿) | ささぴーさんの長い文章 ☆ぐぐたすからお引越し☆

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Google+で公開していた舞台観劇、SKE48公演の感想ブログのアメブロ移籍版です。
めちゃくちゃ長い文章で感想書いてますが、お時間のある時にお読みください。

◎Twitter https://twitter.com/sasapy2016_MB

オレンヂスタ 第8回公演

ドミノノノノノノノハラノ

10月7日(日) 13:00/18:00公演
10月8日(月) 16:00公演


観劇感想



<ご注意>
・概ねネタバレです。ご容赦願います。
・6300文字ぐらいあります。お時間の余裕のある時にお読みください。
・小学生の読書感想文みたいな稚拙な文章です。(笑)



オレンヂスタさんの本公演、
新作舞台「ドミノノノノノノノハラノ」観劇しました!

去年の2月の「いかものぐるい」以来ですが、
その間に「MANGAMAN」という個人的に大好きな作品も
2度観たりしていましたので、結構そんなに間が空いてないような。

私のお気に入りの女優さんである若林倫香さん。
最初の出演舞台でお世話になった演出家さんが
オレンヂスタのニノキノコスターさんで。
去年の「いかものぐるい」もゲストで若林さんが出演して、
その時に初めてのオレンヂスタ作品に触れました。
ちなみに、今回は若林さんは出演していません。

去年見た時は4ステ見る予定でしたが、
3ステ目見た段階で物凄く自分の許容量がいっぱいになり、
もう満腹で充分十二分な感じになっちゃって。
4ステ目は「ごめんなさい」状態でした。
ごめんね、綾瀬ちゃん。(その時のゲスト出演)

物凄く視覚的なインパクトが強い劇団さんだと思って。
黒いビニール袋を使って、ステージに捨てて、
時間が増すことにそのゴミたちが周囲に増えていって。
主人公の苦悩に満ちた世界を
怪奇的で前衛的なダンスで表現されていくような
初めて目の当たりにするような演劇の世界でした。

たぶん、ビニール臭でお腹いっぱいになったんだろうな。(笑)

でも、時間が経つたび、
物販で買ったパンフや台本を読んで思い出すたびに
歯の奥に詰まっている残りカスの味が染み出してきて。
物凄く歯に挟まっているんだけど、味が染み出てて。
味の漬かったもやしが歯間に詰まっているような。

その味が実際見た時には知り得なかった要素とか、
こんな話をしていたんだというような新たな発見とか。
スルメの如くってこういう感じなのかな。
今まで感じたことないような感覚が数日続いて。
1週間くらいは「いかものぐるい」の台本を離してなかった。
家に帰ったら、まず台本見てが続いた毎日だった!

・・・という印象が続きまくっていた作品だったから、
新作もめっちゃ楽しみにしてました。


今年の2月に上演された「MANGAMAN」で
新作チラシが入ってたんでしょうかね。
その時のタイトルが「DOMINO」で、
東日本大震災をテーマにした学校モノ作品。

確かオーディションを開催して、
女性は来るけど、男性がなかなか来なくて、
肉体派の男性陣待ってますというのを言っていて。
あと、構想段階で、別の劇団さんの作品と
類似していたので、立て直しをして。
で、出来上がったのが「ドミノノノノノノ・・・」で。

って、どこまで知っとるねん!ワシ。(笑)
大体は演出のニノキノコスターさんや、
プロデュースの佐和ぐりこさんのTwitterの呟きで
いろいろ経緯は存じております。


ということで、やっとこさ本編のお話ですが。(笑)


お話は2077年の10月の設定。
5年前に起こった東海地震の津波と、
温暖化により沈んでいったおそらく名古屋近辺の世界。
閉校が決定している海辺の小学校に通う
建設中の橋の下で暮らす林さん家の家族と仲間のお話。

林家の小学6年生の「ノノ」ちゃんが主人公で、
その仲間たちと、周りのコミュニティの人たちとの関係性、
5年前に起こった地震での影響による、地域の離別とか、
家族単位での哀愁とか悲劇が綴られる感じになってます。

地震とか地域・人間の関係性とか、
あとはノノちゃんが地震のあった5年前の記憶がないとか
一見重そうなテーマのある題材なんですが、
その重いお話に、ファンタジー性や、小ネタとか、
ほんわりしたり、笑える要素が含んでいて、
いい感じに中和される部分が多かったですね。

「いかものぐるい」で見たようなダークで
前衛的な演出も入れての苦悩を表現する部分もあって。
前作「いかものぐるい」よりも感情の波が大きくなったなと。

ファンタジーな部分はオープニングの海の中の表現。
演者さんだけで魚が回遊してる表現をしてめっちゃ綺麗で。

苦悩を表現しているのは、
ノノちゃんと友達のユカちゃんとの関係性が悪くなって、
互いの苦悩を表現しているような百鬼夜行の場面。
異様な構造物や動物のようなものが登場して、
非常に見た目も受け方も気持ち悪くなるような表現。

で、「いかものぐるい」より要素が強くなった「小ネタ」の部分。
前作にも「小ネタ」部分があったんですが、
さらにパワーアップしたような感じでした。

ニノキノコスターさんやスズキカズマさんが好きな
レインメーカーとかデスティーノとかの新日本プロレスのネタや、
「MANGAMAN」で見たような
鉛筆くん、消しゴムくんなどの被り物の別人格表現。
あと、70年経っている内容なので、
「三代目桂米朝」とか「三代目久石譲」とか出てて、
これも「MANGAMAN」で出てた「三代目ちばてつや」みたいで
そのワードが出ただけで私の心中ではガッツポーズでした。(笑)

それと、ノノちゃんの兄のハラコー演じる今津知也さんの
めちゃくちゃハイテンションな演技がツボでツボで。
「MANGAMAN」での鳥嶋編集長役とか、
わに社さんの「くワズ」での父親役とか、
最近観た今津さんの演技が
だいたいエキセントリックなのしかないので、あれですが(笑)
今回観た作品でもすんなり見れて、めっちゃ楽しめました。

特に大好きなのが、第3450回脳内会議。
ハラコーの頭の中で繰り広げられる性格キャラの話し合い。
ハラコー含め全員ハイテンションでキレキレで。
性欲キャラがキャストさんのおっぱいを揉むシーンがあって。
(ちなみに揉まれたのはオレンヂスタの団員さんです)
幼児性キャラがハイテンションではないのが面白い。ww

で、その脳内キャラが崇拝しているインディアンの族長が登場。
え?なんで??と思うくらいの、そこから槍飛んでくるんかい!
・・・・的な、ナナメ45度からのお笑いの襲来。www

族長のキャラは日替わりゲストさんが演技するんですが、
特に熊本からゲスト出演した大迫旭洋さんが面白過ぎて。www
ここぞとばかりのアドリブ&無茶振り祭り。
裸で背中にくまモンのペイントしている回はヤバかった。www
ちょっとそこの場面で尺使いよってよかとね?と思ったり。

作品の一番最初、開始前のビフォアライブがあって、
出演者の方が70年代フォークで盛り上げるライブをして、
その中でゲスト出演者も絡んで。
その最後で、ゲスト出演の方の震災体験を語る
「あの日の記憶」をそれぞれ語るという場面から劇が始まります。
そこでは凄く真剣に体験談を語る「語り部」になるんですが、

その人がインディアンの族長で出るという意外さ。www

もう、可笑しくてしょうがなかった。www
しかも、脳内会議以降もちょくちょく登場するんで
その都度おかしくてしょうがなくて。ヤバかったです。

あと小ネタ系で言えば、
小学校の仲間であるモリちゃんが制作した
閉校式で上映した特撮映画の中身。(脚本はユカちゃん。)
時間を支配する怪人時計と、
2000年代に記憶媒体として活躍したハードディスクマンとの戦い。
このハードディスクマンが電源がなければ戦えないとか、
皆が思う以上に衝撃に弱すぎるとか、ネタが多すぎる。ww

スズキカズマさんと中居晃一さんがサシで演技するんですが、
そのアクションがめちゃくちゃ凄くて。
中居晃一さんの受け身がすごく良すぎる。www
カズマさんの攻撃もダイナミックさがあって見応えがある。
・・・その途中に閉校式での卒業生スピーチがあって、
突然起こる大地震からのノノちゃんの記憶が蘇る場面。
心地良いというと語弊があるんですけど、
物凄い感情の落差が発生して、話にグッと引き込まれました。

この「小ネタ」系の部分が重いお話を更に中和させているし、
感情を落とし込む部分で心地いい崖レベルの落差を作って、
感情の揺れ幅を物凄い波を作って頂けたし。
全部見終わった後に「あーよかった」と思ったままで
劇場を後に出来た感じは「いかものぐるい」よりも良かったと思います。

ハッピーなままで地下鉄や車に乗って家路に向かって、
その途中で「あ、こういう事あったな」と
本来伝えたい「記憶」のことや「震災」のことについて
布から糸を引き出すように思い返して振り返る的な。


それから、「いかものぐるい」でも表現されていた、
地域のコミュニティの情景や家族の表現が忠実で。
隣り近所という大事さとか、家族の温かみとか。
私も何十年前まで田舎の生まれ故郷ではそんな感じで、
今は独り暮らしで全く手に届かない生活をしてますが、
そういうのも思い出したりして。

核家族とか個人とかが重視されている世の中だから、
近未来という舞台でも地域性や家族の表現があって。
なんかホッコリしちゃうんですよね。
そういう情景の「記憶」を引き出すチカラもあるのかな。(笑)


今回のお話の一番大事なのは
震災とか「あの日」起こった出来事をいかに伝えれるか。
大きな出来事でもいつか世間では小さなことになって。
新聞紙の1面が3行記事になってしまい、
やがては教科書の1行になり、数文字になり。

伝える大事さもメッセージとしてあるんですけど、
地震が起こって、舞台に段ボールが次々投げ込まれて、
その段ボールが舞台に埋め尽くされて・・・・。

その風景の中でノノちゃんの津波の記憶と、
ノノちゃんのお母さんが津波に飲まれる情景が表現され。
東日本大震災の事も断片的に呼び起こしたい。
全部ではないけど、あの事をちょっとでも呼び出すために
トリガ的なことをあの舞台で実現できたのかなと。

ニノさん自身が「語り部」になったような気がします。
舞台を通じてちょっとでも思いだして欲しいというか。

70年前に起こった戦争の事も
毎年の夏の映画やドラマで知れることが出来ますけど、
だんだん、「創作」が多くなってきている気がして。
実際、その時に生きた人たちの声も聴きたいですが、
記憶は曖昧だし、歳を重ねて思い出せない人もいますし、
壮絶すぎて思い出したくない方もいらっしゃいますし。

今は文字だけじゃなく、映像とか音声とか残せてて、
アーカイブとして後世に残しやすいですけど、
記憶媒体として永久に残せるかどうか・・・・。
劇中に出てきたロゼッタストーンとかですらも、
大事に保管しないと風化してなくなりますし。

「伝承する」という大事さは重要だなと。
そう感じた方もいらっしゃるかなと思います。

個人的には記憶を「思い起こされた」感じが強かったです。
実際、テレビでその風景は見ていましたから・・・。
逆に記憶が薄くなった人たちにはどう映るんだろう。
自分たちが戦争の話を観た時みたいに
こういう事があったのねと言う認識だけになるのかな。

知ってる人には伝え方の大事さを知り、
知ってない人にはその情景の事実を知る。
そういう舞台だったのかな。
いや、そういうテーマじゃないような・・・・。
とか、いろいろ上演後の数日も片隅で問答しています。(笑)


たぶん、オレンヂスタさんの作品は
観劇した後に「どうだったんだろう」という議論する場、
感想戦を繰り広げる場が必要かもですね。
僕はこうだった、私はこうだった。
いろんな仲間で観に行って、
帰りに食事を囲み、酒を飲んで意見をぶつけ合う。

一番いいのは家族で観に行って
食卓で父母と子供で知識のギャップを埋めるかのように
色々話し合って感じることをぶつけ合う!

あ、やっぱ、家族に行きつくから昇華できるのか・・・・・・。
家族欲しいなぁと思う瞬間!

私はすぐに独りってやっぱいいねという結論に至るけど。(笑)
でも、独りで見ても素敵な作品で楽しく楽しめました。
2回観に行く予定だったんですが、
大千秋楽の1回も観に行って、3回観に行けました。
今回は私の中のメモリに容量があって、更に欲していた!
とても良かったです!!


作品のお話はここまでにして、ここからは個別の演者さんの話。

アリスインプロジェクトの名古屋公演の作品から見ている
OS☆Uの荒木美穂さんが主演の「ノノちゃん」を演じてました。

11歳の女の子の役でしたが、
いつもの年相応の年齢を感じる演技は封印して、
幼児性の強い役柄が引き出せてた気はします。

「荒木美穂」って感じが全然出てなくて、役に徹していたような。
フライヤーとかでも事前に役のビジュアルが出てましたが、
その世界感に合っていたような演技が観られて。

11歳の役が終始メインでしたが、
記憶が蘇っているシーンでは5歳のノノちゃんを演じて。
その蘇る前のノノちゃんの演技はちょっと大人っぽく。
そこだけ一瞬狂言回しとして年相応の荒木美穂になったのか。

私の知っている女性の演者さんは
ホントにこの辺の年齢の違いを出せる演者さんが多くて。
以前の別の舞台(アリスインのレッキチです。)でも、
青木里菜さんや、がーなさんが
いきなり幼い役柄を挟んでも演じこなせていたのを見てましたが、
荒木さんもめっちゃ巧かったような気がします。

アイドル活動も経験している名古屋の女優さんは
ふだんで活動での経験値が豊富なので
これからも舞台を見ていきたい存在の方が多いですね~。

荒木さんも今後も舞台出演とか期待したいですが、
これからはどうするんだろう。
色々あったので心配されるところもあるんですが、
私個人的にはこれからも演技は続けて欲しいですね。

ステージを通じて色んな人を笑顔にさせる力はあるし、
ご自身の心が折れてない限りは
これからも舞台での演技を見せて欲しいなと思ってます。


去年の「いかものぐるい」で中学生のアイドル役を演じて、
マヨネーズをぶっかけられたりされていた
オレンヂスタの伊藤文乃さん。

ただ、今回はどこに伊藤さんが出てたんだろうと思うくらい
劇中の世界に溶け込まれていて、
あとでパンフレットを見たことで「あの役なんだ!」と気付いて。

役柄はノノちゃんの友達のユカちゃんの母親役。
市の福祉課の担当者で偉い人の役柄。
スーツ姿で髪型も纏められていたので全然わからなかった。

でも、誰ってわからない位の演技をされるのが凄いなと。
「いかものぐるい」が可愛い女子高生だったのが、
こんなに「ヒール」にまみれた役柄が出来るんだって
めちゃくちゃビックリしちゃいました。

あと、今回の作品は「喜怒哀楽」が
際立って表現された作品だなと思って見てましたが、
「怒り」の部分で代表格だったのが、
橋の下で遺体が発見された時の叫び。

後にこの遺体が5年前の津波にさらわれた
旦那さんだということが判明するんですが・・・・。

この時の怒りは尋常じゃないくらいのエネルギーが出てた。
物凄くて、観ている側にもビンビン伝わるパワーだった。
伊藤文乃さんという女優さんがこのパワーを持ってて、
怒りを出力出来るんだと思って、ただただびっくりしました。



あと、先生役の山川美咲さんの演技が柔らかくて。
あーー、こんな先生居たら良かったなぁと思うくらい。
笑顔で「~ですね。」って語尾を優しく上げているのが
もうたまんなくてキュンキュンしてました。
なんか、皇帝ペンギンちゃんみたいに
毎日褒められたい。あの語尾で毎朝褒められたい。(笑)
でも、アドリブでレ■ランドの件を
「地震と違うところで経営破綻して・・・」という冷酷さを見せたり、
おそらく、家に帰るとまずはビール飲んでそうかなと
なんか色々勘繰りしちゃいそ・・・ごめんなさい、勘繰りしません!(笑)



という感じですが、
全部の演者さんの感想が書けなくてすみません!!!!
鬼のように長くなりそうなのでこの辺にします。
もう、鬼のように長くなってますが・・・・・・・。



オレンヂスタさんの次回作は
12月に「犀」という人形劇、
そして、来年2月には「MANGAMAN」の再演なのか
続編なのかが上演されるようです。

「MANGAMAN」めっちゃ楽しみです。
今回の本公演のエネルギーがどう反映されるかも楽しみだし、
希少クラスの大ファン(笑)としては2月が楽しみです。




ということで、感想以上です まる! でゅふふ!!