20141101

入院27日目、通算58日目
バイタル
36.3° 上120 下85 拍89 体重67.5

ポート埋込み手術の経過は良好。
その日の痛み止めは飲んだが、以降はほぼ痛みもなく、逆に痒くて無意識に手をやり包帯で気付く、と言う具合だ。

睡眠も、だらだらウトウトではあるが、何とか取れている。

今日は長期外泊(と言っても2泊)の許可が出ているのでちょっと嬉しい。

なにしろ、りゅーたろーの学校行事・音楽会があるので、0830時にはかみさんが迎えに来る事になっていた。
りゅーたろーは0710時に家を出て通学班で登校。
かみさんはその後化粧して小一時間の道のりをやってくる。
当然その前には、洗濯物干して、朝飯作って、幼稚園のるかさんのお着替えをさせて…と言う重労働をしているのだろうから、かなりかみさんにとって忙しい濃密な時間だろう。
こっちはベッド上でコーヒーを飲みながら待っているだけだからいい気なもんである。

「おっはよー♪」
かみさんとるかさんがカーテンから顔をのぞかせ、持ってきた着替えを差し出す。
それに着替えれば準備万端。
杖をつきつき、ナースステーションで外泊書類にサインし病院を後にする。

案の定
「今日は朝早くから忙しくて、うちのパパは一体どこに行っちゃったんでしょうかねぇww」
と、ハンドルを握りながらのお言葉。
「そっかぁ、がんばれぇ、主婦マスターのママちゃんならへのかっぱだから♪」
こっちも負けずに応戦。
こんな他愛のない会話ができるのが本当に嬉しい。

0930過ぎには小学校に着いた。
もう音楽会は始まっていたが、4年生の発表はこれから。
斜視を隠すためのサングラスと、杖をついて入っていったので、さながら「ロッケンロール!」とでも言わんやの風貌。
お父様お母様方の若干の視線を感じつつPTA席へ。
ちょうど休憩休憩時間だったので、PTA会長と教頭先生教頭先生に挨拶。
「あ、ロンさん! お越し頂けて…お身体の方はいかがですか?」
と教頭先生。
「見た通り満身創痍ですがなんとか……。それよりも次期PTA会長を仰せつかったのに、途中で投げ出してしまって申し訳ないです……」
「いやいや、お身体の方が大事ですから、お気になさらずに治療に専念してください」
「PTAの方は代理の副会長を快諾してくれた方がいらっしゃいますから大丈夫ですよ」
会長の言葉にとりあえずホッとして、パパを見つけ駆け寄ってきたりゅーたろーの頭をポンポンしてやる。
「お父さんが来てくれたんだから、頑張んなきゃな」
教頭先生がりゅーたろーをステージに送り出す。
ステージで一生懸命歌う4年生達。
歌うことが好きなりゅーたろーは、さらに力が入っているだろう。
キラキラな笑顔でステージを降りたりゅーたろーを目線で追いながら、想いにふける。
笑顔で歌えるのも、かみさんがちゃんとやってくれている証拠。
本当に感謝しかない。

音楽会が終わり帰りの会をクラスの廊下越しに見させてもらって
『さようなら!』
の挨拶とともに一斉に出てくる元気な生徒たち。
彼らを見送り、静かになった教室へ入る。
担任の須賀和先生が、面談の時間を作ってくれていた。
「りゅーたろーは、お父さんが入院してからものすごく頑張ってます。4年生に上がった時はのんびり屋でほんとうにどうしたものかと思っていたのですが、夏休みが明けてから見違える程です。今ではりゅーたろーに注意する事はまずない。むしろ自分の方からどんどん積極的に学校生活を楽しんでいますよ」
パパの入院を期に、大成長をしていたりゅーたろー。
お父さんに気を使った先生の過大評価すぎる点もあるだろうが、先生の表情を見る限りあながち盛っているわけでも無さそうだ。
自分のやる事・誉められる事に自信を付けたのか?
これにはかみさんと共に大いに喜んだ。
が、帰りがけにりゅーたろーの机の中を見ると…ぐっちゃぐちゃになったプリントだらけ。
こういう所は1年生からまったく変わらない。
親として叱っておくが、こう言うところは微笑ましくも思う。

昼食はチェーンのラーメン屋さん。
午後はショッピングモールへ行き、一家での時間を楽しんだ。
モールで借りた車椅子を力強く押すりゅーたろー。
ついつい甘くなって、ガチャガチャやら、新しい新しい文房具やらを買ってやり、かみさんに叱られるパパ。

帰宅しホットプレートでお好み焼きパーティー。
熱々のお好み焼きは、味覚障害なんて無いかの様に美味しく平らげた。

子供たちとお風呂に入り、すっかり夜も深けてしまった。
子供たちを寝かしつけながらベッドでうとうとしていると、今度はママとの時間とばかりに起こしてくるかみさん。

売れっ子のパパは、きちんとママ孝行でチューハイをついであげながら、あくびを噛み締める夜を過ごしたのでした。


震える手で書いた当時の闘病日記


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