2023年1月21日

 

久々の「大部屋の婆さまたち」第二弾。

 

【2人目】飲むべきか飲まざるべきか悩む婆さま

 

向かいのベッドに循環器系で翌日外科手術予定の88歳(昭和6年)の婆さまが入院して来た。

※循環器=心臓・血管・リンパ管など体液を循環させる器官。

 

「〜ですの?」「〜かしら?」などのいわゆる「山の手言葉」を多用。荷物の紙袋も高級ブランドのもの。

 

髪型も外見もパジャマもお金持ち風。

 

ただ、いちいち看護師に言い返す癖がある。「〜しなければいけませんの?」「紙おむつ持参なんて聞いていませんよ(入院前に紙を渡されている)」「自分でコンビニに買いに行かなければなりませんの?」などなど。

 

そして軽い認知症らしく、おむつの事など同じ事を何度も何度も看護師に聞く。


「息子夫婦の自宅近くで一人暮らしですの」というので、推して知るべし。

 

これはお嫁さんに同居を回避される典型的なタイプの姑さんだ。

 

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しかし可哀想なのは、看護師たちが「患者が認知症気味の高齢者」かどうかなんぞお構いなしという所。

 

「自宅で服薬中の薬は持ってきた?」「お薬手帳はある?」「紙おむつはある?」と質問攻め。でも婆さまは「わかりません…、知りません…」。挙げ句に「じゃあ薬の名前は?」。

 

88歳の婆さまが薬の名前なんぞ覚えているわけない。看護師がさっさと「荷物を見ていいですか?」と断り、持参した荷物を調べればいいだけの話。案の定、荷物には紙おむつも薬も手帳も入っていた。

 

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さらに「入院生活」や「術前・術後」についてマニュアル通りの医療用語を使い早口で説明する。もっと噛み砕いた言葉でゆっくり説明してあげればいいのに。

 

婆さまは「わたくしには難しくて良くわかりませんわ…」と小さな声でつぶやくだけ。

 

看護師が常に忙しいのはわかるんだけれど。

 

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そして15時頃、看護師が婆さまに薬を数種類持って来た。

 

看「これとこれとこれ(かなりの数)…は6時までに飲んで下さい。これは9時までに飲んで下さい。もし無理なら飲んでも飲まなくてもいいです」

 

婆さま「えーと、これとこれとこれ…は朝の6時まで?」

 

看「違います。夕方の18時までです」

 

婆さま「これは朝の9時まで?」

 

看「違います。夜の21時までです。でも飲んでも飲まなくてもいいです」

 

婆さま「そうなの…」

 

それからあらゆる看護師が立ち寄る度に薬を飲む時間を聞くのだが、どの看護師も「これは16時、これは21時。でも、飲んでも飲まなくてもいい」と繰り返すのであった。

 

あまりに酷くないか。

 

「飲んでも飲まなくてもいい」と言われたら、高齢者は困るよ。私でも困るけど。

 

困った婆さまは、目の前のナースステーションへ何度も行っては薬の事を繰り返し聞いていた、だが、どの看護師も「時間は16時と21時。でも、飲んでも飲まなくてもいい」の一点張り。

 

「飲む」か「飲まない」か、どっちかに決めてあげなさいよっ!

 

看護師たちの婆さまへのあまりにも酷い対応に腹が立って叫びそうになりました。

 

結局、婆さまが時間通りに薬を飲んだか飲まないかは不明。翌朝、看護師に連れられて手術室へと向かった。

 

その後すぐ、そのベッドにはご新規さんが入ったので、婆さまが薬を飲んだのかは永遠の謎である。