エレカシ スペシャルライブ 下北沢シェルター(2000.11.14) | エレファントカシマシ備忘録

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エレファントカシマシのライブ、CD、テレビ、ラジオなどの記録

胸が高鳴る。
初・下北沢シェルター。
どんな空間なんだろう?
開場を待ちわびる人々の列はとても静かだ。
みな固唾を飲んでまっている。
30分遅れての会場入り。
小さい。
今もなお、こんな小さな空間に立つエレファントカシマシは、かっこいいと思った。
 
会場の電気が落ちる。
唾をゴクリと飲み込むような瞬間だ。
黒シャツを着た宮本が登場。
ドラマ撮影をしていた時より髪の毛がボサボサ。
それが狂気のような殺気のようなものを感じさせる。
おもむろにギターを肩に掛ける。
 
AL.「愛と夢」の1曲目、『good-bye-mama』だ。
この曲を1曲目に持ってくるとは!衝撃のスタート。
今日のライブ、ものすごい事になりそうだ。
間髪入れず『明日に向かって走れ』
こんなにも力強い歌だったのか!?
宮本の首筋に何本もの血管が浮かび上がる。
しなやかで、たくましくて、美しい首筋。
声がこんなにも力強いはずだ。

『soul rescue』
ファンが一気にステージに詰め寄る。
苦しさと共に、会場全体のヴォルテージが上がる。
宮本の額に汗が滲み出した。
中盤で宮本のギターに真っ赤な液体が付いていることに気づく。
・・・血だ!
宮本の人差し指辺りが切れたのだ。
かなりの血しぶき。
白いピックが赤く染まっている。
どう見ても、痛い。
しかし、宮本の指はなおも力強く弦を叩き付ける。

『悲しみの果て』
短いイントロを付ける。
宮本はどんなに歌い方を変えても切なく、熱いメロディーになる。
汗がこぼれ落ちる。
 
『風に吹かれて』
出だしを2度やり直す。
その後の前奏は力強く、4人の演奏が、がっちり合って気持ちいい。

「見えますか?ま、いいやね。」と言って、アコギを持ち椅子に座る。
 
『晩秋の一夜』
我が耳を疑った。
信じられなかった。
この歌が聞けるとは。
哀しく、切ない歌声とメロディー。
青春にさらばした今だからこそ、歌えるのだろうか。
澄んだ歌声。
 
『月の夜』
またしても、一生聞けないと思っていた名曲。
当時からファンの人にとってはもっともっと嬉しいだろう。
今日の宮本はいつにも増して聞かせてくれる。
今年、夏までやっていたロック全開のライブとはひと味もふた味も違い、あぁ、宮本は今、こういう聞かせる歌をやりたいんだ、と感じた。
口笛、最後の「たまえ~」というところ、しみた。
 
『真夏の星空は少しブルー』
今年正月の武道館でも聞いたが、その時よりもシンプルで、しっとりと歌い上げていた。
冬が近づく秋の寒空に聞くのもまた格別。

『珍奇男』
宮本の血と同じ色のライトが、アコギに集中する宮本を照らす。
先ほどまでうっとり聞いていた聴衆も動き出す。
激しい。
指が切れているというのに。
そんな事はもう気にならないのか。
最後の叫び、空が落ちてきそうだ。
 
『so many people』
宮本の運転のように会場を駆け抜ける。
一生懸命生きよう。
そう叫んでいるように聞こえた。
 
~アンコール1~
そのままのシャツで登場。
1曲目『はじまりは今』
飛び上がりたかった。
私が宮本の声に出会い、惚れた歌。
ライブでバンドで演奏するこの歌は、とてつもなくロックだ。
ただのさわやかなだけの、歌じゃないんだ。
CDだけ聞いて“えせさわやか”、そう言った奴を殴りたい。

「アコギでやるとどうなんだろう?」といってギターを持ち替え『今宵の月のように』
目を瞑って、宮本の声に集中した。
改めて言うまでもないが、綺麗な声だ。
 
『武蔵野』
宮本がギターを弾きながら全身を動かす。
狭きステージを動き回る。
CDを聞いただけでは、マイクスタンドから離れず歌いそうだが、ライブでは違う。
ROCK!ROCK!ROCK!である。

「みなさん、今日はどうもありがとう!」
といってラスト『sweet memory』
この曲がラスト。
めちゃくちゃかっこいい。
そう。
今日のライブは全編に渡って“sweet memory”チックだった。
だからこの曲で終わっていいと思った。
宮本は“sweet memory”にサヨナラすべく、熱く、強く、歌いつづける。
 
~アンコール2~
だからもう一度アンコールがあったのが意外だった。
「アンコールらしい曲を。」と言って『ガストロンジャー』
宮本の中では定着しすぎてしまったのだろうか。
それでもすごいパワーだったけれど。
音と歌がずれるところがなんとも言えず、いい。

そしてなんと、本当のラストは『コールアンドレスポンス』だった。
私はこの曲、出だしから最後まで大好きだ。
「ここで神の意思を発表します。おめぇら死刑だっ!」
身体に稲妻が走るような感覚。
石君を抱え込む。
成ちゃんと肩を組み歌う。
モニターにのってステージを見渡す。
狂気の目。
それでも最後はやさしく投げキッスをして去っていった。
 
新曲』
私はどこでこれをやったのか覚えていない。
『今宵~』の後だったようにも思うし、別の個所だったかもしれない。
それはともかくとして、心地よいポップスだ。
(こんな言い方したら誰か怒るかな?)
「男はどうしようもねぇ」といいつつ、憎めない男のロマンチシズムとでも言おうか、宮本の暖かくてやさしい部分が滲み出ている。
男のことは男にしかわからない。
「男はいつも涙するのさ」と歌う。
 
ライブでも宮本はにっこり笑うようになった。
すごく素敵な笑顔。
 
12月のライブはまた違ったものになるのですか?
また狂気に満ちたその瞳と、崇高な美しい微笑みを見せてください。
 
 
≪SET LIST≫
good-bye-mama
明日に向かって走れ
soul rescue
悲しみの果て
風に吹かれて
晩秋の一夜
月の夜
新曲(孤独な太陽)
真夏の星空は少しブルー
珍奇男
so many people
 
~アンコール1~
はじまりは今
今宵の月のように
武蔵野
sweet memory
 
~アンコール2~
ガストロンジャー
コール アンド レスポンス