一之輔のドッサリまわるぜ2024

開演前によくある場内アナウンス「携帯電話、スマホは音の鳴らない設定に…」が、

なんともう本人•一之輔の声。「鳴らない設定じゃなくて、もう電源切っちゃってください…いいですか。切り方わからない人、隣の人に訊いてください(場内 爆)」

 

トーク: Tシャツ姿で現れた一之輔の立ち姿…爽やかでカッコいい。でも"普通のお兄さんかおじさん"に見える、このフレンドリーがこの人の持ち味であろう。ツアー初日に銀座の中央ブロッサムを満席にした喜びと自信に満ち溢れていた。

 

「一番遠くから来ている人は?」…「高崎」…「次は」…「名古屋」…「ナゴヤ! やるぜナゴヤで」(場内 爆)…「もっと遠くは」…「福岡のうきは市」。この人が一等賞となった。

 

啞の釣: 弟子になって七年目という二つ目の与一……さすが一之輔の弟子だと思った。仕方噺ではあるが体と顔の表現がやや大袈裟でもくっきりしていて可笑しく…笑わせられた。

 

浮世床と転宅: “源ちゃん”は字が読めない。本を開いていても字の数を数えているようなありさまである。噺のなかでは“源ちゃん”の個性が自由奔放、天衣無縫、言語道断、横断歩道、、いや何を言おうとしているかわからないが、ともかく存分に発揮される。“源ちゃん”という人形を冷静に巧妙に糸で操る人形遣い•一之輔がいる。人形は遠心力が働いて八面六臂、狂気さえ感じさせるが、ちゃんと求心力で元に戻ってくる。

何処に戻るのか! その噺の本質にであろう! 落語をリスペクトしているから本質を外れないのだとわたしは思う。安心して聞いていられるのもそこにある。

 

“まがらじゅうろうざえもん”だけでも読みきれない可笑しさ、泥棒に入って酒を呑んでやや間があって「旨いっ」というところ、小茄子を食べて箸置きだったことに気付いたときの可笑しさ。一つの噺のなかから一点だけを採りだしてそれを最大限面白おかしく聴かせる(虫の羽の動きが面白いと顕微鏡で見せるように)。

 

甲府い: 生涯で2回か3回は聴いているが、誰のだっただろうか、内容はまったく憶えていない。一之輔は、「一つでも一生懸命やればいいこともあるんだ、という噺で…」と言って本題に入っていった。ちょっとしんみりになって、甲府へ旅立つとその先で不吉なことでも起きるのかと思っていたら、そうはならなくてサゲは、(豆腐屋で一生懸命働いた男の噺だけに)
 『(売り声で)「こうふぃ~、おまいりぃ、がんほどきぃ~」。(豆腐ぃ~、胡麻入りぃ、がんもどきぃ~)』ハッピーエンドでした。

 

これから全国ツアーで、北から南まであっちこっちで31公演を行うという。

ファイナルは11/16(よみうりホール)…いまから楽しみにしている。

 

 

おつ合いありがとうございました😊