伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)

•伽羅先代萩は、江戸時代前期に仙台藩で起こった

家督相続事件(伊達騒動)を題材にして人形浄瑠璃や歌舞伎に

したものである。実際、三代藩主•伊達綱宗は放蕩遊興三昧で

吉原通い。そこで家老など一味が幕府まで巻き込んでお家

乗っ取りを企てたとされている。

 

•伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)の外題の由来

史実の伊達綱宗の履いていた下駄がインドの香木(伽羅)だった。

綱宗がこの天下の名木を下駄にして廓に通ったという伝説による。

また幕府の目を憚って(先の時代)鎌倉時代の物語として作られた。

 

御殿の場

•乳母(めのと)政岡は女形でも最高難度の役といわれているが、

主人公•政岡に”真っ赤な着付け”とは、この大胆さ、見映え、

見事というほかない。

作者(或いは役者)のしてやったり…「どうでぃ!」という声が

聞こえそうである。実際、大名家の乳母(めのと)としての風格•

色気がなければ成らず、又、名女形にこそ許された役である

ことを考え合わせると、燃えるような赤がいちばん相応しいように

思えるのである。今回は、尾上菊之助が勤めた。

 

👇三代目中村鴈治郎(四代目坂田藤十郎)の政岡 1998年(平成10年 国立劇場)

•政岡は鶴千代と息子千松に食事を用意している(飯炊き)。

そこへ見舞いと称して栄御前がやって来て、持参した

お菓子を鶴千代に勧める。毒入りを察した千松は、それを口にして

苦しむ。弾正の妹八汐は陰謀の発覚をおそれ千松をなぶり殺す。

政岡への面あてでもあった。栄御前は一味だったのですが、

関東管領の奥方です。この難しい役を雀右衛門が演った。

発声は変えていたが、得意の色気を表現する役でもなく、

地味で終始したように感じた。八汐は立役がやるのが

“お決まり”だそうでこういう約束事が歌舞伎のおもしろいところ。

歌六さんの八汐…老練の味でした。

 

•我が子千松の姿を見ても動じない政岡を見て、栄御前はすっかり

気を許し、御家横領の証拠となる連判状を渡してしまう。

栄御前は何故たやすく政岡を信用したのだろうか。イヤホンガイドに

よれば、どうやら「女中の一人が予々嘘情報を栄御前に吹き込んで

いた」。つまり「鶴千代と千松は赤ん坊のとき既にとり替えている」と。

 

•政岡にしてみれば、ともかく若君•鶴千代を守りきったが、

身代わりとなった実子千松は毒入りのお菓子を食べたあと

むごたらしくなぶり殺された。このときの政岡のクドキ…

「でかしゃった」と「ありがたや」と「よう心得てたもった」が

それぞれ3〜4回繰り返された。

忠義に生きた政岡…やはりこの場はジーンときます。

尾上菊之助の品格…良かったです。更に進化するでしょう。

 

床下の場……(コメント省略です)

 

•上手の浄瑠璃(太夫と太棹三味線)と本舞台役者とのからみ。

古風で歌舞伎らしい歌舞伎の醍醐味…堪能しました。

 

 

 

おつき合いありがとうございました🙇‍♂️