〜昼の部〜

 

一、當辰歳歌舞伎賑(あたるたつどしかぶきのにぎわい)

  五人三番叟

  英 獅 子

  ◎若手五人が、令和六年の幕開けを寿ぐ 三番叟。

  ◎続いて、江戸情緒たっぷりの

  芸者を雀右衛門、鳶頭に又五郎と鴈治郎の踊り。

  他人の年齢が気になるのは齢をとったせいであろう。

  いまの雀右衛門は?鴈治郎は?

  ウチにかえってwiki…を開いてみると…

  なんと68歳、67歳、64歳。もう立派なジイサンではないか。

  自分の齢が恐ろしい。

 

ニ、赤穂義士外伝の内

  荒川十太夫

 〈あらすじ〉討入り後、浪士のうち十人は松平隠岐守の屋敷に預けら、

  二月四日に切腹に処せられた。この時、武士としても名高い堀部安兵衛の

  介錯を勤めたのが荒川十太夫であったが、身分は徒士で下級武士だった。

  安兵衛は、いよいよ切腹という時、十太夫に名前と役職を尋ねた。

 

  二百石取りの安兵衛が、自分のような者に介錯されるのは

  心持ちが悪かろうと思い、「物頭役でござりまする」と偽りを言ってしまった。

  嘘を付いた罪責に苦しむ十太夫は、内職をして金をためる。そのお金で

  物頭相応のナリに身を整え、泉岳寺への墓詣でを重ねていたが………。

 

  結局、身分を偽ったことが殿(松平隠岐守)に伝わり、

  「腹蔵なく委細を申せ」となり、切腹覚悟の十太夫はすべてを打ち明ける。

  殿は「十太夫!汝は武士の鑑である。良き家来をもったものよ。

  忠義の武士への言葉を偽りとしないよう、百日の謹慎の後、十太夫を

  物頭役に取り立てる」となった。

  十太夫は有り難涙に暮れたのであった。

  …………………

  ◎いまの四代目松緑さんが神田松鯉(かんだしょうり)の講談を聴いて歌舞伎化    したもの。

  二重の人情噺になっている。つまり、嘘をついたことで、安兵衛は晴れやかな   気分で昇天した。

  そして、自責の念に苦しんだ十太夫も殿に褒められ、物頭役に出世した。

  これは安兵衛を敬意を以て介錯した十太夫への安兵衛からの返礼でもあったわけ  である。

 

  講談を戯曲化しているだけにセリフの一つ一つが自然に耳に入ってきた。

  誰にとっても一生懸命にやってきて褒められたら感涙である。

  後味のいい芝居だった。

 

三、江戸みやげ

狐狸狐狸ばなし

  ◎配役(役の割り付け)が、良くなかったように思う。

  いわゆるツカミがなかった。一旦、違和感を持つと、

  そのことを思っているうちに…ノレないまま…

  芝居はどんどん進んでいってしまう。

  隣の席の“おじさん”はよく笑っていたが私は左程に笑えなかった。

 

  喜劇は、間(ま)とテンポ、それに客との一体感が求められ

  難しいといわれる。

  それでも

  最後、“女房おきわ”はホントに気が呆けてしまったのかと

  心配して見ていたら、これも騙しだった。

  化かし合いも徹底するとオセロゲームみたいで痛快!

  騙された自分に独り笑いした。

  結論→笑いが一番です。

 

  「笑いとは、人の顔から冬を取り去ってくれる太陽である」
          ヴィクトル・ユーゴー(フランスの小説家)

 

  

  

   最後までお付き合いありがとうございました🙇‍♂️