歌舞伎座は、今年から三部制になった。予約し期待していたのは第二部の『仮名手本忠臣蔵』七段目。由良助は吉右衛門、おかるに雀右衛門、平右衛門に梅玉。七段目は「祇園一力茶屋の場」と云って、敵を欺くため由良助(内蔵助)が祇園の茶屋で遊び呆けている、超華やかな場面から始まる。

ところが、コロナのせいである。

松竹は三部制にして、その度に役者やスタッフを全部入れ替えていると説明している。従って、役者の数、役の配分、時間の制約などに大変な苦労があるのであろう。今回は、前半にあるべき「見立て」や「由良助と九太夫とのやりとり」などの華やか場面が端折られてしまった。釣灯籠の場面から本筋に入ったのだが、始めに「あれれ〜」と違和感を持ったことが邪魔して最後まで興が乗らないまま幕となってしまった。

 昨年あたりから、吉右衛門さんに少し芸質の変化を感じるようになってきた。大好きだし当代第一の立役者である。これからもじっくり見続けたい。今月の平右衛門役に梅玉さんは合わない。光ったのは雀右衛門さん、艶っぽいこと円熟の域か結構な「おかる」でした。〈観劇日:2021/1/15〉

年寄りのつぶやき:『仮名手本忠臣蔵』は『假名手本忠臣蔵』に変えて欲しい。パンフにもある「由良の助」「由良助」に変えて欲しい。これらについては、その理由を後日書くつもりです。