多発性筋炎・皮膚筋炎って?
多発性筋炎は
筋肉に炎症が生じることで筋肉が破壊され
力が入りにくくなり、筋肉を動かしたときに痛みを感じる病気です。
その中でも、筋肉の症状と同時に
特徴的な皮膚の症状も現れるものを「皮膚筋炎」と呼びます。
関節リウマチや全身エリテマトーデスなどと同じように
膠原(こうげん)病の1つであり
国の指定難病に分類されています。
発症年齢は50代前後の中年期が多く
5~14歳頃の小児にも発症の傾向があると言われています。
女性患者の数は男性の約3倍にのぼり
女性のほうがかかりやすいとされています。
原因は?
多発性筋炎・皮膚筋炎は自己免疫疾患であり
筋肉や皮膚に対する抗体が体内で作られてしまい
自己免疫が攻撃している状態です。
なぜ自分の体の組織を標的にして
攻撃するようになってしまうのか
その原因はまだはっきりとわかっていません。
症状は?
筋炎と皮膚炎を両方発症する場合もあれば
どちらかの症状が強く
もう一方があまり見られない場合もあります。
一般的なものとしては、筋炎の場合、力が入らなくなり
疲れやすくなる症状がゆっくり進行していきます。
筋肉を動かしたときに痛みを感じることもあります。
これらの症状は、特に太ももや二の腕、首など
胴体に近い部分の筋肉に起こる場合が多いです。
皮膚炎の症状は
赤い発疹がまぶたにできてむくむ「ヘリオトロープ疹」
手の指や肘、膝などが赤くカサカサになる「ゴットロン徴候」
寒い時期に手足の指先が白くなる「レイノー現象」
などが特徴的と言われています。
こうした皮膚炎は、かゆみを伴うことがあります。
全身症状としては
倦怠感、食欲不振といった症状が出やすいと言われています。
検査・診断は?
このような患者さんが受診されましたら
多発性筋炎や皮膚筋炎に特徴的な
ヘリオトープ疹などの皮膚症状の有無を確認します。
そして、その疑いが強まれば
血液検査や胸部CT検査などの画像検査を行います。
血液検査では、筋炎に特有の酵素の値が上昇しているか
自己抗体がみられるかなどを主に調べます。
さらに詳しい検査を行うために
膠原病内科といった専門の診療科に紹介しています。
そこでは筋力検査を行い、筋力がどの程度衰えているかを調べたり
確定診断のためには
筋肉に微弱電流を通して筋肉の状態を見る筋電図や
筋肉や皮膚の組織の一部を採取する筋生検・皮膚生検を行い
病理検査を実施されるようです。
間質性肺炎や悪性腫瘍を合併していないかも検査が行われます。
それ以降は定期的な通院が欠かせませんが
診断を受けて適切に治療を受けられたら
筋力低下などの症状も改善することが期待できます。
他の膠原病などの自己免疫疾患にも言えますが
患者さんによっては
いくつかの治療を組み合わせることもあると思います。
はじめは強力な治療を行っていても、効果があれば
投与量などを徐々に減らしていける可能性もあると考えますので
症状が悪化しない程度の
ご自分に必要な治療内容の継続を行うようにしてください。