SAさんは30代の青年である。

少し腰が痛い、性欲が乏しい、あまり射精できないという悩みがあるという。

3月と5月、2回の治療によって腰の痛みは殆ど治り、快感も少し出てきたという。しかし、精液は数日してもできてこないという。

最初の性的快感の乏しさは皮膚の感受性の問題であるとの判断で治療したのは成功であったがまだ不十分のようであった。

3回目の今日も皮膚の問題として扱ったのであるが、最初からペニスワーク、インノーワークに入った。というのは、精液不十分、快感不十分というのは何らかの精巣圧迫があるためホルモン産生、精液産生の能力が十分働いていない故の現象と思われたからである。

 

図に示す通り、ペニスはエレクトなしでも固く、陰嚢は縮んで上がっている。その皮膚には強い収縮シワがある。中心線は左右の皮膚の合わせ目であり、ここでは縫合と呼んでいる。それが強い芯の綱になっていてペニスの竿の繊維と会陰を強く引いているのである。また、内腹斜筋から精巣挙筋にかけての緊張が強くて、それが陰嚢の収縮、圧迫原因になっている、と推定される。

じっさい、最後のペニスワークを終えたとき、のどから鎖骨にかけての頸部筋膜は緊張緩和で赤くなったのであった。毛細血管が動き始めたのである。

それほど陰嚢の収縮、その皮膚の緊張、圧迫作用は大きかったのである。

力仕事をしているそうで、そのため足の親指腹は肥大して固くなっている。ここを超音波ツールで緩めると実際からだの動きは大きくなる。このことは初回にたしかめてあった。

強い力を出すとき、足の親指、全身の皮膚、会陰、陰嚢に強い力が働く。そして次第に蓄積し、精巣を圧迫するようになる。

最初の陰嚢解放に5分以上かけた。これには細かいステップ、いろんな操作あるのだが、ユーチューブでは公開できない。それが成功であった。

2つの超音波ツールを持って、竿を挟んだり、陰嚢のシワを広げたり、ペニスの根っこの硬い部分をほぐしたり、陰嚢に変形を加えてゆすったりなどいろんな方向の刺激を加えている。とくに、左右の合流線はサオ緊張に連続し、下方に向かっては会陰の緊張に連続しているので注力する必要がある。この間、次第に骨盤が動いてきたが、それは大腰筋などがうごいているのである。

そのほか、腰部の、腹部の解放も行っているが、上部脊柱から軽背部のにかけては射精能力に深く関係するので丁寧にほぐした。

楽に射精できた、ということであった。

整体において重要なところであるが、恥骨から座骨あたりの領域はその扱いの難しいところである。しっかりと解明し、問題を解消することの必要な部位である。

女性を含め、年齢とともにいっそう重要になってくるところである。

同業者の取り組みを期待します。