父方の遠い親戚が亡くなり

 

お葬式に行ってきました。

 

 

「おじさん」とその人を呼んでいたけれども

 

実際の叔父ではなく

 

年上の男性という意味で

 

私たち兄弟は「おじさん」と呼んでいました。

 

 

おじさんはいわゆる

 

世間一般からは

 

なかなかはみ出した人生を送っていて

 

親戚一同から距離を置かれていることは

 

子ども心にも伝わってきました。

 

 

大人になった私が知ったことは

 

ギャンブルをして借金を繰り返したり

 

ねずみ講のようなことに親戚を巻き込んだり

 

警察沙汰を起こして何度も迎えに行ったり

 

大変だったそうなんです。

 

 

私がおじさんに会ったのは

 

記憶が正しければ2回だけ。

 

 

初対面は親戚のお正月の集まりに

 

突然やってきて

 

お酒をたらふく飲んで

 

大声で何かを話して

 

親戚の別のおじさんに怒られて

 

喧嘩になってたかな。

 

 

私はその時

 

何でも好きなことを

 

口にしているように思える

 

正直でストレートなおじさんが

 

とても新鮮でおもしろく感じました。

 

 

別れ際に

 

私たち兄弟の頭を順番に

 

くしゃくしゃってなでてくれて

 

お前は顔つきがなかなか良いな~

ヤクザの世界で人気者になれそうだ!

 

なんて兄のことを言って

 

 

お前がみなこか!?

女がへらへらする時代は終わったぞ!

 

みたいなことを言われて

 

まだ小学校低学年だった私は

 

さっぱり意味が分からなかったけれども

 

常識と世間体を大切にする親戚のなかで

 

お酒を飲んで酔っ払って

 

おもしろいことばかり話すおじさんが

 

一気に大好きになりました。

 

 

 

次に会ったのは祖父のお葬式で。

 

私が小学3年生か4年生。

 

 

お葬式の途中に突然入ってきて

 

汚れのついた作業着みたいなのを着て

 

またまた親戚のおじさんから

 

着替えてこい!

 

ってすごい剣幕で怒られて

 

でもおじさんはその声は無視して

 

ぶっきらぼうにお焼香だけして

 

部屋から出ていきました。

 

 

おじさんのお姉さんである

 

親戚のおばさんは

 

おじさんの態度を


みんなに謝っていたけれども

 

2年ぶりに会ったおじさんは

やっぱりかっこいいな~

 

と、私は羨望のまなざしで見ていて

 

それは兄弟も同じだったのでしょう。

 

 

弟はおじさんが来てくれたことに

 

お葬式途中に大はしゃぎで


母に怒られていました。

 

 

その後、親戚一同でバスに乗って

 

火葬場に行ったとき

 

おじさんは1人でバイクで先に到着して

 

駐車場で煙草を吸っていました。

 

 

火葬場で待っている時間

 

待合室の入り口に座っていた私に

 

おいおい!みなこ!

ちょっとこっちこい!

 

って小さい声で手招きするんですね。

 

 

おじさんの近くにいくと

 

暇だろ?

バイクに乗せてやるよ!

 

と言って

 

そのまま駐車場に行き

 

おじさんの大きなバイクに乗せてくれました。



 

今なら大騒ぎでしょうが

 

時は昭和の終わりで

 

おじさんのバイクの座席の前に私を乗せて

 

そのまま町内一周してくれました。

 

 

もちろんヘルメットもないし

 

子どもを乗せることだって禁止でしょう。

 

 

私はうまれて初めてバイクに乗って

 

顔に吹き付ける春いっぱいの風と

 

小刻みに揺れるバイクの振動と

 

うつりゆく景色のあまりの美しさに


言葉を失いました。




 

おじさんは


高台にある景色の良い場所に連れて行ってくれて

 

自動販売機でジュースを一本買ってくれました。

 

 

忘れもしない

 

ネクターという桃のジュースを飲んで

 

おじさんも缶コーヒーか何かを飲んで

 

また私を火葬場に送ってくれて

 

そのまま順番に

 

兄と弟が同じルートをたどって

 

やっぱり同じように

 

ジュースを1人に一本ずつ買ってくれたそう。

 

弟は「つぶつぶみかん」を


1人で飲めたと大喜び。

 

 

当時は缶ジュースなんて

 

よほどのことがない限り買ってもらえなかったし

 

買ってもらったとしても

 

一本を奪い合うように

 

3人で飲むのが当たり前だった頃。

 

 

あの時の景色と風と香りと


バイクの小さな振動と

 

おじさんが買ってくれた

 

ネクターの味が今でも忘れられません。

 

 

その日の別れ際に

 

また3人の頭を順番に


ぐしゃぐしゃになでてくれて

 

バイクのことは内緒だぞ!

 

って、私たちに小さく耳打ちして

 

弟はおじさんにすっかりなついて

 

こんどはいつ会える?

つぎは泊まりに来てね?

 

ってずっとごねてました

 

 

私も兄も名残惜しくて

 

いつまでもおじさんの


腕や足にまとわりつき


おじさんも私たちを持ち上げたり


ぐるぐる回したり


最後の1秒まで全力で遊んでくれて


最後の最後に

 

あんまり立派になるなよ!!!

 

って言ってくれたのが

 

私たちが聞いたおじさんの最後の言葉でした。

 

 

あれから30年以上の月日が流れ


私たちもおじさんの年齢をとっくに超えて


母からおじさんの訃報を聞き

 

兄と弟に連絡を取ると

 

二つ返事で2人とも


お葬式に行く、と言いました。

 

 

片道2時間かかるのですが

 

駆け付けた兄と弟と会場で少し話して

 

口数が少ない兄に

 

忙しかったでしょう?って声をかけたら

 

バイクに乗せてくれただろう?

 

って一言。

 

 

私たち兄弟にとって

 

あの日の一日が

 

最高の思い出だったんでしょう。

 

 

おじさんは楽しかったな

 

とつぶやくように言って


兄は早々に帰宅しました。

 

 

その後は女子以上に


おしゃべり好きな弟と

 

当時の思い出を話しながら一緒に帰りました。

 


こんな時間もおじさんがくれた

 

宝物のひとつでしょうね。

 

 

帰宅してお風呂に入った時にふと


ジェットコースターのような


おじさんの人生を思ったときに

 

おじさんにとっても

私たち3人はかわいかっただろうな

 

と思ったら

 

急に涙があふれてきました。

 

 

人との出会いはやっぱり不思議で

 

大切なことは

 

共に過ごした時間の長さではなく

 

どれだけその時間に


思いを込められたか、なのかな。

 

 

立派になるなよ!

 

30年経って


この言葉の重さがどんどん増します。

 

やっぱりおじさんは最高の人です。





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