魚と魚屋と水族館
「画廊ではたらきたいんですけど、あまり美術の知識がないんです。」
こういうお話もよくでる。
ぼくらはそれなりに知識をもっている。
そうじゃないとお客さんとお話でませんからね。
だけど、よくよく聴いていると、みんなの思っている知識と、ぼくの考える知識は若干違う。
魚屋と水族館にあてはめて、考えてみよう。
魚屋にて
「おじさん、この魚どんな魚? おいしい?」
「こちらは沿岸性の回遊魚、ウルメイワシです。遊泳能力が高く、群れで行動します。
全長は成魚で10cm-30cmほど。ですから今回展示してあるものは中型ですね。
プランクトン食で、微小な歯を持っています。
体は細長く、断面は円筒形ないし、やや側扁(縦長)。背が青く、腹が白いです。
食味は美味であるとされています。」
このおじさんは大変な勉強家だか、大きくずれている。
魚屋のおじさんはこうであってほしい。
「これはイワシ!夏が旬の魚だからね、今おいしいよ~
刺身、塩焼き、フライ、天ぷら、酢の物、煮付けなんにでもあう。
おたくの坊ちゃんならフライとかにしたら喜ぶかもね。
DHA ビタミンB 亜鉛も多く含んでいるから是非食べさせてあげて。」
お客さんが魚屋にのぞんでいる情報は魚の生態ではない。それは水族館の仕事。
魚屋で知りたいのは魚の味、調理法、栄養。
美術の知識は多いにこしたことはないけれど、
そのウンチクがみなをハッピーにする知識なのかどうかは考えたほうがいい。
絵との暮らし方、絵の楽しみ方、画家の人となり、などが画商にとって優先すべき知識だと思っています。
少なくとも、うちはそう思っています。
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彩美画廊
〒791-2113愛媛県伊予郡砥部町拾町356-1
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