呪いの鉛板~レバノン・ラマリ遺跡~発掘隊に呪い | 愛唱会ジャーナル

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(社)学士会の発行する雑誌「U7(U SEVEN)」最新号vol.40(October 2011) に「研究室探訪(京都大学大学院文学研究科 泉拓良研究室)」が載っている。


京都大学に日本最初の考古学研究室が1916年に近代的な日本考古学の祖である濱田耕作教授によって開設されたこと、現在の考古学研究室の活動状況など極く簡潔に記した後、泉教授が担当するフェニキア・カルタゴの考古学研究について比較的詳しく紹介している。


レバノンのティール市郊外ラマリ遺跡での発掘調査の苦労、教授の手腕、調査成果など書かれた中で、「呪いの鉛板」なる出土物が面白い。


最大級の地下墓を検出し、中から長さ15cm、幅6cmほどの鉛製の板が見付かった。びっしりと1100字(ギリシャ文字)、54行に渡って呪いの言葉や記号が書き連ねられたもので、七重に折り畳まれた上で墓に投げ入れられていたという。


呪い目的であることは専門家には一目で判るのだろうか


この価値ある出土物を詳細に調査研究するべく、日本に持ち出すという大変難しいことをレバノン当局との折衝で実現させたこと自体が大きな成果と言える。


そして、碑文研究者をチームに加えるなど充実した体制で研究した結果、現地で殆ど判明していなかった文章の内容の大部分が解読された。


鉛材料の分析から産地を同定するデータも得られつつある。最終的な成果が楽しみな研究である。


ところで、「呪いの鉛板」の発掘後、現地で調査に当たっていた学生がことごとく発熱や腹痛の症状に1週間以上苦しめられ、パソコンの調子が著しく悪化し、作業に大きな支障が生じたそうだ。


呪いの存在が取りざたされたにも拘らず、泉教授はピンピンしていたことから、学生たちはただの疲労と食あたりにやられたものらしいとのこと。


そう言えば、ひところ話題を撒いたピラミッドの祟りだとか、ファラオの呪いだとかも、その後科学的、客観的に説明がついているようだ。

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