ある男性の患者様に、プロテイン・ダイエットとインスリン・ダイエットおよび有酸素運動と下肢筋力強化トレーニングについて指導させてもらった。インスリン・ダイエットの効果は定かではないが、炭水化物についての知識やコントロールにつながると思うので、説明することが多い。
彼は仕事が忙しく、下肢と足の痛みが2年くらい治らなかった。足に注射を打っているとき、彼は聞いてきた。
「先生、やっぱり痩せなきゃ駄目かなあ」
「そうだねえ、痩せたら、こんなとこ、痛くならないよね」
「先生、ダイエットの仕方教えてくれる」
「いいよー」
それは4ヶ月前の話だ。正確には聞かなかったが、彼は183cmで115kgはあるだろうな、という大男だった。
「じゃあ、食事はこうこう……、運動はこうこう……」
オイラのダイエットについての知識量は半端じゃない。医者だし、デブだから、勉強も完璧な上に、すべて経験済み。じゃあ、なんでお前はデブなんだ!? と聞かれると、うーむ、何も答えられない。この運動すると何キロの人なら何キロカロリー消費するとか、とにかく能書きだけはいくらでも説明できます。食事も然り。
「ラーメンとか、コロッケばっかり食ってるとダメなんすね」
「そうなんだよ、炭水化物と塩と脂だけになっちゃうから…」
先週、彼がクリニックにやって来た。事務員さんや看護婦さんたちが、がやがやしている。彼がドアを開けて診察室にはいってきた。
「先生、どうも」
「……!?」
「結構、痩せちゃいました」
「ええっ、どうしたの! ○○君、そんなに痩せちゃって!?」
4ヶ月なんてあっという間。つい先日見たはずの大男が、下顎のラインがキリッとした、ちょっと痩せ気味のいい男に変化している。声は変らない。しかし完全に別人。僕の脳内には、ダイエットが成功した、というより、とうとう○○君、癌にかかっちゃった!? という妄想が先に浮かんだくらいだ。
「先生のいうとおり運動と食事制限したら、40kg痩せちゃいました。体が軽くて、よく汗かくし、痛いところはないし、今、体は絶好調です」
まじめに、やってたんだ。すごいよ○○君。こんなに短期間で、炎のダイエットに成功した人を、生まれて初めてみた。本当にびっくり。ダイエット前と後の写真を撮ればよかった。
やっぱり正確な指導箋のもとに、しっかりダイエットすると効果絶大だなあ。
お前がやれよ(←デブ医者)