ショコラクロワッサンが好きです。カフェやパティスリーに行けば、僕はきっとショコラクロワッサンを買っている。カフェオレとショコラクロワッサン。朝食として、おやつとして、最強の組み合わせです。
休日に街へ出かける。何を買おうと決めているわけではありません。となると、歩いてゆくのが気分ですね。車に乗れば便利ですが、街の中では小回りが利かない。地下鉄は乗ったり降りたり自由自在だし、バスに乗るのもなんだか得した気分になります。
あっちの店だの、こっちの店だの、出たり入ったり。ここかしこに興味は弾みます。そして2駅くらいの距離なら歩いてしまう。胸を張って、顎を引いて、お腹に力をいれると、足は前に出てゆきます。日本橋や銀座の街が好きですね。歩道が広くて、歩きやすいから。神田に神保町も素敵です。青山も好きですが、歩くより自転車に乗りたくなります。吉祥寺はちょっと混みすぎかなあ。人気抜群だけれども。
あてどもなく文房具を探すのが楽しい。ボールペンや鉛筆とか、消しゴムとか、手帳なんかは沢山の選択肢があるために、いいものを見つけたら嬉しくなります。本もいいです。書店で立ち読みをパラパラとやって、面白そうな本を見つける。手に持ち帰るときの気分には、初めての人にこれから会うみたいな、ドキドキがあります。もしかしたら、出会いは世界を変えてしまうかもしれない。
あれやこれやと寄り道しながら街を歩いていると、体が温まり、喉のほてりを感じます。小腹も空いてきたような。体は必然と一服を求めています。街の必然。さあ、カフェに向かって歩いてゆこう。
銀座界隈なら、泰明小学校前のカフェ・オーバカナルを目指してゆく。ショコラクロワッサンとカフェオレを頼みます。お気に入りのテラスは路に向いているので、歩く人たちと視線が交錯する。街ならではの緊張感です。含羞には流行のサングラスを掛けてしまいましょう。
ショコラクロワッサンをかじる。パンの外側は、はらりとして、硬くて、儚い感じがいたします。わりとあっさりした発酵バターの味わいが口に広がってゆく。大きめにかじると、はらりからしっとりまで、パン生地のグラデーションを味わえます。そして発酵した小麦粉の滋味を感じる。クロワッサンならここまでですが、僕が頼んだのはショコラクロワッサン。芯に棒一本のショコラが入っている。クロワッサンの味わいの中に控え目なショコラの甘みと香りが含まれているのです。
ショコラの甘みを感じたらカフェオレを一口含みます。パンとショコラはカフェオレに溶け出してゆく。バターの層を重ね生地を丹念に伸ばすことで、薄くてパリパリになったパンの外側は、カフェオレのミルクにすんなりと溶けてゆきます。そしてショコラとコーヒーの相性は抜群です。バターで揚げられた生地、発酵した小麦粉、控え目なショコラ、泡だてられたミルク、そしてコーヒー。料理としてはとてもシンプルです。それゆえ、精緻な技と巧妙な選択が生きます。
街には洒落た人々が行き来している。目があったりあわなかったり。感じたり感じなかったり。そしてカフェオレを一口含む。街の光景が移ろいでゆくなか、僕はテラスに座り、これからについて思いを馳せているのです。
とりあえず、帰りに朝飯用ショコラクロワッサン買ってこ。