雇い主と雇われるほうの意図が違うことに、ずいぶん後になって気づいた話。
10年前、旦那の実家の隣に引っ越してきたので、前のパートは辞めこちらで新しく仕事を探すことになりました。
そんなとき、義母の友人が、「知り合いが人を探してて、さらささんを紹介した」というので、その知り合いという人に話を聞きにいきました。
そのオーナー(女性)は、うちの近所の人で、小さなカフェを開いてある程度成功してました。
なので、てっきりカフェの従業員を探しているのかと思ったら、新しくリラクゼーションサロンを開くので、そのスタッフを求めているとのこと。
オーナーの第一印象は「壮大な夢を語る人」で、悪い人じゃないんだろうけど何かうさんくさい。
ただ、職場が家から近いし、義母の友人の紹介だしで、そこで働くことになりました。
しかし、その職場がヤバかったのです。
リラクゼーションサロンに集まったメンバーは、オーナーの友達二人と私。
なんか「仕事」というよりは、友達とワイワイ何かやって楽しむ、みたいな雰囲気だったんですね。
オープン前には何度も呼ばれて作業をしましたが無給でした。
おそらく、まだ売り上げ発生してないからだったのでしょうが、私にとっては時間を売ってのお仕事なので、そんなの関係ないじゃない?
かなりもやっとしましたね。
(そこで気づけよ!!って今は思うけど)
ほかのスタッフはオーナーの友達だから、「これっておかしくない??」と聞ける雰囲気ではとてもなくて。
それに、「みんなでこのお店を成功させようね」っていうオーナーの言葉にみんなが賛同しているというか、洗脳されてるというか。
なんかネットワークビジネスのあのノリに似てる…。
その友達たちも、元からそうなのか洗脳されてしまったのか、お金が目的じゃなくて、オーナーの夢を叶えることが目的みたいな感じでした。
で、私はその同調圧力に負けてしまった。
「みんなで力を合わせて夢を叶えよう」って言葉は、本当に便利だと思う。
そこで「時給を払ってもらわないと困る」なんて言おうものなら、
「え、あなたはみんなの夢に協力しないの?みんな、この夢を叶えるために一生懸命やってるんだよ」
って雰囲気になるのが、とても気持ち悪い。
そんな、同調圧力に負けた私は、オープンしてからも無給で働くことが当たり前になってました。
もちろん、お店に出る時は時給が発生するけど、開店前の準備と、閉店してからの片付けの時は無給。
それに、お店でパソコン使えなかったから、書類作りなどは家でやらないといけないけど、その分はもちろん無給。
休みの日に家族で遊びに行ってる時に、突然オーナーから電話がかかってきて、「明日までに〇〇の書類を作ってきてー」と言われたことがあります。
サロンの契約書みたいなものを作れと言われたけど、そんなの私は専門家じゃないから、一からネットで調べて書類を作らないといけないんですね。
しかも、昼間は家族と遊んでるし(まだ娘幼稚園だったからね)、その後は家事しないといけなくて、結局夜中からしか書類を作れなくて。
しかも、ぱっとできる書類じゃなくてね。
結局3時までかかって書類を仕上げて、次の日仕事に行ったなー。
もちろん、オーナーは当然のように受け取っただけだったけど
お店のポップを作らないといけなくなって、それも家でやらないといけない。
これも夜中過ぎまでかかって作って、言われた数だけ印刷して持って行きました。
時給はもう諦めてたけど、せめてインク代…と思いましたね。
それがずっと当たり前になって、うちのインクはそのお店のために消えていきました。
でも、「みんなで協力して」っていう空気を読む私は言えなかったな。
今思えばあのオーナーは、私をそういう断れない人と見抜いて雇ったんだと思う。
あと、引っ越してきたばかりで、私に何のネットワークもないことを知ってたから。
私に何しても言いふらされることがないでしょ。
ふつう、ここまでされたら文句言って近所の人とかママ友とかに文句言うよね。
そう、なんでご近所には4,50代の女性がたくさんいるのに、わざわざ引っ越してきたばかりの私に声をかけたのか、不思議だったんですよね。
ネットワークのできているご近所さんでは、オーナーにとって都合が悪かったのです。
友達のスタッフは、好きで一生懸命オーナーに尽くしてたから、いいと思うの。
でも、私はお金を稼ぎたくて雇われたのね。
みんなで夢実現ごっこをしたいわけじゃなかったの。
何度も思ったけど、それはあなたの夢であって、私はあなたの夢を叶えるためにここで働いてるんじゃない、時間の分のお金ください、ってこと。
でも、雇う、雇われるときに、お互いの相違があったのでしょうね。
私は「時間を売るのでその対価をください」と思っている。
オーナーは「私の夢に協力してくれる人として雇った。私の夢はあなたの夢」と思っている。
ほかのスタッフは友達だから、それで通じたんです。
でも、私はオーナーの友達でも何でもない。
なのに、友達と同じことを私に求めたってことでしょう。
それが、ネットワークのできているご近所さんだと、「ただ働きさせられた」って噂になりかねないので、引っ越してきたばかりで空気を読みそうな私がターゲットになった。
始めから「タダ働きさせるつもり」で、友達に夢を語って洗脳し、空気を読みそうな私を雇った、としか思えません。
この話は次回に続きます。