今回はBリーグ開幕前総評第10弾のアルバルク東京編。


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東京は昨季主力選手に怪我が相次ぎ、非常に苦しい状況でありながらプレイオフではコブス、ロシター、田中を欠いて島根にリベンジするなど流石というか意味が分からない強さだった。


東京が面白いのは上位チームでありながら昨季チームスタッツで下位に位置する項目が多く、一昨期との比較では大半が悪化している。


PGもコブスが抜ければリーグ下位クラスの布陣で全ポジションの層が厚かったわけでなければ、近年はシュートが全く入らずフロアバランスも悪い。


しかし、東京はディフェンスで相手をシャットアウトしつつスローなオフェンスで相手の攻撃回数と自らの失点を減らすとともに、バランスの悪い自らの非効率的なオフェンスもなるべく少なく済むようにするという出来うる中での合理的選択によりカバー。


また、バランスや効率が悪くてもFTを有効活用することでリーグ上位のオフェンシブレーティングを記録するなど保険を掛けていた。


これらにより東京はチームスタッツに下位項目が多くても強かったわけだが、フロアバランスの悪さやPG層を改善すればより強くなるわけで、当然ここ数年課題だった3Pは最優先に補強で強化してくると思っていたが予想していた補強とはだいぶ方向が違った。


そんな東京の今季ロスターを順に見ていくと、PGは岡本が継続し橋本、福澤、テーブスが新加入。


岡本はベンチ外になると思うのでPGは全員新加入選手ということになるが、日本人PGは昨季から比較して大幅パワーアップなのは言うまでもない。


昨季の東京の日本人PG陣は資金力トップと思えない陣容で、コブスと田中がいるから穴にならないだろうという所が2人の欠場やそもそもPG自体怪我人が続出するなど散々だった。


小酒部がPG起用されたり苦しんだ部分なので当然と言えば当然だが、日本人PGは全員昨季より実力者を揃えて二の舞を踏まなかったのは流石である。


ただ、外国人PGはいなくなったのでPGの瞬間的な最大火力という部分では劣るかもしれない。


東京は編成的に外国人PGを獲得出来る数少ないチームなので個人的には外国人PGを獲得して欲しかったし、見たかったので日本人選手のみになってしまったのは少し残念。


SGは小酒部と安藤が継続。


田中がいなくなってしまったのは痛いが、HC交代で使われ方が大きく変わっても活躍した安藤や緊急時にはPG起用にも答えた小酒部を残せたのは大きい。


2人とも強力な選手で攻守ともに東京を支えているので依然SG陣は安泰。


SFはザックと吉井が継続してメインデルが新加入。


ここも元から層が厚い部分であり、特に吉井はディフェンスでの貢献が凄まじい選手で複数ポジションの外国人選手にマッチアップ出来る優秀なディフェンダーである。


一方で吉井はオフェンスではあからさまに外で放置され入らないシュートを打たされるなど、他の選手もシュートが入らないために中でプレイすることも難しいことからディフェンスほど目立った活躍はなかった。


そこにオフェンスタイプのフォワードとしてメインデルを獲得することで3番ポジションでも昨季より得点が見込めることになった。


メインデルはブラジル代表のフォワードでオールラウンドに近いプレイが持ち味。


シュートを割と打ってくるタイプで3Pは直近2シーズンで39%以上と高確率を記録しているが、それ以前は2割台もちょくちょく挟み込まれている。


ただ、12シーズン平均で見ると34.2%で悪くなく、国際試合平均でも34.4%でシーズン中とほとんど乖離がないことからもシーズン毎の振り幅が大きく安定感はないかもしれないが、少なくともシュートが下手な選手ではない。


メインデルの最も警戒すべきプレイはドライブで、C&DでのACやアイソレーションなどから押し出すようなクロスオーバーやキレのあるステップを使ってフィニッシュまで持っていく。


カットでも得点可能なのでロシターのハイポストでのポストアップがオフェンスパターンになっている東京ではカットも効果的に決まりそうである。


トランジションでのフィニッシュ力やプッシュ力も持ち合わせているが、東京は余程の決定機でなければあえてトランジションやブレイクの展開を抑えてスローペースにしていたりするので、この点においては強みが発揮しにくいかもしれない。


ヨーロッパでは回数自体は少なかったが、ミスマッチではポストアップからも得点しており、オン3で日本人選手とのマッチアップが多いであろう日本ではポストアップからのオフェンスも増えるかもしれない。


FTは貰うのが得意で、特にドライブからは多く貰っており、東京ではオン3で日本人選手とマッチアップすることからFTAも多くなりそうだが確率はフォワードとして高いわけではない。


冒頭で述べたように東京はFTを有効活用していたチームなのでアテンプトは増えても確率がついて来なければFTの威力は半減してしまうので惜しい面ではある。


アシストが意外に得意で、ゴール下でフィニッシュ出来る東京のビッグマンへのアシストも多いかもしれない。


リバウンドは強くないが、東京自体リバウンドが強いことやオン3での出場ならリバウンド面でも東京にプラスになると見ている。


ディフェンス面ではスティールが多く、スクリーンに多く引っ掛かるのが気になるが、しつこいチェイスや強度の高いコンタクトが可能でペリメーターディフェンスが上手い。


ディフェンスでも日本人選手とのマッチアップであればアドバンテージとなるはず。


ここまでメインデルについて見てみたが、オン3で起用出来ることもあり攻守で大きなアドバンテージを取れる選手であることは疑いなく、メインデル加入でSFは明らかに強化された。


ただ、メインデルの最大の武器であるドライブについては近年のようにチームでシュートが入らないようだとディフェンスは収縮するので本来のドライブ力は発揮されないかもしれない。


実際コブスもドライブが上手い選手なのに東京では思ったよりゴール下までドライブする姿が見られなかったので、メンバー的に今季もシュートが入らない可能性は高いことからメインデルも心配ではある。


また、そのシュートの部分でもメインデルは先述したように直近は高確率でも平均で見るとシュートが上手いとまでは言えないレベルであり、安心感まではない。


資金力が豊富で選択肢も他のチームと比べようがないほど多い東京ならメインデルと同等のドライブスキルがありながらシュートも上手い選手の獲得も出来たはずなので、フォワードなら他の選手が見たかったというのが正直なところ。


また、FTも先述したように決めるのは上手いわけではないのでFT FGの非効率的な部分を補っていた東京的にはベストな選手だとは思う難い。


次にビッグマンは平岩、ロシター、サイズが継続してグダイティスが新加入。


バックアップの平岩と帰化選手最強のロシター、確実にリーグトップ5に入るであろう選手のサイズがいてリーグ屈指のビッグマン層を誇る東京がカークの代わりに誰か楽しみにしていたが、グダイティスの獲得は色々な意味で驚かされた。


グダイティスはリーグ歴代の選手でもトップレベルにランクの高い選手で長年ユーロリーグで主力を務めたビッグマン。


実は過去に某掲示板で選手予想をしていた際に某チームで予想したが、当時は選手のランクやチームの金銭事情は無視して見たい選手を書いていたので資金力的にそのチームはどう考えても有り得なかった。


その時から数年経っても価値が下がることなくユーロリーグで活躍していたので、そのような選手を恐らくトーマスのようにユーロリーグチームと競合した上で獲得出来るのは流石東京という感じで恐れ入る。


ただ、グダイティスは高ランク選手であるが、東京に必要な選手だったか、優勝を目指す上でベストな選手だったかと考えるとメインデル以上にそういう選手とはかけ離れた選手と感じる。


というのも、昨季から何度も述べているように東京のシュートの不振は最優先で改善すべきポイントだと思っているので、昨季ビッグマンにシュートがなかった東京は絶対にシュートの打てるビッグマンが必要だと思っていたし獲得するとも思っていたからである。


グダイティスはペイント内で仕事する選手でポストプレイやダイブは持ち味だが、シュートはない。


FTは多くもらる選手で数シーズン前までは7割以上で決めていたが、直近2シーズンはアテンプトは多くても5割台に急落しており、FTを高確率で安定して決めてくれていたカークの後任としては7割未満が日本でも続くようだとFTを武器とする東京としては厳しい。


リバウンドはORDRともに強い選手なのでリバウンドに関してはリーグトップクラスの東京に合っているが、やはりシュートがないのとFT確率は懸念点である。


さらにディフェンスでもポストディフェンスはユーロリーグでもファルやジャイテなど名だたるポストゲーマーとやり合っていたが、ペリメーターディフェンスは当然ながらロシターやサイズのようには出来ない。


昨季はカークのペリメーターディフェンスが狙われまくったのでカークの後任はもう少しペリメーターディフェンスの出来る選手を獲得すると思っていた。


またグダイティスはファウルも若干多いので、ユーロリーグではPTが少ない故に余裕があるのでファウルしていた部分もあるとはいえ東京は昨季ファウルが増えており、ファウルの多さは改善点の1つだと思っていたのでグダイティスのファウル数も心配な点である。


そういう意味でディフェンス面でもグダイティスは東京に必要な選手としてはズレを感じざるを得ない。


これではカークを切ってFTの安定感を捨てつつ、ペリメーターディフェンスの弱点はそのままにファウル増加のリスクを取ってまでインサイドをただ強化しただけに見えるのが何とも。


グダイティスほどの選手を獲得出来るなら他にもいくらでもストレッチタイプの選手を獲得出来たはずで、そうしなかったということは意図的にインサイドを強化しているわけでもあり、昨オフに続いて今オフも東京は3Pの改善には積極的に動いていないので伊藤GM的には3Pは要改善事項ではないのかもしれない。


伊藤GMのコメントにもグダイティスについてはインサイドと書いてあるのでインサイドを強化する目的でグダイティスということは分かったが、何でインサイドを強化したいのかは分からなかったので広島GMのような詳細なコメントが欲しかった。


ただ、カークはアウトサイドでも攻守ともに貢献が薄く、インサイドの強さではグダイティスの方が上なので東京のビッグマン自体は昨季より強化されたと見ている。


ここまで東京のロスターを見てきて、東京の改善点と思っていた部分は今オフの補強であまり改善されなさそうだと感じる。


また、外国人選手も資金力があるから期待しすぎたのか、バランスよりもランクが高い選手をとりあえず獲得しているような感じで個人的には残念だった。


とは言え、一昨期も昨季もシュートが入らないチームであれだけ強かったので、今季もシュートが入らなかったりバランスが良くなかったとしても、単純に強力な選手が揃っているので上位の強さで優勝を狙えるチームなのは変わらなさそうではある。


なので、もし3Pが普通に入るようであれば恐ろしいチームになるはず。


しかし、違う外国人選手であればもっと優勝可能性が高くなるチームになりそうだとも感じる外国人編成であった。


地区枠からプレイオフに出場すると予想。


個人的注目選手は帰化選手のロシター。


ホーキンソンが帰化したが、まだロシターが帰化選手でNo.1だと思っており、強力な選手が多い東京でも影響力は大きい。


ハイポストでのポストアップから得点だけでなくアシストに繋げる巧さを持ち合わせており、ボールプッシュまでこなす。


リバウンドとディフェンスは特に素晴らしく、あのリバウンド力とディフェンス力を持った選手が帰化選手なのは圧倒的なアドバンテージでしかない。


FTが苦手だったが、昨季は以前の姿からは想像出来ない高確率でFTを決めており、ロシターがFTを決めてくれるのも東京がFTを武器に出来た一因であった。


ロシターのFT確率が今季も続くなら東京にとっては心強い。


新加入のメインデルやグダイティスとのプレイも楽しみにしたい。