今回はBリーグからシーズン総評第3弾の群馬クレインサンダーズ編。
昨季シーズン総評はこちら
今季開幕前総評はこちら
チーム評
まず、群馬の今季編成やロスターについて見てみると、HCが変わったのと主力選手ではバルヴィンの代わりにターズースキーが入ったのとPGで並里を獲得したのが大きな動きと言える。
確か開幕前の総評でも書いた気がするが、群馬の編成で意外だったのはバルヴィンの代わりがターズースキーだったことでロールマンからロールマンに入れ替えており、明確にロールマンが欲しくてターズースキーを獲得したであろうということ。
バルヴィンとターズースキーではプラスになった部分とマイナスになった部分それぞれあるのでどちらが良いか難しい部分ではあるが、少なくとも失敗だとは思わない。
並里に関しては笠井との入れ替えで群馬に欲しかったハンドラーでジョーンズの負担を減らせるということもあり、大幅なプラスになったと言える。
日本人選手に関して言えばもう少し入れ替えがあると思っていたが、少なかったのも意外だった。
バスケ面で言えば、HCが変わったこともあり、昨季やっていたキーナンのワンパスでの速い得点やジョーンズがスローインから時間をかけずにアタックする形など有効であったものの今季はほぼなくなった。
そんな群馬は今季東地区で29勝31敗と超えると思っていた勝率5割を切ってしまい、予想外に勝てなかったという印象。
外国人選手の怪我があったとはいえ、昨季ほど深刻なものではなかったので単純に勝てなかった、強くなかったということかもしれない。
優秀な帰化選手のパーカーがいたチームの勝率としては物足りなかった。
個人評
・キーナン
昨季から数字を大幅に落とした。
3P%、FT%、平均得点は特に顕著に下がっており、ファウルも多いなど攻守で貢献が低くチームにとって想定外だったのではないかと思う。
キーナンが昨季くらいの数字をキープ出来ていればもう少し勝ち星は増えたのかもしれない。
・パーカー
相変わらず鉄人ぶりは健在で、リバウンドへの意識の高さやディフェンスへの献身性など40歳以上とは思えない運動量でコートを飛んで走り回る姿勢には頭が下がる。
オフボールからの合わせやORからのプットバック、ハイローからのフィニッシュなど確実なショットが多いので2P%が異常に高く、今季はミドルもよく決まっていた印象。
スティールとブロックも平均1本以上記録しており、貢献は莫大。
FTが入らないことは弱点であるが、帰化選手として外国人枠から外れてコートに立てる選手がこれだけ攻守で活躍してくれるのは絶対的なアドバンテージだった。
・ターズースキー
日本に来ると知って驚いた高ランク選手。
ロールマンという点で昨季いたバルヴィンと同じだが、昨季チームにいなかったP&Rハンドラーの問題を並里獲得で解決したことでターズースキーはダイブからバルヴィン以上の確率と効率で得点することを可能にした。
ただ、サイズが下がった分リバウンドとブロックはバルヴィンより少なくなっているのとファウルはバルヴィンより増えている。
なのでバルヴィンと比較してどちらが良いかというのは難しいが、個人的には入れ替えたのはプラスになったと思う。
キーナンが昨季と同様にプレイ出来ていればターズースキーのダイブするスペースももっと増えたかもしれない。
・ジョーンズ
恐らく単純な得点力という意味ではリーグ最強の選手。
3P40%で2P57%、FTも1試合平均6本近く打って88%と非常に高く、平均得点は20点オーバーと怪物級の数字となっている。
オフェンスではフィニッシュ力も高い上に最低でもファウルを貰うくらいの強烈なドライブやプルアップでもC&Sシチュエーションでも高確率で打ててミドルとロング関係なく入るシュート力も持ち合わせる。
トランジションでももちろん得点に繋げるプッシュ力やフィニッシュ力を備えている群馬の大エースと言える。
・山崎
PTは多くなかったが、3P44%でFT82%とどちらも非常に高確率でフリーであれば決めてくれる安心感があり、ポイントでの起用がしやすかった選手だったように感じる。
良い活躍だったのでリスト入りは意外だった。
・チェンバース
ディフェンスは従来通り良かったが、オフェンス面では持ち味の3Pは29%で非常に悪く、平均5本近く打ってこの確率では厳しい。
ミドルやドライブは良く決まっていたので来季は従来通りの確率に戻ることを期待したい。
・八村
3番へ完全にコンバートする目的で使われており、八村自身も3番に適応していた。
2Pは確率が良くないが、3Pは思い切り良く打って良い確率で決めている。
リバウンドも取りに行けばもっと取れる選手だと思うので飛び込みに期待したい。
・並里
TOは多いが、PGを任せて平均27分出れるという点で昨季メインでハンドラーもしていたジョーンズの負担を大幅に減らすことに成功した。
ゲームメイクでP&Rから展開出来るのでターズースキーと相性が良く、キーナンもシュートが決まっていればアシスト数ももっと多かっただろう。
チームトップのアシストに加えて得点でも日本人トップであり、アンダーされることでフリーで打てるミドルや3Pが良く決まっていた。
主要チームスタッツ比較
・平均得点
平均得点は昨季82.6点でリーグ6位、今季は81.7点でリーグ8位に得点と順位が下がった。
キーナンの不振や少しペースが下がった影響もあると思われる。
・平均失点
平均失点は昨季が86点で少ない順でリーグ20位、今季は83.2点でリーグ19位と失点を減らして順位も上げた。
こちらもペースが下がったことで相手の攻撃回数も下がり失点が減ったのかもしれない。
・平均3P
平均3PAは昨季が25.4本でリーグ8位、今季は21.2本でリーグ23位と本数と順位が大幅に下がった。
平均3PMは昨季が8.5本でリーグ9位、今季は7本でリーグ23位とこちらも成功数と順位が大きく下落。
平均3P%は昨季が33.6%でリーグ19位、今季は32.8%でリーグ16位で確率は下がったが順位は上昇。
数字は全部下がっており、3P%のみ順位が上がっているが、全体で確率が落ちているのでネガティブな項目だろう。
・平均2P
平均2PAは昨季が40.1本でリーグ14位、今季は43本でリーグ1位に本数と順位が大きく上昇。
平均2PMは昨季が21.3本でリーグ12位、今季は23.6本でリーグ1位とこちらも本数と順位が大きく上昇。
平均2P%は昨季が53.3%でリーグ7位、今季は54.8%でリーグ4位に確率と順位が上昇。
3Pと逆にこちらは全ての数字と順位が上がっているが、3Pの損失分を埋めるほどではなかった。
・平均FG
平均FGAは昨季が65.5本でリーグ7位、今季は64.2本でリーグ17位に本数と順位が下落。
平均FGMは昨季が29.9本でリーグ8位、今季は30.5本でリーグ5位に本数と順位が上昇。
平均FG%は昨季が45.6%でリーグ11位、今季は47.5%でリーグ2位に確率と順位が大きく上昇。
アテンプトが減っても成功数と確率を上げているので少なくなったチャンスをしっかり決めたことが分かる。
・平均FT
平均FTAは昨季が18.7本でリーグ5位、今季は18.2本でリーグ7位にアテンプトと順位が下落。
平均FTMは昨季が14.3本でリーグ3位、今季は13.7本でリーグ5位に成功数と順位が下落。
平均FT%は昨季が76.5%でリーグ5位、今季は75.1%でリーグ7位に確率と順位が下落。
攻撃回数が減る分FTをもらえる確率も低くなるのは仕方ないが確率も上位のままとはいえ下がったのは勿体無かった。
・平均リバウンド
平均オフェンスリバウンドは昨季が10.7本でリーグ11位、今季は9.9本でリーグ21位に本数と順位が大きく下落。
平均ディフェンスリバウンドは昨季が26.1本でリーグ11位、今季は26本でリーグ11位と本数は僅かに下がったが順位は同率。
平均トータルリバウンドは昨季が36.8本でリーグ9位、今季は35.9本でリーグ18位と本数と順位が下落。
ORはともかく、リバウンダーであるターズースキーのファウルが多いことからコートに立てる時間をリバウンドが強いわけでもないキーナンと分けることにもなってDRが伸びなかった。
・平均アシスト
平均アシストは昨季が22.7本でリーグ4位、今季は22.7本でリーグ2位と本数は同じだが順位は上がった。
上位層のアシストは昨季より減っており、群馬も並里加入でアシストが増えると思ったが、攻撃回数が減ったこともあり本数自体は増えなかった。
・平均スティール
平均スティールは昨季が7.3個でリーグ8位、今季は6.5個でリーグ15位に個数と順位が下落。
あまり重要視する項目ではないと思うが、意外に順位が大きく落ちたのは気になる。
・平均ブロック
平均ブロックは昨季が2.6本でリーグ7位、今季は2.5本でリーグ12位と本数と順位が下落。
単純にバルヴィンのサイズが無くなったのが影響しているだろう。
・平均ターンオーバー
平均TOは昨季が14.2個で少ない順でリーグ21位、今季は13個でリーグ17位の個数を減らして順位も上げた。
並里加入でジョーンズのボールを持つ時間が減ったのに伴いTOも減ったが、並里自体もトータルが多いのでチームとしてはまだTOが多いのは課題だろう。
・平均ファウル
平均ファウル数は昨季が18.3個で少ない順でリーグ12位、今季は20.2個でリーグ21位と個数が増えて順位も大幅に下がった。
ターズースキーなどファウルの多い選手が入った影響はあると思われる。
・オフェンシブレーティング
オフェンシブレーティングは昨季が108.5でリーグ13位、今季は109.6でリーグ12位で数値と順位が上昇。
ジョーンズとパーカーがいてこの順位なのでまだまだ伸びる余地は十分にあるだろう。
・ディフェンシブレーティング
ディフェンシブレーティングは昨季が112.9で良い順からリーグ14位、今季は111.7でリーグ17位に数値は改善しても順位は下がってしまった。
以上24項目中、昨季との比較で順位が下がったのは13項目あった。
スタッツ順位の分布として下位項目が9個、中位が5個、上位が10個で上位項目が最も多い。
特に改善が必要と感じるのはTOと失点とファウルの多さ、3PAと3P%だろう。
来季編成
群馬は今のところ山崎が移籍し、チェンバースがが自由交渉リスト入りしている。
チェンバースも退団しそうな感じだが、個人的にはチェンバースは残すべき選手だと思うのでリスト入りはチェンバース側の希望、あるいは群馬側がキープ出来なくて既に移籍が決まっているのではと予想している。
他の選手では高齢だが帰化選手で貢献の大きいパーカーは引退でもしない限り群馬は手放すべきではないだろう。
ジョーンズも似たようなプレイスタイルや活躍を出来そうな選手は海外にザラにいるが、ずっとプレイしていて安定しているのでキープが妥当と感じる。
キーナンは明らかに数字が落ちたので元々ディフェンスで貢献が薄いところをオフェンスで補っていた形が取れなくなったので年齢も考えて入れ替えるべきだろう。
難しいのはターズースキーで、効率的な得点や安定したFTで並里とも相性がいいが、ファウルの多さやリバウンドがもう少し欲しい点で物足りない部分もある。
リバウンドはキーナンを入れ替えるのであれば、そこでリバウンド力のある選手を入れる手もあるが読めない。
日本人選手ではPGを任せられる並里と若い八村は絶対にキープするべきで、サイズのある野本も外国人ビッグマンのバックアップ要因として残すべきだろう。
同じく新興チームの位置付けの島根と広島に大きく成績で差を付けられた群馬は資金力も期待出来るので今季こそ日本人選手の大改革が起こることに期待したい。