Bリーグ開幕前総評第3弾は川崎ブレイブサンダース。
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昨季の川崎は天皇杯を優勝しリーグ優勝も大いに期待出来るチームではあったが、プレイオフではパブロの欠場もあり2年連続で栃木に敗れてシーズン終了となった。
2パターンのオン3を使い分けてペイント内の試投は絞りつつ超高確率で決めて、絞った分は3Pに充ててそちらも確率良く決めていく効率的なバスケで得点し、オフェンス関係のチームスタッツは上位が多かった。
帰化選手のファジーカスがハイポストに位置取りミスマッチであれば1対1、ローポストにミスマッチがあればハイローというようにペイント内の得点の多くにファジーカスが絡んでおり、ファジーカスが前提というか根幹となっている。
ディフェンスではファジーカスの穴を全員がカバーするように動いているおかげでファジーカスがいてもリーグトップクラスのディフェンス力を誇っていた。
そんな川崎は今オフ綱井以外の日本人主力選手を残留させ、放出した綱井の代わりに納見を獲得。
川崎のPGは藤井、篠山とリーグ最高クラスの厚さだったところにチームのよっては1番手でもおかしくない納見が恐らく3番手PGとしてやってくるのは意外であり凄まじい補強と言える。
綱井と違って戦力として計算出来るので綱井よりはPTが貰えると予想しているが、米須も入るであろう川崎の3番手に納見がいるのは贅沢というか他のチームからしたら羨ましいかもしれない。
帰化、外国人選手ではパブロ以外の全員が残留。
パブロにも継続のオファーはしていたようなので合意していた場合また同じ外国人編成で戦うつもりだったのは意外だった。
個人的にはジャニングも入れ替えて欲しかったが、納見加入でジャニングがハンドラーを務める時間が減ることに期待したい。
退団したパブロの代わりに川崎が獲得したのはフォワードのヤング。
ヤングは川崎としては珍しくスコアラーで佐藤HC体制になってから初めてのオンボールタイプの外国人選手。
プロ入り後ほとんどのシーズンで3Pが36%以上であり、昨季は今まで所属していたリーグから若干レベルが落ちるとはいえ約45%の超高確率で決めており、シュートが苦手だったパブロと違ってシュートが得点源として期待出来る。
また、相手もパブロにしてたように引いて守るわけにはいかなくなると思うのでディフェンスが広がって他の選手がインサイドを攻めやすくなるという意味でもシュートが上手いヤングの加入はプラス。
シュート以外にもドライブやポストプレイ、カットと豊富な得点パターンを備えており、特にドライブやポストプレイで得点出来るというのは大きいだろう。
というのも昨季シーズン総評でも触れたが、パブロとヒースが外国人選手相手にオンボールで得点出来ないのが川崎の惜しい部分でもあったので外国人選手相手でも外国人選手がドライブやポストアップから得点出来るのは今までにない武器となりえる。
ましてや、ヤングは3番でも起用される可能性が高いので日本人選手相手でも深い位置でボールを貰わないと得点の見込みが薄くなってしまうパブロと違って日本人選手相手なら楽に得点を量産するだろう。
FTはもはや意図的にそういう選手を獲っているのかというくらいFTの苦手な選手が圧倒的に多い川崎の伝統に漏れず、ヤングもFTが苦手で大学やGリーグでは良い確率で決めていたが、それ以外では6割台以下が多くフォワードとしては低い。
それでも3シーズンで58%だったパブロよりは決められるはずなので川崎の弱点でもあったFT%はある程度改善が見込める。
このようにヤングはオフェンス面においてパブロよりプラスをもたらすと思われる反面、リバウンドやディフェンスではパブロと比較すると劣るだろう。
特にディフェンスでは非常に広いマッチアップのカバー範囲を誇っていたパブロのように外国人ガードにバックコートから当たってドリブルスティールをするような芸当はヤングには難しいだろう。
同ポジションのマッチアップでもペリメーターディフェンスやオフボールディフェンスをパブロと比べるとどうしても見劣りしてしまう感じがするのは否めないが、ポストディフェンスに関してはヨーロッパよりビッグマンのポストアップが多い南米で5番起用されていたこともあるのでパブロよりも優れていると見ている。
チームとしてTOも多めだった川崎はオンボールタイプのヤングが入ることでパブロよりもTOが増える可能性が高いので、昨季多かったファジーカスの不用意なパスによるTOは避けるべきで、ファジーカスのTOを平均2個未満に抑えたいところ。
このヤングに加えてシューターのジャニング、ディフェンスの要のヒース、最強クラスのオフェンス力を持つファジーカスが帰化選手として存在する川崎の外国人編成はやはり強力。
オフェンス力は間違いなく増したはずなので、ディフェンスでどれだけパブロのいなくなった影響が出るのかに注目したい。
個人的注目選手は昨季に続いてヒース。
献身的かつ効率的なビッグマンでペリメーター、ペイントともに安定したディフェンス力と抜群のタイミングで行うヘルプとブロックは圧巻。
オフェンスでも得点力が高いわけではないが、出来ることのみ淡々とこなす無駄を削いだような確実なプレイで来日以降全てのシーズンでEFG6割以上という凄まじい高効率を叩き出し続けている。
新加入のヤングともオフェンス面での相性は良いと思われるので相乗効果を産みそうな気がする。
主力がほぼ残留し新外国人選手もスーパープレイヤーではないとはいえ良い選手なので地区枠からプレイオフ進出の優勝候補だろう。