今回はアメリカで毎年オフシーズンに行われる賞金100万ドルのオープントーナメントであるTBTについて。
現地16日に開幕を控えたTBTは現役のNBA選手はプレイヤーとしては参加していないが、ヨーロッパやアジア、オーストラリアなどでプレイする中堅クラスのアメリカ人選手が大半を占め、元NBAの主力やヨーロッパトップクラスの選手も稀かつ少数ながら参加したりもする。
過去にはクリス・ポールがHCとして参加したり選手としてはジョー・ジョンソンやサリンジャー、ブレアやダンストンなどTBTではオーバースペック気味の選手なども参加して驚異的なスタッツや別格のプレイを見せてくれるのも見所。
日本でのプレイ経験がある選手も数多く参加してきた歴史があり、仙台のJBは大会初期から強豪チームのOverseas Eliteで主力として何度も優勝を経験している。
こちらに
名前が載っている選手も参戦経験のある選手が多い。
TBTは各Q9分で4Q残り4分を切ってボールデッドになった時点でリードチームの得点プラス8点がターゲットスコアになる特殊な試合形式を採っており、タイムアウトも30秒タイムアウト3回と60秒タイムアウト1回取ることが可能で30秒タイムアウト2つを後半に繰り越し出来るのも特徴。
今年の大会は8つの地域ごとのブロックにチーム分けがされており、勝ち進んでいくと別地域のチームと当たっていく従来の方式。
参加チームも同大学出身者や地域出身者で固められたチームなど様々で常連チームも数多い。
大会自体のレベルは各大陸でプレイする中堅クラスの選手が中心なことに加え即席チームや急造チームが多かったりで元々高いわけではなかった所に賞金が下がったことによる有力選手の参加が著しく減ったことで更に低下している印象。
ただ、常連チームはそれなりに練度が高かったり良い選手が集まってたりで超絶プレイが瞬間的に見られたりもする。
数年前に先述のオーバーシーズ・エリートが解散したことで近年は群雄割拠と化した。
そんな今年のTBTの個人的注目チームや注目選手の紹介とブロック勝ち抜け予想や優勝予想について地区ごとに書いていきたい。
デイトン
デイトン地区は優勝を狙えるような豪華タレントのチームが複数存在する厳しいブロックとなっており勝ち抜け予想が難しい。
Red Scareはデイトン大OBが中心のチームでスコアリングとゲームメイクを高レベルでこなせるガードのトマソンやシューターのシバート、NBAで11シーズンプレイしたセンターのクーフォス、P&Rの得意なスミス、万能型スコアリングガードのサンフォードと特にバックコートが厚い。
The Money Teamは名前の通りメイウェザーが関わるチームでエースはCBAで70点以上取ったこともあるフレデッテ。
マネーチームはフレデッテ以外にもオフボールの得意なビッグマンのクラヴィッチ、168センチながら得点力とゲームメイク抜群のクロウフォード、南米や豪州でスコアラーとして活躍したホワイト、シュートの得意なマンフォードと優秀な選手が多い。
この2チームも優勝してもおかしくないメンバーが揃っているが、個人的にデイトン地区で勝ち抜けを予想するのは↓
Golden Eagles
イーグルスはマーケット大出身者が中心のチームで優勝と準優勝経験のある大会常連の強豪チーム。
フィジカルが強いオドム、初期から参戦していて大会慣れしているバイクス、オールラウンドなスイングマンのクックなど良い選手が揃っており、今季はU17アメリカ代表で大活躍していたダイアモンド・ストーンもサプライズ加入。
中でも注目選手は身体能力とフィジカルに優れたガードのオドム。
ドライブもシュートも上手い選手だが、昨季本業ではスランプ気味でいい活躍が出来なかったのでTBTで活躍して今季の本業にも勢いをつけて欲しい。
マネーチームにはスーパースコアラーのフレデッテがいるが、ややセルフィッシュ気味な選手なので唯でさえ組織力の高くない即席チームから更にチームとしての機能を奪うように思えたのでイーグルスが優位と見る。
オマハ
オマハ地区は初参加のチームが多い地区で中国でとてつもないアシストを連発していたフォートスンや今季ヨーロッパへの復帰が決まったウィームスなど有力選手を擁するチームが参加。
その中でも個人的に注目かつ地区勝ち抜け予想に挙げるチームは↓
Gutter Cat Gang
キャットギャングは選手→GMとTBTで立ち位置を変えていたヨーロッパでトップ級のアメリカ人選手であるハインズが再び選手として戻ってきたチーム。
ハインズ以外にもアタックの得意なフォワードのカロイアロ、圧倒的シュート力を誇るエディ、ゲームメイクとスコアリング両方こなせるコンボガードのロールなどヨーロッパでプレイする選手の中でも上の下〜上の中クラスの選手が集まっており、以前ほどではないが相変わらず反則級。
それに加えニュージーランド代表で主力フォワードのディレイニーや前回大会で優勝に貢献したガードのライスなどタレント力ではズバ抜けたメンバーになっている。
この中から注目選手を1人だけ挙げるのは難しいくらいの豪華メンバーだが、やっぱりリーダーのハインズを挙げたい。
ベテランのハインズは2メートル未満のビッグマンながらリバウンドとゴール下でのフィニッシュ力が異常に強く、ダイブも強烈でユーロリーグ常連チームを渡り歩くスーパープレイヤー。
キャットギャングはブロックのみならず全体でも優勝候補だろう。
ニューメキシコ
ニューメキシコ地区は初参加チームや経験の浅いチームが多い地区で日本でプレイしたソロモンや福岡に加入するゴードンなどもこの地区でプレイ。
ソロモンの所属するCheatersにはNBAで8シーズンプレイしたジェームズ・エニスや豪州などで活躍したPGのウェアも所属。
そのチーターズももちろん良いチームだと思うが、ニューメキシコ地区で個人的に注目していて勝ち抜けと予想するのは↓
Team Challenge ALS
ALSはGMをNBAでも活躍したダレン・コリソンが務める大会の常連かつ強豪チーム。
万能型スイングマンのアンソニー・ブラウン、シュートの得意なリオン・ブラウン、ややセルフィッシュだが身体能力と得点力に長けたグッドウィン、オーストラリアNBLでMVP経験のあるスコアリングガードのランドル、オフボールビッグマンのギャンブル、オールラウンドフォワードのアレンが所属。
特に注目選手は日本に来て欲しいと数年前から思っているアンソニー・ブラウンでオフェンスのみならずディフェンスも良い選手なので得点力のある選手だらけのチームでも埋もれずに活躍しそうである。
ALSは飛び抜けた選手はいないがバックコートからフロントコートまで各国で主力としてプレイする選手が多い。
むしろフレデッテのような飛び抜けた選手がいないからこそ偏りなく得点が取れたり選手間のパワーバランスも均整の取れたものになって上手くいく気さえする。
ラッカーパーク
ラッカーパークは初参加チームの多い地区で他の地区に比べるとタレントで劣るのが否めない。
この地区に個人的に注目するチームないが、選手単位で見るとターペイやワシントンは有力選手と言えるかもしれない。
勝ち抜け予想はAmericana For Autismを推したい。
オーティズムは韓国やヨーロッパで活躍したベテランのモンロー、フィニッシャータイプのザンナやアンダーサイズながらインサイドワークをこなすピアーソンにスコアリングとゲームメイク両方を高いレベルでこなせるPGのブラウンなど地区内では粒揃いの陣容。
この地区から優勝チームが出る可能性は低いと見ているのでサプライズを期待したい。
シラキュース
シラキュース地区は大会常連になりつつあるBlue Collar Uや豪華メンバーの揃うFriday Berrsなどが同居する激戦区で予想が最も難しい地区。
ブルーカラーはバッファロー大出身者中心のチームで新潟でプレイしたパーキンスやシューターのマシンバーグが主力の中堅チーム。
ビアーズは初期から大会上位に顔を出し続けていたアーマード・アスリートを前身に持つ強豪チームでメンバーも充実している。
ビッグマンはリバウンドの強いメコウルと昨季ユーロリーグでプレイしたブラントリー。
ハンドラーは得点とアシストに優れるニーダムとアシストとシュートの得意なフェラーリ。
ウイングには身体能力抜群でオフボールタイプのスイングマンであるドーキンスとオールラウンドウイングのスイング、直近2シーズンで3P約45%のスコアラーであるアルマンドにシューターのミラーと贅沢な布陣。
さらに日本でもプレイしたストーンもおり、前身が前身だけにタレント揃いのチームである。
この2チームももちろん強いと思われるが、シラキュース地区で勝ち抜けと予想するのは↓
Boeheim’s Army
名門シラキュース大HCのボーハイムから名付けられたリスペクト溢れるチーム名の通りシラキュースOBが中心の常連かつ強豪で前回大会の優勝チーム。
外国人予想プレ企画の記事でも触れたスイングマンのDJケネディはオーバーシーズ・エリートで何度もエースとして優勝して大会MVP経験もあるTBTの象徴的選手。
そして千葉の予想選手
として挙げたウィルチャーも所属しており、それ以外にもスコアリングガードのボストやミドルとドライブの得意なエニスなどバックコートの層が特に厚い。
中でも注目選手はウィルチャーでシュートやポストプレイでケネディとともにチームの主要得点源になると予想。
ブルーカラーも侮れず、ビアーズはアーミーと互角クラスのチームと思っているので組み合わせによってはアーミーが早い段階で負けるのも充分にあり得る死のブロックで1番楽しみな地区でもある。
ウェストバージニア
ウェストバージニア地区もラッカーパーク同様に個人的に注目するチームがない地区であるが、昨季渋谷でプレイしたジョーンズのいるベストバージニアや前回大会でカルト的人気を誇ったエルモアのいるHerd Thatなどが属する。
この地区から優勝チームが出る可能性は低いと思っているが、マーシャル大出身者が中心のハードザットの勝ち抜けを予想。
ハードザットはリバウンドの強いクーク、ロールマンのケリーやドリブルスキルが高くドライブとアシストの得意なエルモアが所属しており、この地区の中では比較的タレント力のあるチームに見える。
エルモアの人気もあり観客の後押しに乗せられてのハイパフォーマンスが今年も見られるかもしれない。
ウィチタ
ウィチタ地区は常連というほどではないが参戦経験のあるチームや初出場チーム、果ては優勝候補まで混在する地区。
日本でプレイしたスタツがACを務めるAfter Shocksのビッグマンは同じく日本でプレイしたモリスやフィジカルが強く合わせも上手いウィリスも名を連ねる。
ガード陣はハンナ、フランカンプ、マギーといずれも得点力ある選手が揃っており、ハンナとフランカンプはゲームメイク力も高いので侮れないチームだろう。
また、Bleed Greenには180センチながらドライブとシュートともに抜群の凄まじい得点力を誇るスキルフルなスコアリングガードのジェファーソンやリバウンドが非常に強いホロウェイ、日本でもプレイしたショーターが所属。
Purple&Blackも大会負け越しチームだが滋賀でプレイしたウォーカーやフィジカルが強くドライブの強烈なガードのピュレンがいたりで見る人によっては注目チームかもしれない。
そんな様々なチームが混在するウィチタ地区で個人的に勝ち抜けチームと予想するのは↓
Eberlein Drive
ドライブも大会常連かつ毎回豪華メンバーを揃える強豪チームで過去には日本に馴染みのあるカークやアマンドソンなどもプレイ。
今回もシュート、ドライブ、アシストのいずれも高い水準を持ち合わせるオールラウンドフォワードのスロウターやユーロリーグ常連チームを渡り歩くヒリアード、同じくユーロリーグで長くプレイしたシューターのティンマ、NBAに8シーズン在籍し平均18点記録したシーズンもあり実績では大会随一のソーントン、韓国でスーパースコアラーとして内外で大暴れしたスペルマンと錚々たるメンバーを揃えている。
加えて、末席には広島のメイヨも名を連ねており、タレントではキャットギャングに次ぐ充実振りと個人的に思う。
そんなドライブの注目選手を1人だけ選ぶのは難しいが、シュートとドライブが得意なスコアリングタイプのスイングマンであるヒリアードを挙げたい。
全体でも優勝候補の一角と見ている。
ゼイビア
ゼイビア地区は大会参加経験のあるチームのほとんどが勝ち越しチームで平均が高い地区と言える。
Florida TNTには178センチのスーパースコアラーであるウォーレンやCBAで何年もプレイしておりシュートの得意なボイントンがバックコートをに並び、フロントコートにはポストアップや合わせで得点出来るジェームズなど有力選手が揃っている。
Zip Em Upにはオンボール、オフボール問わず得点出来るスイングマンのマキュラ、ゲームメイクの得意なクリスチャン、スコアリングガードのライオンズ、Gリーグで活躍したゲイツに秋田に加入したカンターがいて戦力は充分。
だが、個人的にゼイビア地区で勝ち抜けと予想するのは↓
Sideline Cancer
キャンサーも大会初期からの常連チームで準優勝経験のある強豪チーム。
今大会はNBAで16シーズンプレイしたスイングマンのマイルズやスコアリングガードのキーンに中でも外でも得点出来るビッグマンのドームとベテランウイングのクロッカー、東京でもプレイしたギャレットや京都に加入予定だったアーティスなどが所属。
中でも注目は180センチながら圧倒的な得点力を誇るPGのキーン。
ビッグマンがいてもお構いなしに切り込んでこん行くドライブからのフィニッシュやOTDからのシュートなどスキルフルなプレイは必見。
ここまで各地区の注目チームや注目選手と勝ち抜け予想チームを挙げて来たが、全体での優勝予想もしてみると…
本命 Team Challenge ALS
対抗 Eberlein Drive
大穴 Gutter Cat Gang
と予想。
このように3つ選ぶならほとんどの人はALSを大穴にするか、もしくはALSではなくイーグルスやアーミーやキャンサーを入れるだろう。
ALSは他の有力チームのようにスーパープレイヤーはいないが、中の上クラスのトップ層が集まっていてバランスが良さそうなのと下剋上を期待したいので本命にしてみた。
タレントが圧倒的なキャットギャングはハインズがTBTと相性が悪いのか過去に今回以上のメンバーを揃えても優勝出来なかったことが不安要素と思ったので大穴ということで。
長々書いてきたが、やはり賞金が以前の半分になったことで有力選手の参加が大幅に減ってしまったのが残念でならない。
以前は1チームに1人は有力選手がいたような状況だったが一変してしまった。
数年以内に大会自体もなくなってしまうんではないかという不安もあるが、それでも好きな選手や見たい選手やチームはまだまだあるので今大会もオフの楽しみにしたい。