国内シーズン総評第8弾は個人的に新興チーム以外で注目していた名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。


シーズン前総評はこちら『Bリーグ21-22シーズン開幕前総評 名古屋』Bリーグ開幕前シリーズ第10弾は群馬に続いて個人的注目チームの名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。昨シーズンの名古屋はオールラウンドフォワードのライオンズ、シュー…リンクameblo.jp


​チーム評と個人評


今季名古屋はHCや外国人選手全入れ替えなど思い切った改革を断行。


その甲斐あってか試合数が昨季より7試合も少なくなったにも関わらず今季は勝ち星で2つ積み上げ、負け星は9個も減らした。


最後は外国人選手とアジア枠選手の全てが怪我で欠場を余儀なくされ、日本人選手のみでプレイオフを戦う厳しい状況もありストレート負けに終わったが、全員揃っていれば優勝も狙えたチームだったと個人的に思う。


外国人選手は昨季オンボールにやや傾倒する編成だったが、今季はオンボールタイプはクラークのみでオフボールタイプ寄りの編成となり、齋藤がいることをしっかり考えた編成に。


外国人選手はエサトンがカットやダイブ中心に2P約68%の非常に高い確率で効率良く得点し、アシストとORでも平均3本以上と実質ビッグマン1人というようなシーズンの中で大黒柱として献身的なプレイで大きく貢献。


速いわけではないが、トランジションでの走力も素晴らしく、先頭やトレイラーでフィニッシュに繋げるシーンが多かった。


本来の領分でない3Pが離されてるとは言えちょっと多く打ちすぎなのと、FTをもっと多く貰える選手だと思うので試投数が予想より伸びなかったのは惜しかった。


クラークはややセルフィッシュでセレクションに疑問符が付くような部分があるが、そのような難しいシュートやプレイの多くを成功させてしまうので多少そういう部分があっても結果的にプラスにしてしまう。


シュート力が高くOTDでもC&Sでも高い確率で決められ、ドライブからコンタクトを受けての難しいジャンプシュートも高確率で決めてくる上にプレイメイカーとしての才能も持ち合わせており、ハイローやディッシュ、キックアウトで味方も活かせる。


セルフィッシュな選手はディフェンスをサボる傾向があったりするが、クラークはサボるどころか激しい強度でスティールを量産、むしろ行き過ぎるくらいでありファウルが嵩んでしまうのはチームとして嬉しい悲鳴かもしれない。


ウィティングトンは度重なる怪我により試合自体もほとんど出られなかったが、それ以上に本調子でプレイ出来なかったことで実力を全く発揮出来なかったのが不運だった。


ウィティングトンの枠に入った他の外国人選手も試合数が少なく、まともにプレイ出来たとは言い難い。


正規の3人で万全な名古屋を1シーズン見られなかったのは残念だった。


アジア枠選手のパークスはシュート、ドライブともに上手くガードの選手としてはかなり高いFG47.3%で平均得点も10点以上で正規メンバーでは±チーム断トツでトップを記録。


身体能力とフィジカルに優れているのでリバウンドとディフェンスも素晴らしく、個人的にはアジア枠選手No.1でエサトンやクラークともども日本に留まって欲しい選手。


日本人主力選手では齋藤が日本人トップクラスのゲームメイク力でエサトンのカットやダイブ中心に抜群のパスを供給。


自らも高確率のシュートやフローター、外国人選手がいてもレイアップに持っていけるフィニッシュ力で得点面でも大きく貢献。


オフボールタイプの選手が増えたこともありアシストは微増してTOは1本台まで減らすなど日本人トップの±で名古屋にとって無くてはならない選手に。


張本は高いシュート確率やミスマッチを利用してのドライブやポストプレイなど3番で出ても4番で出てもマッチアップに合わせた攻め方で対応。


ディフェンスでも体を張って外国人選手とやり合っており、国内の日本人フォワードでは現行ルールだと価値が最も高い選手だろう。


狩野は3P5割を超える脅威の確率でフリーで打てばほぼ入り、クローズアウトされた時のワンドリで外してのシュートも芸術的。


短い時間や少ないチャンスを確実に決めてくれる効率的なプレイは名古屋に合っている。


狩野と同じく高い確率でのシュートが求められていたであろう新加入の須田は3P%が15%もダウンする低迷振りで、アテンプトは増えたが得点も確率もかなり下げてしまった。


3&Dのスペシャリストである須田がこれほどシュートが入らなかったのは名古屋としては想定外であり、個人的にはドリブルが多いのも気になった。


その他日本人選手ではFG%の高い中東や齋藤とはタイプの違うプレイメーカーの伊藤など日本人選手の質が総じて高く、数字も申し分ない選手がほとんどだった。


​チームスタッツ比較


まず平均得点は昨季平均81.4点でリーグ9位と昨季はメンバーの割に中位で物足りなかったが、HCの交代や強力なスコアラーが2人入ったこと、ペースが上がったことなどもあり今季は平均87.3点で3位まで数字と順位が大きく上昇。


平均失点は昨季平均78.7点でリーグ8位、今季は平均79.6点で10位とペースが上がった事で相手の攻撃回数も増えたのか失点自体は増えてしまった。


得失点では昨季プラス2.7でやはりメンバーの割に貯金が少なかったが、今季はプラス7.7まで貯金が大幅に増えた。


3Pは昨季平均24.6本でリーグ同率4位のアテンプトから37.7%で確率3位と多く打って確率良く決めていたが、今季は平均26.7本でリーグ同率4位のアテンプトから36.7%で確率4位と確率は下がってしまったが、それでもリーグ上位の確率であり、アテンプトが増えたので成功数も増えた。


ペイント内では昨季リーグワースト2のアテンプトから60.9%でリーグ2位の確率だったが、今季はリーグ同率5位までアテンプトが平均6本以上増えて58.9%で確率は7位に後退。


昨季は1番簡単に取れるペイント内での試投が少ない代わりに高確率という面白い分布だったが、今季は試投が増えたのに伴って確率も減少というところか。


FGでは昨季リーグワースト2のアテンプトから47.9%で確率4位と機会は少ないが高確率だったのに対して今季はリーグ1位のアテンプトから48.1%で確率4位まで%が上昇。


アテンプトを平均8本近く大幅に増やしながら確率も上げたのは見事。


FTでは昨季平均17.9本でリーグ同率8位のアテンプトから77.8%で確率1位、今季は平均15.6本でリーグ18位のアテンプトから75.1%で確率8位と試投数も確率も下がってしまう結果に。


ORでは昨季平均7.9本でリーグワーストの本数、今季は平均11.8本で7位と本数と順位が爆上げ。


しかし、昨季は戦術でORを捨てていた部分もあるので純粋に増加と受け取れるものではないだろう。


トータルリバウンドでは昨季平均36.1本でリーグ10位、今季は平均36.1本で7位と本数は同じながら順位は上昇。


アシストは昨季平均21.3本でリーグ4位、今季は平均23.5本で2位と元々リーグ上位だったところかオフボールタイプの選手の加入もあり更に本数と順位を伸ばした。


TOは昨季平均12.5個でリーグワースト7位の多さだったが、今季は平均11.6個でリーグ7位の少なさまで個数も順位も良化。


ファウル数は昨季平均15.5個でリーグ1位の少なさだったが、今季は平均18.2個でリーグ10番目の多さまで増えた。


アジア枠含めて外国人選手が昨季のメンバーよりディフェンスで詰めるのでその部分の影響もあると見ている。


オフェンシブレーティングは昨季106.3でリーグ8位、今季は110でリーグ4位と数値と順位で大きく上昇。


3人目の外国人選手がコロコロ変わって安定しなかったのにこれほど上がるのは凄いとしか言いようがない。


ディフェンシブレーティングは昨季102.7でリーグ8位、今季は100.2でリーグ8位と順位は変わらなかったが、チーム数が増えたことと数字自体は良くなってるのでプラスに考えて問題ないだろう。


ここまで見て、失点数をもう少し減らしたいのとFT本数が少ないのが優先的な改善点かもしれない。


​編成


名古屋は現時点で坂本、張本、中東、齋藤、伊藤、須田が継続で小林が退団、菊池が交渉継続となっており今のところ予想外の動きはない。


未定の選手ではパークス、クラーク、エサトン、狩野は残したいだろう。


クラークとエサトンは怪我をしているが重傷には見えなかったので仮に開幕に間に合わないとしてもキープすると見ている。


ベテランの中務は実力的にはベンチにいると助かるが、中務が残って菊池も残ると日本人選手で入れ替えがなくなってしまうので中務は退団すると予想。


ウィティングトンは2シーズンで怪我が多かったこと、ソコは欠員補充の意味合いでの獲得だったと思うので2人も退団と見ている。


日本に来る前から好きな選手だったクラークとエサトンを今季獲得してきた名古屋なので、外国人選手の入れ替えがあるなら来季どんな選手を連れてくるか期待大。