「海外旅行に一緒に行かない?」
先日、お店でお客様から内密に旅行に誘われた。


彼はお金持ちのおじさま…バツイチだ。

デートにも誘われたが、一度もプライベートでは会った事はない。


彼の知り合いの社長連中と、一緒に旅行に行かないかという話だ。
毎年のイベントで、社長達は愛人を連れて来るのが恒例だとか。

そして今回、何故か私が彼の目に止まってしまったらしい。


「アヤみたいなイイ女を連れて歩けるなんて俺も鼻が高いよ。

今年は俺がナンバーワンだな。みんなに自慢できるよ」
と、彼は言った。


カッチーンときた。

バカじゃないのこの男。
彼は私の事を、ただ微笑んでいる人形位にしか思ってないのだ。


私は人形でも無いし、彼のステータスを上げる為の道具でも無い。


“顔で笑って心で泣く”
誰かが言った言葉が頭をよぎる。


かなりムカつきながら
「昼の仕事の都合で長期のお休みは取れないの。ごめんなさい」
と、笑顔で丁寧にお断りした。


皆、何かを勘違いしている。


体とか見た目だけで近付いて来る人は多い。
中には私の内面性を理解してくれる人もいるが。

私は“微笑んでいるだけの人形”ではない。


少し悲しい気持ちになりながら、ロックグラスにアイスを足した。