猪猟 後日談

翌日、体に心地よい疲労感があった

その翌日、左腕が上がらない


二人で天秤棒で担いだ折

足場の悪さと怠慢で

しっかり肩に担がず腕で胸の高さに

特に前側だったので

利き腕でない左腕に荷重がかかり

朝起きたらシャツのボタンが

下半分の位置しか上がらない


夕べから違和感はあったのだが

いつもの筋肉痛くらいに考えていた

ロキソニン飲んでシップ張るが

後の祭り


相棒がしっかり肩を入れて担げと

声掛けてくれたのに

基本をおろそかにした罰である


猪解体は血抜きが大事

(まだまだ素人ですが…)

心臓を守るあばら骨の下から

つまり脇から心臓めがけ


結局、心臓には達しておらず

動脈を切ったよう

二度目に差した時は肋骨に当たり

三度目でやっと白目を剥いた

素早く解釈した方が猪にとっても

猪肉にとっても、よい


内蔵を痛めないように割腹

バラけると肉の味を大きく損なう

特に、大腸と膀胱

あばら骨と腰骨をノコギリで切断し

内蔵を取り出す レバー回収


上顎をロープで縛り海水へ浸ける

洗浄と真冬の冷たさで身を絞める


内蔵だけで20kgあまり、か

結構ずっしり


殺生をする

命を奪うとは何と残酷で

何と崇高なことなのだろうか

思わず、手を合わせている

鎮魂碑が立つわけだ


畜産農家が最も愛情深い

と、聞いたことがある

誰も「死」など見たくもない


あなたの命を我が命に頂きます

 続く