ランチを終えた私たちは、そのまま彼のBOSSに会いに向かった。
このときも私の滞在に合わせて彼が休みを取ってくれたんだけど、今回は容易ではなかったようでBOSSから良い返事をもらうのに、少々手こずったようだった。
今、彼の職場にいるドライバーは・・・
なんと、
彼1人
だから、彼が休むイコール仕事がまわらないってことになる
「他にもう一人ドライバーがいたんだけど、転職しちゃってさぁBOSSはドライバーとして動くことはないから、実際運転できるのは僕だけなんだよね~」
唯一の働き手である彼だけど、彼自身もスピードの出し過ぎでなどで点数を引かれ、結構ヤバいようだった。
「あともう一回捕まったら、運転できなくなっちゃうカモ・・・」
働けなくなったらおしまいだぁ~~~
なんて言いいつつも、前の車がちょっとでもゆっくり走ってようものなら容赦なく
「おっせ~~~な寝ながら運転してんのかよ~~~ ファ××ーロ」
と、汚い言葉を浴びせながらガンガン追い越していく。
完璧、スピード違反ですけど
そんな危機的状況にある彼の会社だけど
なんとか営業を続けるために救いの手を差し伸べてくれた人物がいた。
それが
私の宿敵”トリフォリーノ”
彼の休暇中、トリフォリーノが彼の代わりにドライバーとして働いてくれているんだそう。
以前、ブログにも書いたけれど、トリフォリーノは(たぶん)私のことがキライなんです(笑)
・・・私は仲良くしたいんだけど・・・なんか、会うといっつもそっけないんだよな
そんな彼が、大嫌いな私のために助けを買って出てくれたなんて、なんてありがたいんだ
トリフォリーノ・・・ありがとうよ
しかし・・・
やっぱりトリフォリーノは、今回もそっけなかった・・・
お礼を言いに行ったのに、ちょっと挨拶しただけで、ずっと彼としゃっべてる
少しでも仲良くなろうと思って
「彼のお腹、しばらく見ない間にこんなに大きくなっちゃって!!きっとトリフォリーノの赤ちゃんがいるんだろうね~って彼とはなしてたの」
って話しかけてみても、「ふっ」って笑っただけでたいして反応もしてくれない
最初はBOSSも交えて4人でおしゃべりしていたのに、いつの間にか
彼とトリフォリーノ、
私とBOSS
で分かれてしまっていた。
「トリフォリーノは・・・私のことキライみたいよね?なんか、冷たいの」
そうBOSSに言うと
「あぁ・・・きっと寂しいんだよ。キミがいる間は2人に気をつかって電話もかけられないから。」
気にすることはないよと慰めてくれた。
確かに、トリフォリーノの気持ちもわからなくはない。
イタリア人って友情も、なんだか濃厚そうだし
今は無理でも、いつかきっと仲良くなれるよね
ちょっと冷たいけど、イヤな人ではないし
そう前向きに考えていたのに・・・
数日後のクリスマスの朝
「ダーリン、今BOSSから電話がかかってきてさぁ、トリフォリーノが今日は僕と遊ぶんだって言ってるらしいんだ」
え?
だって、今日はクリスマスだし、彼と会う時間なんてないんじゃ・・・
そう、戸惑っていると
「トリフォリーノが、『るうこは今日、日本に帰るって僕が言ってた』って言ってるんだってなんか、勘違いしてるみたいでさ・・・BOSSが『るうこは26日に帰るんで、今日帰るんじゃない勘違いだよ。』って言っても『絶対今日だ』って言い張って聞かないらしいんだ。」
今日から私がいないんだと思い込んでいるトリフォリーノは、それはそれは嬉しそうに彼と過ごすためのプランをたてているそうだ。
邪魔者である私がいなくなって、さぞかしうれしいんだろう・・・。
・・・あいつ・・・・・・
なんか・・・感じ悪いんですけど
トリフォリーノはいつでも彼に会えるけど、私は滅多に会えないし一緒にいられないのよ
1週間くらい・・・譲ってくれたっていいじゃん
しかも、私の滞在中だって2、3回一緒に過ごしてたし
ちょっとは温かい目で見てくれたって
い~んじゃないの
さっきまで仲良くしようなんて思ってたけど・・・
もう、やめたっっっ
トリフォリーノに電話をして事実を伝えようとする彼に向って
『トリフォリーノに、まだ帰国しなくってゴメンネぇ~って伝えて』
と、ジェスチャーをまじえて嫌みたっぷりな伝言を依頼した。
電話口から、トリフォリーノのがっかりした声が聞こえてくると、思わず心の中でガッツポーズをしてしまった
こうして、私とトリフォリーノの長い戦いの火蓋が切って落とされたのだった・・・。