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視察報告


8月9日~10日 総務文教委員会で行った視察の報告を以下の通りにいたします。

8月9日 視             岩手県 遠野市

研修テーマ(調査項目)      【危機管理施策について】

①取組の経緯・内容

 岩手県遠野市は人口2万8千人強の沿岸部と内陸部の中間に位置する盆地の町で、古くから沿岸部と内陸部を結ぶ交通と交流の要衝として栄えたまちです。古来より沿岸部での津波被害の際には後方支援場所として重要な役割を果たしており、特に近年宮城沖地震が30年以内に99%発生する確率があるといわれていることから、平成19年9月2日に、陸上自衛隊東北方面隊の協力を仰ぎ、県内87機関、8,746人の参加を得て、岩手県総合防災訓練が行われ、その訓練による検証結果をもとに、同年11月19日に三陸地域地震災害後方支援施設整備推進協議会を設立し、実践的で実動力のある構想を提案書として作成。国や県関係機関80か所に提案活動を行ったとのことでした。平成201031日~111日には、陸上自衛隊東北方面隊震災対処訓練「みちのくALERT2008」の後方支援拠点として訓練に参加し、以後、後方支援拠点構想の実践的な計画としての確立に努めていました。平成23311日東日本大震災が発生し、遠野市でも震度5強の揺れを観測し、市役所本庁舎中央館が全壊、市内全域の停電、道路・水道などに甚大な被害があり、市内に50か所避難所を設置し、約2千人の避難者を受け入れとともに、遠野運動公園を開放し、救援部隊の受け入れ準備を開始。市庁舎前にテントを張り災害本部も設営したとのことでした。その後、大槌町から助けを求める情報が入り、翌日には職員2人に毛布・非常食等をもたせて派遣したのが後方支援活動の始まりだったとのこと。大震災発生時から官民一体となって炊き出しを行い、市内避難所とともに近隣市町へも炊き出しの提供を行い、稲荷下屋内運動場に物資センターを設置し、被災者の要望に合わせた無料スーパー的な仕組みを作って物資を搬出。その後、全国から集まった災害ボランテイアの拠点として活動されたとのことでした。こうした活動を経て、平成2641日には市民・地域・行政が適切な役割分担をしながら、「自助」「共助」「公助」を基本理念とした、防災と減災のまちづくりを目指して「遠野市防災基本条例」を制定したとの説明がありました。

 

②今後の課題

・大震災発生後の災害救助法の想定外といわれたが、三陸沿岸では、120年間に4回も被害にあっている実績があったはずで、県は市からの要請を待っていた様子がある。大規模災害時には、そんなことをいってられないので、国・県が即時主体として動く体制づくりが課題。

・災害発生時3日間は自助が中心で、国県が動き始めるのは1週間後であることを日頃から市全体として認識する必要がある。

 

③本市に反映できると思われる点

・年に1回、各地区をターゲットに市の部課長が入って行って評価をするシステム。

(自主防災組織の活性化を図り、共助の力を高める)

・市民の自助意識の向上のための広報活動

・平時における友好の縁を広げるプロジェクトづくり。

(水平連携によって成り立つ後方支援)

 

④その他(感想、意見)

 東海・南海・東南海三連動地震の発生危険度が高まっている静岡県において、沿岸部の焼津市・吉田町を抱える志太榛原地域の後方支援場所は藤枝になります。自身の防災対策を念頭に置きながらも、今後広域における防災減災対策を近隣市としっかりと協議していかなければなりません。併せて、友好都市だけでない縁の広がりを進めるプロジェクトの必要性も痛感しました。

また、防災に関しては、災害本部条例という市役所主体の条例よりも、官民一体となった基本条例の方が市民協働の点からも有効と考えます。

 

8月10日 視           埼玉県 戸田市

研修テーマ(調査項目)      【『戸田市シティセールス戦略』の取り組みについて】

①取組の経緯・内容

 埼玉県戸田市は人口135千人を超え、昭和60年のJR埼京線開通後、30年間で6万人もの人口増を実現したまちです。新宿まで電車で約20分という東京のベットタウンとして発展されてきました。しかし、もともと全国での認知度も低く都市イメージが薄いという課題を抱え、目指す都市イメージの構築や情報発信力の強化、資源や強みの活用と創出に努めてきたとのことでした。まず平成20年にその政策形成力の向上と実践力の促進を目指し、自治体内にシンクタンクとして市長直轄の戸田市政策研究所を設置し、政策担当職員を配置し、広報広聴担当職員、庁内プロジェクトメンバー及びワーキングメンバーとともに政策研究を行い、成果の書籍化も実施しているとのことでした。戸田市シティセールス戦略も「戸田市におけるシティセールスの必要性と成功する要件として」というテーマで同研究所で研究され、戸田市まちづくり戦略会議とも協議しながら、目白大学との共同研究「戸田市人口移動実態調査」を踏まえ、、ターゲット地域の絞り込み(板橋区・北区・さいたま市・川口市・蕨市等を対象に転入予備軍や市民、若者世代へのアプローチ)も行い、平成23年に情報発信力強化プロジェクト、フィルムコミッション設立プロジェクト、市のキャラクター選定・活用プロジェクト、不動産業界との協定による都市イメージ強化プロジェクトを重点プロジェクトとする平成23年から25年の5年間の戦略として策定されました。その後、平成24年~25年に法政大学との共同研究で同戦略のブラッシュアップ(再勉強と磨き上げ)を行い、戸田市戦略市民会議による提言を経て戸田市まちづくり戦略会議で改定作業を行い本年4月に戸田市シティセールス戦略改訂版を策定したとのことでした。

 

②今後の課題(改訂版での重点事業になっている)

・市民へのインナープロモーションのさらなる強化。

・ターゲットへのより効果的な情報発信の模索、実施。

(都市イメージの更なる向上・子育て支援やフィルムコミッションの推進等)

 

③本市に反映できると思われる点

・シティセールス動画等を利用したインターネットメディアの更なる活用

・ICT教育や英語教育などの教育環境の更なる充実

・市の情報提供としてのスマートフォンアプリのさらなる充実

 

④その他(感想、意見)

 藤枝市もシティプロモーションを進めているところですが、まだまだおとなしい印象があります。地域ターゲットを決めて近隣他市へのプロモーションを行うのは藤枝市として無理があるとは思いますが、不動産業界を巻き込んだ戸田市の戦略には、見習うべき点が多くあると思います。

スマートフォンアプリの構築と促進も同様です。近隣との連携協調もさることながら、実際には都市間競争が起きている現状の中で、現在あるプロジェクトの更なる向上を望みます。

以上です。

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