追伸~健康福祉委員会視察報告 | 天野正孝オフィシャルブログ「頑張ろう!日本!!」Powered by Ameba

追伸~健康福祉委員会視察報告


7月28日~29日にかけて行った健康福祉委員会の視察報告を遅ればせながら報告させていただきます。

兵庫県赤穂市民病院
○調査内容(現地の状況、本市との比較) 赤穂市民病院は、平成24年度実積で、許可病床数416床(平成264124床減床し、現在は396床)、外来は、1日平均患者数831.2人、1人平均診療単価12,524円、入院は、1日平均285人(病床利用率68.5%)、1人平均診療単価50,963円で、平成25年度実績での藤枝市立総合病院の病床数506床、1日平均入院患者数442.6人(病床利用率85.7%)には劣るものの、1人平均外来1日平均地域医療拠点病院として、開放病棟10床を設置し、医師会との連携強化に努めるとともに、退院調整看護師1名・MSW3名を地域医療室に配置し、退院後の転院・施設入所に積極的に対応されている。医師会との連携の中では、年3回ほどオープンカンファレンスを実施し、地域がん連携拠点病院としては、セカンドオピニオンの受け入れやかかりつけ医対象の研修会の実施(平成25年度31回実施、1,465人延受講)等、病院と診療所が共同で診療するシステムを構築している。また、新人看護師に対しては、臨床現場への適応を促進するため、実地フォロー研修と自主的に研修できる「寺子屋」を運営し、新人看護師のリアリテイショックを緩和し、同期や先輩教育担当看護師との情報共有化により、看護師の定着化を積極的に推し進めている。
  本市に反映できると思われる点、また、参考になった点は。

・医師会がかかわれるオープン病床の創設

・医師会との共同カンファレンスの実施

・退院時の患者の混乱を防ぐためMSWの充実

・新人看護師教育のための自由に利用できる「寺子屋」制度の創設

〇その
他(感想、意見)
地域連携拠点病院として位置づけられる藤枝市立総合病院は今、経営改善に向けた改善計画の中、急性期疾患を対象とした医療だけでなく、最後まで患者が地域で安心して暮らせるよう医師会と連携した活動できる存在に生まれ変わる時期に来ている。救急医療の充実とともに、病院勤務医も開業医もよすがとなる医療拠点として、これからの地域の医療・健康を守る進化が必要ではないだろうか。看護師教育についても、離職した若い看護師の職場復帰も可能にする「寺子屋」的な組織も欠かすことができないのではないかと痛感しました。

広島県尾道市立市民病院
〇調査内容(現地の状況、本市との比較)

尾道市立病院は、平成24年度実績で、許可病床数330床と藤枝市立総合病院の病床506床よりやや少ないが、合併により市内2病院1診療所の中心の地域医療支援病院として、診療科を超越したがん治療促進のための集学的がん治療センターを設置するとともに、地域医療連携室を中心に、病診・病病連携の強化・促進に努めている。その活動の中で、総務省の健康活用基盤構築実証実験に参加し、ICTネットワークで開業医とカルテの一部の情報を共有できる「尾道地区システム連携」事業を開始した。更に、退院前に、退院支援のための切れ目のない医療・看護・福祉サービス提供ができるように、病院の地域医療連携室と在宅支援看護師が市内のケアマネジャーや訪問看護師と連携し訪問看護ステーション会議開催の支援や病棟ナースが作成する退院支援計画書をもとに患者や家族と面談し、方向性を確認する中で、在宅支援への計画・調整を行い、場合によっては、他病院への転院調整も行っている。(地域連携と他職種協働のための退院前ケアカンファレンスを行っている。いわゆる「尾道方式」と呼ばれる。)がん診療統括部は、平成22年6月1日から、がん治療を行う各部・各科を横断的に統括し、毎月一回がん診療運営会議を開催し、情報の共有化を図るために作られた組織で、この考え方を下に、平成23年4月より、がんに対する化学療法・放射線治療・終末医療を受けている患者を同じ病棟で診療する「集学的がん治療センター」を発足させ、より充実した医療提供を行うシステムを構築した。
 本市に反映できると思われる点、また、参考になった点は。

・病診・病病連携のさらなる強化
・地域医療に携わる医師看護師の協働システムの構築
・退院前の退院支援計画の医療・看護・福祉間の共有化
・がん診療に関する院内情報の集約と共有化のためのカンファレンスの促進

・緩和ケアなど終末医療までも含めた医療の充実 

・認定看護師による外来の開催による医師の業務負担の軽減と高度医療への推進
 その他(感想、意見)

地域拠点病院として患者中心の医療を考えた場合、入院してから退院するまでの医療計画だけでなく、退院後の患者の生活を考えた、医療と福祉の連携の促進の必要性を痛感しました。特に、がん患者に対しては、積極的治療である手術や放射線・化学療法だけでなく、緩和ケアなど終末期の心安らかな治療生活を送れるようなシステムも需要です。ともすれば、急性期医療に限定しがちな公立病院こそが、本来は、地域の医療と福祉を強固に繋げる拠点であることを忘れてはならないと考えます。