一体総勢何名の施設なのか知りませんが、22名もの職員が利用者の虐待に関わっていたとの報道には驚きました。どうすりゃそういう酷い結果になるのやら、想像力に乏しい私には、全く理解が出来ませんでした。

だって、どういう施設であるにしろ、一応は行政の許可も得ていて定期的な巡視も指導も一通り行われているはずですし、内部研鑽もあって、おかしいところは自浄作用も働く仕組みになっていなければいけませんのに・・・。

それに、何より、職員一人一人がまるっきりの素人でもないわけでしょう?たいした能力問われるものではないにしても、きちんとした介護士の国家資格を持ってる人達も多いわけでしょう?

利用者さんを拘束すればそれはそのまま虐待となってしまうんだと、わかってやってるわけでしょう?

拘束は禁止・・・これが鉄則です。何故なら誰人も自分の意思で自分の道を行く自由を奪われるべきではない(公共の利益に著しく反しない限りにおいて)からです。

拘束が許される場合は

1.その人の生命等に多大な危険が及ぶ恐れがあって(危急性がある)

2.それしかその人を救う方法が無いと認められる場合で(代替策が無い)

3.しかも、明らかに一過性の処置であって(非常用性)本人、家族、もしくは掛かりつけの医師が必要と認める場合・・・となっています。

確かに認知症等の病気が進行している利用者様方の中には、足腰弱いのに動きたがる、無いものに驚いて大騒ぎする、用もないのに人を呼び続ける。。。などの常軌を逸した行為が見られる人も多くおられます。その人達を椅子に縛り付けて身動きできなくして安全を確保したと、その施設では多くの職員が考えたのでしょうが、拘束は人の心を破壊するのだという、最も恐ろしい結末について、言及する者が無かったのでしょうか?転倒させて、そのご家族から「うちの父さん(母さん)に怪我をさせた」とクレームされるのを恐れ過ぎたのでしょうか?

今日、社会では至る所でノーマライゼーションが謳われています。だったら施設にだってノーマライゼーションを持ち込むべきではないでしょうか?だって、我々、健常者だって、一日何回色んな所に引っかかって躓いて、痛い目に合って、ある時は本当にひっくり返ったりしているじゃありませんか?転んで何が悪い?これがノーマライゼーションでしょう。

転びがちな人には付き添ってあげる。最悪転んでもショックを小さくするようなマットを設ける。よろける人にはもたれる場所を用意してあげる。そういう努力を惜しんではならないと、そういう努力こそが介護の本質なんじゃないのかという話だと思いますね。(以前観たベトナム戦争を描いた映画で、べトコンに捕らえられた兵士が水を張った穴に落とされ、竹で編んだ蓋で閉じこめられ、気がふれていく・・・そういう場面があったのを思い出しました。)