星星星

 

・先日、高名な先生に「さいとほ君はどんな本を読むのかね」と聞かれ、「あ、最近は池井戸潤ですね。読んで元気出してマス」と咄嗟に答えたら、「民王もいいよね~」と言われ、生返事で返してしまった。早速、図書館から借りて読了。ドラマのネームバリューはすごいですね。

 

・何だろう、ボクとしては池井戸サンに求めているものがコレじゃない感が強いお話だった。悪い支店長とか取締役が出てくる話ばかり読んだせいかな、勧善懲悪の話でスカッとするわけではないのが残念な感じでした。着想はアリだと思うのですが、他の作家サンが書いたらもっと面白かったかもね。

 

・私の仕事もだいぶ長いのですが、気が付くと「将来政治家になりたい」とか「総理大臣になりたい」という子どもに一度も出合ったことがないのですがどうしてでしょう。「甘い汁はどうやって吸えばいいんだろう」とかそういう動機でもいいから(よくない)、ユーチューバーより選挙を志していただきたいものですなチビっ子達。

 

 

民王 民王
1,620円
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星星星星星

 

・このムーヴメント、果たしてどれだけの方に周知されていたのかが分からないので、ネタバレを避けて進めますね。この「文庫X」、中身が分かりません。ある本屋サンで厳重にパッケージされて売っています。立ち読みはできません。包装の紙に、書店員のお薦めのメッセージが書いてあるだけの本です。

 

・これが大層ウケたらしいのですな。売り方のアイデアの奇抜さとか、物珍しさとかもあったと思いますが、そもそも書店員サンの渾身のお薦め文が腑に落ちるというか、秘密にしている本の中身が裏切らないという根本的な良さが口コミとして広まったのが大きかったのではないか。ボクも距離を置いていましたが、ようやく読みました。

 

・で、3ヶ月前ぐらいかな、華々しく「中身発表」のイベントが行われ、ネタバレが解禁されました。発信源は岩手・盛岡、さわや書店です。皆さん、盛岡にお出かけの際は、駅の本屋に出かけてみて下さい。書店員サンが当たり前に読書をしていて、真実本を売りたいという気持ちが伝わってくる清々しい本屋さんがあります。ボクもお気に入りの場所です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・残念ですがこれは映画のレビューではありません。原作を読みました。ボクは「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の頃から、岩井俊二監督と聞けば無条件に受け入れる嗜好の人間ですので、待ちに待っていた新作です。しかし・・近所で上映してない・・(悲)。

・なので、原作を読みながら自分を慰めていたというワケです。う~んもう「リップヴァンウィンクル」という語感からして、岩井作品のオサレ感とか映像美を想像してしまう。一人の女性と、それを取り巻く人々の、ある顛末を語る物語。SNSが重要なツールになっていますが、非現実そうで「やっぱりあるかもな」と思わせる舞台を仕立てています。

・主人公が育った町がボクが今住む町の隣だったり、ガンダムのオマージュを思わせる登場人物の命名があったり、うれしい仕掛けもあるのですが、これはやっぱり黒木華サンが主人公を演じるというだけで大枚を叩く価値があるだろう。困惑しっぱなしの主人公・皆川七海、やっぱり映像で見なくちゃいけないな。岩井監督の故郷まで行ってこようかな。

 

 

リップヴァンウィンクルの花嫁/岩井 俊二
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<ある日の教室の会話>

「というように、技術革新により、将来無くなってしまう仕事というものはあるんだよね。もしかしたら皆さんの将来の夢も10年後、コンピュータが人間に取って代わるようになっているかもしれませんよ。今、私がしている『教師』という仕事もそう。」

「そうなんですか?」

「教えるということそのものは、まだ人間の方がうまくいくと思うんだけど、例えばテストはタブレット端末で行われてさ、その誤答をもとに一人一人の宿題がカスタマイズされる・・というのはありそうじゃない?そこはコンピュータがはるかに勝る分野だよ」

それ、『暗殺教室』の殺せんせーだわ・・。

・という会話から、ボクは本作に興味を持ちました。それまで、再三息子に「コミックス欲しい!」とせがまれていた案件は、意外な形で終息したのでした。題名のおぞましさからは想像もできないほど、極めて「教育的」な作品でした。

・映画やアニメのムーヴメントもそれなりに盛り上がり、しかも連載は終了したらしいということですが、ま、ボクは少しゆっくり読みながら付き合っていくことにします。さて、明日から新年度。ボクは転勤して新しい学校に着任します。緊張するなあ・・。


暗殺教室 1 (ジャンプコミックス)/松井 優征
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・前回3.11の記事を上げた後、どうも体がだるく熱っぽいと思ったら夜から熱がぐいぐい上がり、翌日インフルエンザと判定されました。実は人生初めてのインフル罹患。この冬は完璧に油断してワクチンも打っていなかった。おかげで果てなき発熱に苦しみましたとさ。

・震災については、もう1本書いておきたいと思っていましたのでちょっと時期は逸しましたがupしますね。

・今、被災地を車で走ると渋滞に巻き込まれます(平日)。どうしてか。復興工事のダンプが引っ切り無しに走っているからなのですね。で、ダンプが何を運んでいるのかというと・・「土」なのです。無論そうでないダンプもあるのですが、今、被災地はあるべき山が切り崩され、その崩された土が別の場所で新たな地平を造っているのです。

・新たな地平は人々の防災や安全を担保し、宅地となったり新たな道路が敷かれたりしています。被災地を走っていると、そのあまりに人工的な風景に少々おぞましさを感じるのも事実なのです。「復興」はそこに住まう人々の意思の最大公約数をおそらく反映しているのだと思いますが、それですら何か最適解ではないような景色を感じたこの頃でした。

・本作は一人一人の方の話が本当に生々しく、読後本当にしみじみと月日は無惨に過ぎていくものだなと思いました。5年が経ち、今僕たちは何を知り、何を考えていけばいいか。それでもやはり何かを知り、何かを考えて被災地の生活に寄り添っていきたいと思うのでした。


復興なんて、してません―3・11から5度目の春。15人の“いま”/第三書館
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・東日本大震災が起きた3.11というタイミングは、学校現場において非常に難しいタイミングでした。卒業を目前に控え、年度替わりも間近。あの時多くの小学校は避難場所となり、先生達は不眠不休で避難対応をしました(ボクの友人も50時間以上起きていた言っていました)。身内を誉めそやすのも何ですが、先生達も汗をかいたのです。

・本作は岩手県の沿岸の町に駐在していた教育委員会の指導主事が、被災から学校をどう立ち直らせるかという問題に立ち向かう一部始終を描いた、いわゆるルポです。「児童生徒の安否は」「被災した校舎は」「学校再開は」「卒業式は」課題は山積みの中、指導主事は立ち上がります。生々しい話ですが、あの時の混乱は確かにそうだったろうと思います。

・実はこの主人公の方は、以前同僚として一緒に勤務させていただいた方で、私が尊敬する教師の中の一人でもある方です。作中に出てくる筆跡も懐かしい。あの方ならきっと誠実に対応し、人々を安堵させることができただろう。その確信とともにページをめくりました。ちなみに主人公は女性です(笑)。

・5年目の3.11。多くの仲間が震災に立ち向かったことに、心より感謝を。

被災の町の学校再開/岩手復興書店
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・以前このブログでも紹介させていただいたと思うのですが、妻の祖母、昭和の大津波とチリ地震津波と5年前の大津波を乗り越えた、100歳を超えても元気だったおばあやん(この地方ではそう呼ぶのです)が、先月、天国に召されました。人は「大往生」と言うものの、近親の死はやはり心に響きます。

・うちの娘と息子にとっては、初めての近親の死。その弔いの一部始終を見せておくのもよい機会かと思い、皆で末期の水を差し上げ、納棺を見届けました。そういうボクも納棺を見たのは初めてでした。優しげな化粧を施され、棺に入れていただきました。本作の作者・笹原氏の納棺の形とはおそらく趣は異なるとは思いますが、極めて厳粛で意味のある仕事の姿を見た、というのが偽らざる心中でした。

・とにかく今は「復興」という名のもとに、ハード面の話だけが取り沙汰されることが多いけれど、あの震災は1万を超える人が命を失い、残された人が1万を超える悲嘆と悔恨を味わった。この本を読んでみると、笹原氏はその悲劇に最も優しげに寄り添った人の中の一人だと言うことだけは、確信をもって言えるのではないかと思うのです。


おもかげ復元師の震災絵日記 (一般書)/ポプラ社
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・あるアメリカ人が愛する彼女にプロポーズをしたら、日本好きの彼女に「私の好きな日本を見てこい、返事はそれから」と言われ、ケータイを持たずに日本にやってきた主人公・ラリーの珍道中。成田空港、新宿、京都、大阪、別府と舞台は「無秩序」に変わり、そこで織りなすハプニングと出会いを堪能するお話です。

・ウォシュレットに感動したり、棺桶のようなシングルルームに戦いたり、大阪の粉物に陶酔したりとまあ、「ここがヘンだよニッポン」的にお話は進むワケなんですが(とにかく笑える)、その背景にラリーは複雑な生い立ちとそこからくるコンプレックスを抱えているのですな。ええと、どういうコンプレックスだったっけ。忘れた

・成田の筆致から期待したら、どんどん尻すぼみになって唐突に収束して終えた。もう少し読みたいなあと思いながら本を閉じました。「天切り松」みたいに連作だったらいいなと(「新宿編」みたいにね)思ったり、意外にTVドラマにしたら面白いかもと思ったりしましたが、ま、浅田氏の小手先の仕事という感じが無くもなかった。

わが心のジェニファー/小学館
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・時々コンビニの漫画本コーナーに置いてあって、立ち読みする。さらに読みたくなって貸本屋に行き一気読みする。忘れた頃にまた、コンビニの漫画本コーナーで見かけ・・・というroutineをこれまで何度くり返したことか。だったら全巻揃えてしまえヤフオクで買ったのが本作(そして妻に怒られる)。でも、ね、「あした天気になあれ」ってよくコンビニで見かけませんか?

・ゴルファー・向太陽が、様々なライバルとの闘いを経てプロとなり、そしてプロの大会でも活躍する・・・後味のいい物語ですな。ゴルフのルールを覚えたのも多分本作だと思う。自分自身がゴルフをすることについては残念ながら全く興味はないのですが、この漫画の痛快さは何にも代え難いものがあります。

・ボクにとっての白眉は、新人殺し・牛島の嫌がらせとの対峙、マッチプレーでの青木プロとの死闘、全英オープン2日目(レス爺さんの予告の話)あたりでしょうか。あ、太田黒とのリベンジマッチもいいですね。去年のセント・アンドリュースは松山クンの活躍を見ながら、向太陽がたどったコースを重ね合わせて見たりもしていました。


あした天気になあれ 全31巻セット (ホーム社漫画文庫)/作者不明
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ブロガーさんおすすめ
読んでみました。アガサ・クリスティーの作品は、というか古典的な推理物は全くボクの守備範囲ではなくて、本作も名前だけは聞いておりました、というぐらいのもの。去年、オリエント急行も(やっと・初めて)読んで、その秀逸なトリックに驚愕しましたがさて今回はどうだったでしょう?

・いやホントに素晴らしいです!全く無防備に、無邪気に、無警戒に最後まで読んで驚かされた自分をほめてあげたい。「だからクリスティーってすごいんだ!」という、21世紀になってイイ年した大人が吐く台詞ではありませんが、これがボクの偽らざる感想です。ぜひ読んでいただきたい。誰にだ。誰かにだ(笑)。

・また、ミステリーを抜きにして考えても(そもそも方法論とかトリックの是非を論じるほど読んでないので)、90年前の作品であるからか、人々の礼節というのか、ノブレス・オブリージュの名残というのか、そういった時代の匂いを感じさせる文体が心地良い。まあこの通り世知辛い昨今に暮らしているとなおさらそう思うのでした。ハハハ。

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/早川書房
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