雷雷雷雷

・iPhoneのアプリで「今昔散歩」というのがありまして、コレで江戸の古地図が見られます。コレの優れている所は明治の地図と現代の地図と照応できることなのです(しかも無料)。いつかコレの古地図を見ながら江戸の時代小説を読みたいな~と思ってたんですが、やっとそんな動機で手にとった本作です。



・ま、手に取るなら宮部みゆきか山本一力かと思ってたんですが(深川話が読みたいから)、題名からして全く話の内容が類推できない本作を選んだのは全くの勘に他なりません。・・・・・大成功。「欅しぐれ」や「あかね空」と並ぶ傑作の一つに挙げてもヨイのではないでしょうか。



・一力作品を読んでおられる方は重々承知かと思いますが、登場するのはお約束。どっしり構えた頼りんなるボス(目で語る)、ボスと共に男気に生きる手下、怜悧で抜け目の無い敵、お大尽、ざっかけない深川衆、そば屋、卵かけご飯(笑)。江戸っていい街だったんだなとフィクションでも思っちゃう。

いかずち切り/山本 一力
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わんわんわんわんわんわんわんわん

 

・初めての貫井作品。初めてでこの作品を選ぶのが適切なのかどうか情報収集も大してせずに借りた本でした。色んなブロガーさんからのこの作家サンの話は目にしていたので、あえて勘で手に取ってみました。伊坂幸太郎氏を思わせる痛快な小悪党小説。なかなか読ませましたよ。

 

 

 

・高杉クンが詐欺師を志すところ、せせこましく小金を調達するところ、まめまめしく奮闘するところ、いずれも魅力的でした。彼らのチームもシリーズ物になってもおかしくないですね(もしかしてなってます?)。才気煥発眉目秀麗少年はもちっと魅力的に書けたら共感できたかな。

 

 

 

 

・幾分古い作品のようで若干のタイムラグが。女性として年齢的なコンプレックスを持っていたナツコさんでしたが、昨今は「セカンド・バージン」とか言うぐらいでナツコさんのようなヒトがストライクなんですよ~って言ってあげたい。どうやってだ、本に向かってだ。

 

 

 
 
悪党たちは千里を走る/貫井 徳郎
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ラーメンラーメンラーメンラーメン

 

・昭和のノスタルジーに溢れる短編集。「昭和ってホントにこんな不思議さにあふれた時代だったなあ」と読後にしみじみさせますね。netで色んなことが簡単に分かる今だけど、「知らない」ことがイイこともある。この芸風は貴重だな。時々無性に読みたくなるでしょう、これからも。

 

 

 

・ボクはラーメン屋に入ってもチャーハンを食べる人間で、そこにピタリ来るのが「カンカン軒」のお話でした。中華鍋と炎の格闘でパラリと焼き上がった米粒を噛みしめる(山岡士郎みたいな言い草だな)たび、人生の至福を感じます。そんなワケで今日もチャーハン食べてきました。('-^*)/

 

 

 

 

・とまあ、昭和の物や景色や町並みってのもセカイイサンと同じぐらい大事にして欲しい文化財だと思います。この夏お店で突然「スプライト」を見て、感動のあまり妻に大急ぎで教えたら何とウチの妻はスプライトを知らなかった・・(悲)。アリなのかそれは。

 

 

 

 
 
あした咲く蕾/朱川 湊人
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モグラモグラモグラモグラモグラ

・最近何回かあったやりとりで、

「さいとほさん、最近オススメの本ってある?」

「有川浩がイイですよ」

「誰それ」

「『フリーター、家を買う。』のドラマの原作書いた人っすよ」

というのがありました。決まってボクは心の中で(そういうボクも読んでないけれど)と舌を出していたのですが、やっと読みました。読みたくなかったというのではなく、何となく大好きなおかずを最後に残していた気分。



・そんなワケでボクはこのお話、何か知恵と機転で一発逆転みたいなストーリーかなと勝手に想像していたんですが違いましたね。しっかりと地に足のついたお話。家族の変容も就活の行く末も恋愛の萌芽も「うん、そうそう」と納得できました。確かに出来すぎという面は否めませんが、読んだボクがHappyだ。それでイイと思う。



・中でも秀逸なのはお父さんをめぐる話題。ココが深淵を突いていると思いました。何よりバカ息子が親父を理解し、耳を傾け、そして導いていったトコロがこのお話の主題でもあるんかなと思いました。そんなワケでボクが常日頃教訓にしていることは「肉体労働をしている人間の話はちゃんと聞け」です。


フリーター、家を買う。/有川 浩


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足あと足あと足あと足あと

 

・源義経は平泉に入った後、再び藤原秀衡の庇護を受けることになるのですが、秀衡没後に息子の泰衡に攻められて戦死したことになっている・・というのが通説。しかし義経は死んでおらず、北へ逃れたというのが「義経北行」の謂われです。これは心情として信じたいものですね。

 

 

 

・そんなワケで奥州には色んなトコに義経の足跡が伝説として残されているのです。フツーに国道走っていても「義経北行コース」なんて標識が出ています。さて本作でもその伝説をなぞり、様々な場所に義経は出没します。しかし宮古市の鍬ヶ崎・浄土ヶ浜が舞台に出てきたのには驚いた(ローカル話題ですいません)。

 

 

 

 

・ボクは決めました。固く決心しました。タイムマシンが発明されたら鎌倉時代にすっ飛んで頼朝と梶原景時に一発蹴りを入れて来ようと思います。判官贔屓もここに極まれりだ。

 

 

 

 

義経になった男(三)義経北行 (ハルキ文庫 ひ 7-5 時代小説文庫)/平谷美樹

 

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お酒お酒お酒お酒

・果てなく続く斎藤一の回顧。ボクは戊辰の行く末と斗南の苦衷に興味がありましたが、そこは主題ではありませんでした。一方幕末をどう解釈するのかが、この時代を描く小説の宿命だと思うんですが、尊皇攘夷はシロとクロではなくて「何かゴチャゴチャしてた」というのは意外なほど的確な表現である気はしました。



・そんで西南戦争なんですが、これ学生の頃習っても何か腑に落ちませんでしたよね。一体何のための、何を得るための戦だったのか・・。こちらにも浅田史観が反映されております。なかなか面白いが一方で別にどうでもよい(笑)。



・新選組隊士が大正まで生きていたというのは驚嘆のtopicですね。早速wikiってみました。

・・・これはズッコケます。しかしながらまじまじと見ると佐藤浩市(映画で斎藤一を演じた)に見えてくるぜ・・。


一刀斎夢録 下/浅田 次郎
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お酒お酒お酒お酒

・「壬生義士伝」で滂沱の涙を流したボクとしては避けて通れないスピンオフ。新選組隊士・斎藤一(映画では佐藤浩市でしたね)の回顧で物語は歩んでいきます。「輪違屋糸里」とは趣を異にし、正統派のスピンオフです。浅田史観も随所に垣間見られ、乃木大将や才谷梅太郎wwwも登場。



・実は「正統派のスピンオフ」と言った訳は吉村貫一郎が登場するからです(涙)。さすがに話の中心に据えるわけにはいかなかったでしょうが、「壬生義士伝」を読んでいれば何だか嬉しくなっちゃう描写も出てきますので、手に取る方はぜひお楽しみを。



・ボクも幕末にそんなに詳しいワケではないので、「新選組」の基礎基本ってどこにあるのかつい最近まで知りませんでした(子母沢寛なのですよね?)。うっかりすると「幕末純情伝」が基礎基本っていう人もいたりするのかな。遅まきながら色々読んでみたくなりました。幕末物を。


一刀斎夢録 上/浅田 次郎
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オバケオバケオバケオバケ

・CIAも巻き込んだ息もつかせぬスリリングな展開。十分に堪能させてもらいました。ただパリやローマに比べると歴史の重みが無いからなのか、どーもハリウッド的な絵空事に思える話の展開だったかもしれません。そしてオチはスターウォーズと同じで壮大な親子喧嘩でした(笑)。



・いや、今度ばかりはラングドン君もダメかと思った。あれで助かるのは相当な反則技に近い(笑)。でもまあテクノロジーには「果て」というものがありませんね。「天使と悪魔」と同じで「何かスゴイ発明」も並行して登場しますが、あの実験は空恐ろしいとしか言いようがない。仏教徒にはできません。



・とまあ歴史の暗部を照らすダン・ブラウンの一連のシリーズですが、そういう題材って日本にもないものですかね。

「プリンセス・トヨトミ」も同系統の話だと思うんですが、もっとディープな、ミステリアスな、サスペンスな話が。やっぱり徳川埋蔵金をダンに書いてもらいましょうか!


ロスト・シンボル 下/ダン・ブラウン
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ナゾの人ナゾの人ナゾの人ナゾの人

・発刊からはだいぶ月日を経ましたが、待ってましたのダン・ブラウン。「ダ・ヴィンチ・コード」や「天使と悪魔」に心躍らされた人間としては看過できない新作。今度の舞台はワシントンD.C.。俎上に上がるのはフリー・メーソン。どっちもよく知らん・・。それでも活字を追う喜びを味わわせてくれる連作と分かっているので、喜々として読みました。



・なるほどそんな建物がアメリカにあるのですか。アメリカの秘められた過去というのもなかなかに興味深いものですね。まあ確かにジョージ・ワシントンやベンジャミン・フランクリンが子ども向け伝記にあるような牧歌的な指導者と考える方が可笑しいのか。



・謎解きも量は少ないものの上質な感じ。誰が味方で誰が敵なのか不透明な雰囲気で上巻を閉じました。そうそう本作にも日系人が出てきますが、「パズル・パレス」とは違い、今回はちゃんとした日本らしい名前です。どういう名前かって?「サトウ」っていうんです(笑)。

ロスト・シンボル 上/ダン・ブラウン
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カメラカメラカメラカメラカメラ

・重い。エアロバイクやりながら読んでいると腕がつりそうです(笑)。久々の宮部作品。一つの事象に対する情報量の過剰な多さがこの作家サンの特徴であり個性でありボクにとっては好意的な部分なのですが、題材が静かな柔らかなホラーなので、社会派サスペンス(クロスファイアとかね)と違い、慣れがなければ果てなき旅という趣も無くはなかった。



・けれど、それでもなお、オススメの作品と太鼓判を押しましょう。ボクは宮部みゆき氏の守備範囲として時代物と社会派は間違いがないと思っていますが、ファンタジーは少々苦手です。この作品はそういえばもう一つあったジャンル「少年の成長記」ってヤツですか。原点回帰といった印象があります。



・というワケで才気煥発のお子ちゃまも当然登場します(主人公ではないです)。そのお子ちゃまと大人の、世代の邂逅っていうのも楽しみの一つかも。まずは宮部みゆき氏の果てしなき長広舌!これを堪能したければ、この分厚さも宝物です。ええボクは十分に堪能しました。

小暮写眞館 (100周年書き下ろし)/宮部 みゆき
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