カギカギカギカギ

 

・怖くない貴志作品のシリーズ第2作。防犯探偵と弁護士のコンビは「硝子のハンマー」でも楽しませてくれたので期待して手に取りました。短編集ですが、着眼点が思いもよらぬ所にあり楽しませてくれます。古民家はいいとして、毒蜘蛛に将棋にワンちゃんと多岐に渡ったモチーフ。やはりなかなかの作家さんです。

 

 

 

・防犯コンサルタント?鍵屋?探偵?の榎本クンですが、彼の奇々怪々なんだか理路整然なんだか大胆不敵なんだか分からない言動も大いに堪能しました。彼に振り回されながら事件を解決に導いていく「語り部」の弁護士・純子チャンのキャラもしっかり強化されてます。

 

 

 

 

・密室トリックということにはあまり拘泥しなくていいと思いますが、ちゃんとその命題をクリアしながらお話が展開されています。第3作目のあるようですね。楽しみです。

 

 

 

 
狐火の家 (角川文庫)/貴志 祐介
¥700
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てんびん座てんびん座てんびん座

・このミス大賞の「臨床真理」の作家さん。岩手出身(知らなかった)ということで平積みになっていました。plotに頓着しないボクですら荒っぽさを感じた前作でしたが、確かに読ませる作品だった。読ませる力があるなら次の作品も手に取りますね。分かり易い理屈だ。

 

 

・ネタバレになって申し訳ないんですが、この作品は読んだ人全員が正義の鉄槌を下すべきだと考えておかしくない被告の無罪を勝ち取る法廷劇です。ここに一体どういう救いがあるのか、悪い後味を残して終えるのかと考えながら読んでいく楽しみはあると思います。

 

 

 

 

・この作品で俎上に載せられた前述の二律背反は、文芸としてのクオリティを十分に担保していますし、「臨床真理」よりも腕を上げた作品と言えると思います。ただボクがこの2作を強く推さないのは主題を構成する人物の絶望の度合いが半端ではないことです。これは息苦しくて悲しすぎるので。

 

 

 

 
最後の証人 (宝島社文庫)/柚月 裕子
¥620
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ドアドアドア

 

・騎虎の勢いでまたまた東川作品。これが・・デビュー作なのかな。確かに初々しさというか、油がまだ乗ってません的な雰囲気がある。どうしてそう言い切るのかというと、会話が大して面白くない(バッサリ)。ユーモアミステリ作家の異名はどこで獲得したのかな~。片鱗はありますよ片鱗は。

 

 

 

・ボクはこういった推理小説で嫌なのは、初めに「場」が設定されていてその後に都合良く「人」が配置されているぎこちなさなのですが、この作品は結構見事なほどに人物造形が甘くてそれが逆に微笑ましいです。「烏賊川市」はシリーズになってるんですね。うっかり飛ばして買ってしまいました。

 

 

 

 

・といった心ないレビューをしながらも十分に楽しめる佳品であることは確かです。文庫解説の有栖川有栖氏が物凄く説得力のあることを話しています。ミステリーはもっと評価されてしかるべきか。ボクも腰を据えて秋の夜長にミステリーを堪能しよう。

 
 
密室の鍵貸します (光文社文庫)/東川 篤哉
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本本本

・時々村上春樹を読みたくなるのは、定期的に風邪をひくとかたまに無謀な馬券が当たってしまうとか無性にカキフライが食べたくなるとかいう類の、ボクの人生のroutineの一つになっているような気がします。いやいや若い読者ではないんですがとりあえず読んでみるコトにしました。



・6人の作家のそれぞれの短編小説が紹介されてその考察が展開されていますが、ちょっと待て一つも知らんぞ・・。吉行淳之介や安岡章太郎あたりは何作か読んだが、ボクが知らない(読んでない)というのは日本人の基礎基本としてアリなのかナシなのか困惑のまま本を閉じましたぞ。



・ボクの中学生の頃の国語の教科書には安岡章太郎の「幸福」という作品がありました。それにひきかえ赤川次郎で文芸の扉を開き、俵万智で天真爛漫に短歌を学習する現代の中学生にとってこの作品は、縄跳びをようやく覚えた人間に「次はバンジージャンプだ」と無茶な道案内をするようなものではないか。


若い読者のための短編小説案内 (文春文庫)/村上 春樹
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・またまた今をときめく作家さんシリーズ。「直木賞から読めよ」と言われそうですが、いやそれは高いですから。そんで本屋の平積みから勘で選んだ本。題名から容易に中身が類推できた挙げ句に類推通りのお話で安心して読めました。



・金融って本当に怖い世界ですね~。銀行員サンも大変な世の中に生きているんだなと経済音痴のボクでも思います。しかしまあどんな業界も「白い巨塔」みたいなヒエラルキーがあるんや~と思うと、ゲンナリしてきますな。そのヒエラルキーを打ち砕く痛快さがこの本の主題かな。



・しっかし詐欺の手口というのも果てが無いというか、巷間はこんなに魑魅魍魎に溢れております的勉強ができました。黒部の正義感がどうか報われる社会になりますように。というかこれシリーズになってないのかな。


銀行仕置人 (双葉文庫)/池井戸 潤
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もみじもみじもみじ

・ついつい手に取る浅田作品。これは短編集ですんで肯定的な表現をすると静かな余韻を残して終わる佳品の数々。反対のベクトルですと「え、終わり?何で?オチは?」とツッコミが入る散文の数々。ま、ポッポヤだってその系統の一つなんだから要は解釈の仕様なんだろう。



・お話の中に出てくる舞台の一つは昔ボクが暮らした町でした(たぶんあの町)。駅前の寂寥感も昨日のことのように思い出します。その駅前の片隅の不良が跋扈するゲーセンでいつもグダグダしていた中学生時代。その割に一度も喧嘩せず、カツアゲもされたことがありませんでした。多分あまりにも堂々としてたからだ(笑)。



・伊坂幸太郎氏の作品に「終末のフール」という作品がありますが、それと同様の設定で描かれた作品が入っています。それはもう、浅田氏らしい心象風景で。比較して読んでみるのも一興ではないでしょうか。

夕映え天使 (新潮文庫)/浅田次郎
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電話電話電話電話電話

 

・「謎解きはディナーのあとで」で飛ぶ鳥を落とす勢いの東川篤哉氏。ボクにとってのこの作家サンの「入り」が本作となりました。「本屋大賞から読めよ」と言われそうですが、だって単行本は高いんだもん~。ブロガーさんのオススメで手に取りました。ジャケもなかなか人目を引きますね。

 

 

 

・結論から言って大変面白い!この作家さん、ストーリーテラーであると同時に笑いのツボも押さえています。ミステリーを読みながら腹を抱えて笑うという楽しみが味わえました。巷間の評判に偽りはありませんね。「いい作家さん見つけた!」と声高に言いましょう。というか、十分認知されてますね。

 

 

 

 

・ヤクザの娘の狂言誘拐に手を貸す大学生、てんやわんやのヤクザ一家、一癖も二癖もある脇役たち。「みんな違ってみんないい」愛すべき登場人物の皆々をなぞって「よかった」と本を閉じました。さて、これからしばらく東川作品巡りだ!関係ないがドラマは見逃したぞ!

 

 

 

 
 
もう誘拐なんてしない (文春文庫)/東川 篤哉
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宝石白宝石白宝石白宝石白

 

・貴志祐介サンの怖くない怖くない話・・と考えるとこの選択になりました。何かコンビ物らしいし、シリーズにもなってるらしいしということで手に取ってみました。こういうの、本格ミステリーって言うんでしょうか。密室殺人の謎解きなんて久しぶりです。十分に堪能しましたよ。

 

 

 

・このコンビがなかなかイイですね。突っ走り屋でこの作品の語り部でもある女性弁護士と胡散臭さ満載の防犯コンサルタント(鍵屋探偵)。二人が文字通り難攻不落の密室の謎に臨みますが、しっかしこのアイデアってどこから湧いて出てくるんでしょう。特許をあげたいぐらいですな。

 

 

 

 

・ボクは実はあまり海外の推理物は読んでなくて、ベーカー街の人も灰色の脳細胞の人もよく知りません。このお話にも海外物の引用がありますが、作家サンってきちんとそういう基礎基本をくぐっているんですね。そうそうピッキングの話も為になりました。戸締まりはちゃんとしよう。

 

 

 
 
硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)/貴志 祐介
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宝石ブルー宝石ブルー宝石ブルー

・最近本屋さんで目について離れなかったこの表紙。子どもの頃「ルパン」と「乱歩」に心躍らせた方はご存じでしょう。文庫で復刻を果たしていたのですね。この表紙、そして少年の日の思い出。これもまたノスタルジー。ちなみにnostalgieはフランス語のようですね。



・でまあ何で読みたくなったのかというとnostalgieの他に、「『奇巌城』ってどんな話だっけ?」という忘却を解決するためでした。そもそもこの言葉が直喩なのか暗喩だったのかも思い出せなかった。のどに魚の骨が刺さったような気分はやっと取り除かれました。メデタシ。



・イジドール・ボードルレくんでしたね。少年探偵。思い出した思い出した。ガニマール警部。そんなワケで記憶の扉が開かれる気分というのもなかなかのモノです。次は「8・1・3の謎」でも読んでみようかな。あれ・・「8・1・3」って何だっけな?

奇巌城―怪盗ルパン全集 (ポプラ文庫クラシック)/モーリス ルブラン
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・レビューとは全く関係ないのですが、先日高速道路でタイヤがバーストし(血の気が引いた)JAFのお世話になりました。牽引され車屋サンで修理を待つ間、見知らぬ土地で買ったのがこの本。つまり勘で本を買うときの最大公約数がボクにとっては浅田次郎氏なんだってワケです。それにしても、あ~怖かった。



・浅田氏の作品には「蒼穹の昴」のような超大作もあれば、本作のような半分やっつけ仕事・・ではなくて失礼ほんの手慰みといった趣の小説もあります。でも、面白いな。定年を迎えた主人公が業務実態の無い天下り先でもフツーに業務をして金儲けをしちゃう痛快な話。



・そしてこの痛快さは冒頭に。この主人公がとっくの昔に時効になってる債権回収のために「浅田次郎」という作家を訪れる所から物語は始まります。またこの主人公は「壬生義士伝」を携えて対面しちゃたりして、そこら辺のくだりが最高に笑えます。


ハッピー・リタイアメント/浅田 次郎
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